ラミレスの2000本安打の報道で、ラミレスが川上哲治に次ぐ史上2番目に少ない試合数でこの記録を達成したことが報じられた。これは一概に褒められた記録とは言えない。
2000本安打、達成所要試合数上位3人の、達成時点での打撃成績(川上哲治は一部推測)

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ラミレスは、川上、長嶋よりも打率が1分以上も低い。それでも2000本を打つことができたのは、打数が300以上多いからだ。要するに四球が非常に少ないのでラミレスは短期間に2000本安打をマークすることができたのだ。

安打以外の出塁を示すデータにIsoDがある。5000打席以上立った211選手のランキング。ベスト20とワースト20を示す。
従来、私はIsoDにはHBPでの出塁を含めていなかったが、今回は入れたデータで示す。

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ラミレスはワースト5にいる。2000本安打者としてはワースト。一般的にIsoDが低い選手は、短距離打者、内野手が多い。守備での貢献度が高く、打撃ではつなぐ打者が多いのだ。もちろん、葛城や白仁天のように荒っぽい5番打者タイプもいるが、ラミレスのように高打率のスラッガーは異例だ。

反対にIsoDの上位には錚々たる長距離打者が並んでいる。選球眼が良い上に、投手が勝負を避けたがるため四球が多いのだ。四球は強打者の勲章と言われる所以だ。
ラミレスは異色の強打者だと言えよう。

もう一つ、ラミレスにとってネガティブなデータ。
安打+四球+死球のランキング。総出塁数と呼ぶことにする。NPB全選手のランキング。安打数のランキングも併記する。

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通算安打数では42位のラミレスだが、総出塁数では73位に落ちる。2000本安打以上では最下位。

本でも書いたのだが、通算安打数が近い谷繁元信の総出塁数は3134の22位。2377のラミレスとは実に757もの差がある。

MLBでは安打の出塁も、四球の出塁も同じ価値があるとの考え方が支配的になりつつある。イチローの評価が常に分かれるのは、彼のIsoDが.043と低いからだ。その考えに立てば、谷繁や中村紀などは、ラミレスよりもはるかに価値が高い打者だということになるだろう。

日米の力量差はあるが、日本の一流投手を打ち込んできたラミレスは、機会さえ与えられればMLBでも3割を打つ力はあったのではないかと思われる。

しかし、極端に早打ちで四球を選ばないラミレスの評価は、MLBでは高まらないだろう。
守備面での貢献度でも最低ランクではあるし。

AVG、RBI、HRなど旧来のSTATSで選手を評価するNPBだからこそ、ここまでやれたという一面はある。
厳しい言い方をすれば、ラミレスはNPB限定の強打者だと言えるのではないか。