やる気が出ない、飽きたときはどうするか

がんばっているのに成果が出ない。そう感じているビジネスパーソンも多い。第一線で活躍し続けるにはもちろん、自己研鑽が必要だ。だが、その勉強は本当に、仕事の役に立っているのだろうか。ハイパフォーマーの学びの習慣を、600人アンケートの結果を交えながら紹介しよう。

▼神永正博さんからのアドバイス

勉強のモチベーションを上げるには、私の場合、2通りあります。「何か面白そうだ」という好奇心を持つことと、「早くここから抜け出したい」というネガティブパワーを利用することです。

好奇心が湧きあがっているときは、心の赴くままに任せて勉強すればいいでしょう。ただ、ポジティブな気持ちは気まぐれで、ややもすると消えてなくなりがちです。苦しいけど必要な勉強は、好奇心よりネガティブパワーを原動力にしたほうが長続きします。人が「これを避けたい」と思う気持ちは、ポジティブな気持ちよりずっと強く、持続力がある。だから継続的な勉強に向くのです。

自分の経験を振り返ってもそうでした。学生時代、数学に一生懸命取り組んだのは、卒業して風呂なしトイレ共同の下宿から一刻も早く出たかったからです。サラリーマン時代に論文を書いたときも、高度な数学を使う機会がない仕事に嫌気がさして、早く会社を辞めたいと思っていました。もちろん根底には数学への学術的興味があるのですが、それだけでは長続きしない。好奇心ドリブンでトップスピードへと持っていき、ネガティブパワーでエンジンを回し続けるというやり方がいいと思います。

ネガティブパワーを燃やすのは簡単です。ポジティブシンキングは修練が必要かもしれませんが、ネガティブパワーは現状への不満を見つけるだけでいい。勉強に飽きたら、ネガティブパワーでうまく自分を追い立ててあげてください。

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神永正博●東北学院大学教授
1967年、東京都生まれ。東京理科大学理学部卒、京都大学大学院理学研究科博士課程中退。東京電機大学助手、日立製作所研究員を経て、東北学院大学准教授に就任。2011年より現職。著書に『不透明な時代を見抜く「統計思考力」』など。

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▼村井瑞枝さんからのアドバイス

本気になれないときは無理して勉強しなくてもいいと思います。漠然とした不安から勉強を始める人もいますが、強い目的意識がないと効率が上がらず、時間やお金をかけたわりに成果が上がりません。成果を実感できなければ飽きや諦めにつながるので、結局、リソースを無駄にすることになります。

勉強は、必要に迫られてからでも十分に間に合います。むしろ怖いのは、普段から慢性的にだらだらやっていたために、必要に迫られたときにスイッチが入らないことでしょう。勉強はメリハリが大切。必要性がないのに流されてやるくらいなら、やらないほうがマシです。

そのかわり、やり始めたら必死でやることが大切です。本気で勉強すれば、たいていのものは3カ月で最低限のレベルまで到達できます。集中して最低限のレベルに達したら、次はもう実戦の場所に自分を持っていくことです。語学なら現地に旅行してもいいし、ツイッターで外国人とやりとりしてもいい。必要に迫られて始めた勉強であれば、実戦の機会はいくらでもあると思います。こうして強制的に次のステージに移れば、やる気が出ないなどといってはいられません。

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村井瑞枝●レストランプロデューサー
辻調理師専門学校にて調理師免許を取得後、米ブラウン大学、伊ボローニャ大学にてアートを学ぶ。帰国後、JPモルガン、ボストン コンサルティング グループを経て現職。訳書に『ウォールストリート・ジャーナル式 図解表現のルール』がある。

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▼木暮太一さんからのアドバイス

継続は、気持ちより仕組みの問題です。成果を複数の指標で測れるようにしておくといいでしょう。たとえば、私はダイエットのために、体重や体脂肪率、内臓脂肪レベルなど7つの指標でチェックできる体重計を使っています。これは思うように体重が落ちなくても、何か1つくらいは改善している指標があって、やる気を維持できるからです。勉強も同じです。複数の指標を持っていれば、「あの点数は伸びていないが、こっちの点数は伸びている」と自分を励ますことができるはずです。

また、私が意識しているのは、垂直立ち上げ型の勉強計画です。勉強を途中で投げ出したくなるのは、努力した成果を実感できず、このままではモノにならないのではないかと不安になるからです。

勉強を継続させるには、不安になる前に達成感を得ることが重要です。そこで目に見える成果を得られるレベルまで、一気に集中して勉強する計画を立てるのです。たとえば語学なら1日1時間を数年かけてマスターするのではなく、1日数時間を1カ月、集中して勉強します。そこまで密度を高めれば、1カ月後には何らかの成果が表れて、自信が持てるはずです。

集中して学ぶには、1カ月単位のテーマ設定も重要です。年間の勉強テーマを掲げている人は多いかもしれませんが、そこに向けていきなり日々の勉強を積み上げようとすると、年間目標まで距離がありすぎて迷走してしまう場合があります。そうしたブレを防ぐのが1カ月単位のテーマ設定です。

私は今年、「東南アジア経済」を深く勉強すると年初に決めました。ただ、それだけではなく、今月はインドネシア、来月はシンガポールというように1カ月単位のテーマも決めてインプットするよう心がけています。年間目標は同じでも、目先の対象が変わることで、メリハリをつけることができます。

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木暮太一●作家
1977年、千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て、独立。大学在学中に自主制作した「気軽にはじめる経済学シリーズ」はロングセラーに。著書に『今までで一番やさしい経済の教科書』など。

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(村上敬=構成 佐粧俊之=撮影)