ご当地ブランドってそもそも何なの?地域ブランドの話



筆者の地元である京都府舞鶴市には『万願寺ししとう』という地域特産の野菜があります。これはいわゆる『地域ブランド』というものです。皆さんの地元にも、こうした地域ブランドの特産品や名物料理ってありますよね。



では、こうした地域ブランドというのは、どういった基準で選定されているのでしょうか? また、いつからあるのでしょうか? 地域ブランドのコンサルティングを行うブランド総合研究所の田中章雄さんにお話を伺ってきました。





■何でもかんでも地域ブランドになるわけではない



――そもそも、地域ブランドというのはどういったコンセプトの下作られたものなのでしょうか?



田中さん 地域ブランドは、その土地ならではの特産物やゆかりのものを活用して地域活性に結び付けよう、広く知ってもらって多くの人に買ってもらおう、というコンセプトが基本にあります。



――特産物やゆかりのものであれば、どんなものでも地域ブランドになるのでしょうか?



田中さん いえ、何でもかんでも地域ブランドになるわけではないんです。例えば、ある町で1店舗だけが作っている珍しいラーメンがあっても、これは地域ブランドではありません。その町のいくつかの店が同じようなコンセプトのラーメンを作り、町ぐるみで提供できるようになって初めて「地域ブランド」になるんです。



――いくら名産でも一人だけなら個人ブランドになっちゃいますよね。



田中さん そうなんです。地域ブランドとしては扱えないですよね。



――こうした地域ブランドというのは、いつからあったのでしょうか?



田中さん 地域ブランドというのは昔からあったのですが、地域ブランドを使って活性化をしようという取り組みが本格的に始まったのは2003年ごろ。その後、2006年には地域ブランドに関係の深い、地域名が付いた名称を権利化できる『地域団体商標』の制度がスタートしました。



――取り組みがスタートしたのは本当に最近なのですね。



■どんどん増える地域ブランド



――現在、地域ブランドというのはどれくらいの数あるのでしょうか?



田中さん 地域ブランドは本当に多くて、現在数千もの数があるといわれています。野菜や伝統工芸品はものすごく多いですし、ブランド牛なんかも300種類くらいあります。地域ブランドの一つである「ゆるキャラ」のようなものも1000-1500種類いますよ。



――そんなに多いんですね! ゆるキャラもそんなにいるんですね(笑)。



田中さん 地域ブランドは地域に一つだけ、というものではないですしね。一つの地域に複数のブランドがあったりしますし、本当に数え切れないくらいあるんですよ。



――こうした数多くある地域ブランドの中では、どんなものがよく知られていますか?



田中さん 最近ブームの「ご当地グルメ」などは有名なものが多いですよね。「富士宮やきそば」や「八戸せんべい汁」などは多くの人に知られています。それから福岡県のいちごの「あまおう」も、地域名が付いていない地域ブランドですが広く知られていますね。



■地域ブランドの今後の課題は?



――特産品などを地域ブランド化して、どこも成功しているのでしょうか?



田中さん 2007年から2008年あたりで、『地域ブランド認定』という、地域自治体が自分たちの町や村の特産品をブランド化する取り組みがブームとなりました。しかし、地域ブランド化を目指したところがすべてうまくいったわけではありませんでした。



――そうなんですね。



田中さん 理由は明確でして、ブランドというものは高くても売れるものであったり、高い評価を得ているものでないといけません。それなのに、地域の特産物を片っ端から地域ブランドとして認定してしまったんです。その結果、収穫量だけが多いただの野菜など、多くの消費者にとってそこまで魅力的でないものまで「地域ブランド」として認定してしまいました。



――確かにありふれたものが地域ブランド化されても、新鮮な魅力を感じませんね。



田中さん 量が多くなりすぎたのも問題でした。例えば、コンビニに行って、全部の商品にお薦めのシールがはってあるとすると、どれが一番いいのか分からなくなりますよね。



――なるほど。それはそうですね。



田中さん こういった理由で、何でもかんでも地域ブランド化してしまった団体というのは、うまくいきませんでしたね。ブランド化したからうまくいくとは限らないのは注意すべき点ですね。



――今後の課題というのはどんなものでしょうか?



田中さん 現在問題となっているのは『地域団体商標』の扱いについてですね。例えば、ある地域ブランドの農作物があったとして、形が悪かったり、甘さが足りなかった、または少し傷んでいたとしても、ちゃんとその地域で取れた農作物なので、商標法違反にはなりません。悪い業者が品質の悪いものを出しても、生産者は同じ名前を付けて売ろうとしてしまいます。しかし、これではその農作物のイメージが低下してしまいますから、問題ですよね。



――消費者にとってはひどい話ですよね。



田中さん ちゃんとやってる業者にとっても良くない話です。商標以前の話として、「これ以上の品質のものでないと商標を使ってはいけない」「一定の水準以下のものは出してはいけない」といった明確なルールを定める必要があります。



――ルールがないとやりたい放題になるんですね。



田中さん 実際なっています。もちろん、団体で独自にルールを作って良い品質のものを出荷しているところも多くありますが、商標のすき間をついた商売をするところもあります。こういった問題をどうしていくかが地域ブランドの今後の課題ですね。



テレビでも地方ネタが多く取り上げられ、ご当地グルメブームが来るなど、地方の活性化が目立つ昨今。地域ブランドも品質に関する大きな問題を乗り越えて、さらなる発展を遂げてほしいですね。



(貫井康徳@dcp)