ベトナム中央銀行が、不良債権の処理案を発表
今月の注目国−?
5年以上低迷してきたベトナム株相場に回復の兆しが…。不良債権処理の行方に注目だ。


金融システムの改善で相場はさらに上昇する!
ベトナム株相場が急騰しています。代表的な株価インデックスであるVN指数は、昨年12月から今年2月までの3カ月間で20%以上も上昇。3月1日終値は477ポイントと、節目の500ポイントが目前に迫っています。

その理由として、ベトナム中央銀行の総裁が昨年12月、銀行の不良債権処理案を発表したことが急騰の大きな原因といわれています。

ベトナムでは過去5年以上にわたって株価が低迷していましたが、これは2007年の世界的なバブルでベトナムに大量の資金が流れ込み、その後の金融危機によって銀行が巨額の不良債権を抱え込んでしまったことが背景にあります。今回の不良債権処理の規模は総額100兆〜150兆ドン(約4545億〜6818億円)。現地の市場関係者は十分な金額だと認識しているようですから、実施されれば金融システムの改善とともに株式市況もさらに好転する可能性があります。

ベトナム中銀総裁は、2013年中にも不良債権処理をスタートすると宣言し、その資金として、中銀が大量のベトナムドンを刷る可能性もあります。それによって流動性が高まれば、株式相場にとっても特効薬となりそうです。

私が当面注目しているベトナム株銘柄は、水力発電所建設会社の第5ソンダ建設と、ベトナム最大級の不動産会社であるホアン・アイン・ザー・ライです。

第5ソンダ建設は今年度の利益が大きく伸びそうなこと、ホアンアインザーライは長年仕込んできた天然ゴム事業と砂糖事業の収益化が見込めそうなところが注目ポイントです。

第5ソンダ建設(建設)
前身はソンダ総公社傘下のヴィンソン水力発電所建設会社。現在もソンダ総公社が株式52.94%を保有。

同社の注目ポイントは、昨年、損金引当金の割り戻しや減価償却が終了して、2013年度の純利益が前期比約2倍の600億ドン前後まで大きく伸びる可能性があること。2012年度のEPSは3513ドン、実績配当は1800ドン。株価1万3500ドンで計算するとPER3.9倍、配当利回り13%と現時点でも割安・高配当だ。大幅増益が実現すれば、さらに割安となる期待が大きい。

ホアン・アイン・ザー・ライ(不動産)
ベトナム最大級の不動産会社。鉄鉱石、天然ゴム、砂糖、水力発電にも投資を行なっている。特に過去数年間、先行投資を行なった天然ゴム、砂糖の収益化を見込んでおり、大幅な業績拡大が期待されている。天然ゴムについては2013年末までに5万1000ヘクタールの作付けを完了する計画で、大手タイヤメーカーのフランス・ミシュラン向けに70%を販売する方向で調整に入っている。

砂糖は、生産拠点を置くラオスがベトナム向けの輸出関税引き下げを認可したのが追い風だ。

※EPS=1株当たり利益、PER=株価収益率。
※データは2013年3月8日現在。1ベトナムドン=0.0046円換算。

戸松 信博(NOBUHIRO TOMATSU)
グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役

新興国株式ブームの先駆けの一人として、1995年よりいち早く中国株に注目。鋭い市場分析と、現地企業訪問による銘柄分析スタイルには定評がある。著書に『ベトナム株企業情報』(パンローリング)など多数。



この記事は「WEBネットマネー2013年5月号」に掲載されたものです。