昔から伝わる天気のことわざは正しいの?

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「夕焼けの翌日は晴れ」、「猫が顔を洗うと雨」など、昔から天気予報についてのことわざが言い伝えられています。

それらの実用性を気象予報士の笠原久司さんにうかがいました。

新たな環境で生活をスタートすることが多い4月、鉄板の天気ネタでコミュニケーションをとってみては?――まずは、雲や太陽、月などにまつわる「お天気ことわざ」について。

太陽や月の「色」が天気予報に関連するのでしょうか。

「西から天気が変化する日本では、これから頭上にやってくる西の空が晴れていることを根拠に『夕焼けの翌日は晴れ』ということわざが広く知られています。

確かにこういった傾向はあると思いますが、夕焼けの色が真っ赤に染まるときや、暗い赤色に見えるときには、西の空に波長の長い赤い光を散乱させる湿った空気があることも。

こういった場合には、むしろ夕焼けが雨の兆候と考えられます。

また、雨雲の先端が近付いているときにも、雲の影と相まってきれいな夕焼けが見える場合があります。

やはり、夕焼けだけで天気を予想することは困難でしょう。

似たことわざに『月が赤いと近いうちに雨が降る』というものがありますが、空気中に雨の原料である水蒸気が多いことの表れと考えれば、理にかなっているといえます。

もっとも、赤い月が地平線に近い高さに位置している場合には、夕焼けと同じ理由で月が赤く見えることもあるでしょうから、必ず雨が降るとは言い切れません」――「飛行機雲が10分以上消えないと雨が降る」というのもありますよね。

「飛行機雲は、飛行機のエンジンから出た排気ガスの中の水蒸気が冷やされて水滴になり、帯状の雲になったもの。

ですから、空気中の水蒸気が多い場合には水滴が蒸発しにくく、なかなか雲が消えません。

水蒸気は雨雲の原料ですから、空気中の水蒸気が多いときには雨が近いといってよいでしょう。

とはいえ、水蒸気が多いときでも、上空の風が強い場合には飛行機雲が早々に拡散してしまうので、消えるまでの時間は確定的ではありません。

ですから、天気予報を確認するための手段の一つと考えておいた方がよいと思います」――次に、「猫が顔を洗うと雨」ということわざもポピュラーですね。

「これも天気のことわざとしては有名ですね。

雨が近付き湿度が上がると、猫の大切なひげに張りがなくなるので、それを整えるために顔を洗うなどと説明されたりします。

しかし、キチンと調査した資料があるわけでもありませんし、現時点で調査がされているという話も聞いたことがありません。

いまのところ『ナマズが暴れると地震がくる』ということわざと同程度に考えておいた方がよいでしょうね」――北海道では「雪虫が飛ぶと初雪が降る」と言われるそうです。

そもそも「雪虫」ってどんな虫なのでしょうか?「通称『雪虫』と呼ばれるアブラムシの一種が晩秋に大量発生して飛び交う現象を、北海道地方で初雪の根拠にしているわけですが、これまで確固たる調査結果はありませんでした。

ウェザーニューズ社が携帯版の天気予報利用者とともに調査を行ったところ、”「雪虫が大量発生してから約1週間〜10日で初雪が降る」との俗説より一週間以上も遅い”という結果になったそうです。

ですから、現時点では北海道の風物詩としてとらえておいた方が無難かもしれませんね」――最後に、天気に関することわざは、「空」についてのものと「生物」に関するものが多いように思いますが、それはどうしてなのでしょうか?「天気予報が発達していなかった時代、人々は身近な自然現象の中から天気変化の兆候を見いだす必要がありました。

漁師や北前船の船頭は高い丘の上から水平線を眺め、雲の形や風・波の方向、海鳥たちの行動から嵐の兆候を見いだそうとしましたし、農家は日々の天気変化の傾向、動物や昆虫の動きや植物の育ち方、ひいては家の柱がきしむ音などからも、祈るような気持ちで作況を予想しようとしていました。