日銀の金融緩和意欲は通貨の供給量で判断できる!

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★今月の指標⇒マネタリーベース

為替レートは通貨の供給量で決まる!

 「マネタリーベース」とは、早い話が「世の中にあるお金の量」です。銀行の信用創造機能によって、これが何倍に膨らんでいるかを見るのが「マネーストック」ですが、会計上のマネーストックがいくらになろうが、実際に世の中に流通している量が、マネタリーベースなのです。

 通貨の供給量を調整するのが日銀であり、金融緩和を実際に実行しているかどうかを確認できる代表的な指標です。

 これまで「デフレから脱却できないのは、日銀がお金を増やさないからだ」と、言われてきました。

 それはおおむね正しくて、日米の通貨供給量の差を見ればその理由がわかります。

通貨供給量が増えない金融緩和は効果なし!

 為替レートは、相対的なマネタリーベースの増やし方で決まってきます。リーマンショック前の08年8月には、日本のマネタリーベースは89兆円、米国は0・9兆ドルと近い水準にありました。しかし、リーマンショック後は米国がマネタリーベースを一気に日本の3倍に増やしています。これでは円が高くなって当然。貿易立国の日本にとって、このような行きすぎた円高は国際競争力を低下させ、企業収益を減少させます。

 昨年2月14日、日銀の「バレンタイン緩和」で一気に円安、株高が進んだのに、その効果が長続きしなかったのは、実際にマネタリーベースを増やしていなかったからです。昨年2月、3月のデータを見ると、金融緩和とは逆に供給量が減っているのがわかります。

 日銀総裁が変わる、4月以降のマネタリーベースに注目です。

通貨供給量の比にはソロスも注目している

 「円を刷れば円安になる」という法則がいつの時代も正しいわけではないが、通貨の供給量と為替レートにはある程度の相関関係がある。これを提唱したのは、かのジョージ・ソロスで、日米のマネタリーベース比をチャートにしたものを、「ソロス・チャート」と呼び、機関投資家などの専門家も注目している。

◎Profile
永濱利廣(ながはまとしひろ)
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト 1971年栃木県生まれ。専門は経済統計、マクロ経済分析。著書に『経済指標はこう読む』など多数。

*ダイヤモンド・ザイ5月号に掲載。ザイ5月号の特集は3600円から買える「今から狙える3倍株83」。その他「初心者も買える5万円以下の株」や「株で儲けている読者のマル秘裏ワザ」「別冊付録 「株」データブック250銘柄分析!」「上場前3548銘柄の最新理論株価」など。