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東日本大震災から2年が経過し、鉄道各社がようやく沿岸部の津波対策に本腰を入れようとしている。橋やトンネル、駅舎などの耐震化工事とは別に、避難所や防潮堤の新設などの工事が必要になるほか、情報伝達ルートの確立などソフト面での対応も急務だ。

建設業界などで話題になっているのが、国土交通省と鉄道各社で構成する「津波発生時における鉄道旅客の安全確保に関する協議会」。発生が予想される南海トラフ大地震などの大規模災害にどう対応すべきかの指針を検討したものだ。

津波による浸水を想定している37社のうち、17社が浸水想定の見直しを考えている。予備電源の確保や低い標高地から斜面を上るための階段の整備なども必要だろう。沿線に高い建物や高台など避難できる場所のない区間を抱える鉄道業者もあり、具体的な対応策は各社が路線の事情に合わせて進めていくことになる。

ハード面の対策強化だけでなく、避難マニュアル整備や訓練頻度アップといった、職員の危機対応力も課題として挙げられている。駅や列車内で「災害時は職員の指示に従ってください」と掲示されているが、これは職員の判断力を信頼できて初めて機能するものだ。

先行例では、JR西日本が今年から、大阪から紀伊半島沿岸部に乗り入れる特急列車に和歌山支社の車掌を同乗させており、鉄道業界で注目されている。万が一の大災害時でも、現場に土地勘のある職員が1人いるかいないかの違いで、避難誘導の成否が大きく変わってくるからだ。

鉄道各社は老朽化コンクリート施設の補修ラッシュに見舞われる。そこに津波対策となれば負担は軽くないが、人命を運ぶ鉄道業者としては支出を渋るわけにはいくまい。国交省が協議会を呼び掛けたので、必要な工事には国土強靭化策の一環として予算が講じられる公算が大きい。



この記事は「WEBネットマネー2013年5月号」に掲載されたものです。