メンタルヘルス不調による逸失利益は、1,000人企業で5人の離職に匹敵

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健康日本21推進フォーラムはこのほど、出社しているものの業務遂行能力や生産性が低下している「プレゼンティーイズム」についての調査結果を発表した。

同調査は、最近2週間以内に仕事に影響を及ぼした健康上の問題・不調があり、該当症状有訴者および「糖尿病」もしくは「糖尿病」予備群に該当する20〜69歳の男女を対象として、3月9日〜13日にインターネット上で行われ、2,400人から回答を得た。

調査の対象となった健康上の問題・不調は、「心臓の不調(不整脈、狭心症など)」「胃腸の不調(胸やけ、胃痛、下痢など)」「呼吸器の不調(COPD、肺気腫、ぜんそくなど)」「メンタル面の不調(不眠、不安感、イライラなど)」「眼の不調(眼精疲労、ドライアイ、緑内障など)」「偏頭痛、慢性頭痛」「首や肩のコリ」「腰痛」「花粉症などのアレルギー性鼻炎(季節性、通年性)」「月経不順、PMS(月経前症候群)などによる不調」「糖尿病」「健康診断などで、血糖値の項目で再検査もしくは要観察になったことがある、または 医師から血糖値が高めだと言われたことがある」の12項目。

健康時の業務遂行能力を100点とした場合の、各疾患・症状による不調時の業務遂行能力を「モチベーション」「集中力」「計画・予定に対する結果」「顧客や同僚とのコミュニケーション」 の4項目および全体としての「生産性への影響」として自己採点してもらったところ、いずれの項目においても「メンタル面の不調」の際の点数がもっとも低かった。

次いで業務遂行能力に対する影響の大きな疾患・症状は、モチベーション及び集中力では「月経不順・PMSなどによる不調」が、「計画・予定に対する結果」では「心臓の不調」が、「コミュニケーション」では「呼吸器の不調」が点数が低くなった。

生産性に影響する疾患・症状のワースト3は「メンタル面の不調」(56.5点)、「心臓の不調」(63.0点)、「月経不順・PMSなどによる不調」(63.8点)だった。

「WLQ-J」と呼ばれるより客観的な基準で各疾患・症状の生産性への影響を検討したところ、生産性にもっとも影響を与えているのは「メンタル面の不調」だった。

以下「心臓の不調」「呼吸器の不調」「月経不順・PMSなどによる不調」が続いた。

生産性の低下率は、「メンタル面の不調」が8.8%、「心臓の不調」が7.4%、「呼吸器の不調」が6.4%、「月経不順・PMSなどによる不調」が5.9%、「胃腸の不調」が5.6%などとなった。

「現在通院しており、服薬もしている」通院・服薬率は、「糖尿病」がもっとも高く85.5%。

次いで「心臓の不調」「呼吸器の不調」となった。

また「通院していないが、服薬している」セルフメディケーション率は、「偏頭痛・慢性頭痛」がもっとも高く41.0%。

次いで「花粉症などのアレルギー性鼻炎」「胃腸の不調」となった。

「通院も服薬もしていない」未対処率は、「首や肩のコリ」がもっとも高く76.5%だったが、「腰痛」(67.0%)、「メンタル面の不調」(56.0%)、「月経不順・PMSなどによる不調」(51.0%)、「眼の不調」(50.0%)など、未対処率が半数以上の疾患・症状も多かった。

また、日本医療データセンターの協力のもとに、同社が保有する母集団100万人以上のレセプトデータから「メンタル面の不調」の代表的な診断名である「気分(感情)障害」の30〜50歳代男女全体に対する受療率を見ると、3.4%となった。

「メンタル面の不調」は非通院者が60.5%いるため、メンタルヘルス不調の発生率は少なく見積もっても5.6%以上と試算される。

さらに、メンタルヘルス不調による生産性低下率は8.8%だったため、仮に従業員1,000人で平均就業日数200日の企業においては、メンタルヘルス不調によって約5人の離職(986日分の欠勤※)に等しい逸失利益が想定されることがわかった。

※疾病発生率(%)×生産性低下率(%)×1,000人×200日で計算