採用活動を長年やっていると、いろいろな学生さんに出会います。学校でも30人生徒がいれば、一人くらい変わった人がいますが、採用活動でも同じ。とんでもない事をしでかす人か毎年かならずでます。

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今回は、ちょっと脇道にそれて、今まで出会った、いや遭遇したトンデモ就活生さんをご紹介します。

■1.食べる男編

会社説明会がおわり、そのまま一次選考(筆記試験)中のお話し。なにやらうしろの方で退出しようとしている男子学生。会社説明会だけで退出するのはかまわないのですが、筆記試験では問題用紙を回収しないと、後に受ける人に問題が漏れる可能性があるので、回収を徹底するため、途中で辞退する場合は、人事に問題用紙と解答用紙を渡して退出してくださいと説明していたのに、身支度を調えた瞬間、後の出口に向かってダッシュ。手には問題用紙と解答用紙が!

あわてて追いかけると、エレベーターがたまたま来ず、その学生は人事に取り囲まれて、逮捕?寸前。ちょっと挙動がおかしかったので、優しく「用紙は置いていってくれないかな」と声をかけた瞬間。問題用紙と解答用紙を口の中に放り込んで、食べるという暴挙に!

「吐き出させろーーー!!!」人事課長の号令で、その場にいた全員が、まるで当時流行っていたマルサの女で証拠のメモを食べてしまう銀行員を羽交い締めにするように、学生を押さえつけて、口に手を入れる始末。そもそも用紙が8枚もあるのに食べきれるわけもなく、ようやく吐き出させる事に成功。落ち着かせてから話を聞くと、どうやら思ったより筆記試験が難しく、このままでは落ちるので、住所と名前を書いたエントリーシートごと持ち帰って、参加しなかったことにしてもう一回参加したかったとのこと。気持ちはわかるけど、「就職サイトで予約しているから、たとえ逃げても、無断欠席扱いになってもう説明会の案内はこないよ」と伝えると、「そうなんですか?」と泣き出す始末。
もう15年採用やってますが、問題用紙を食べようとした人は一人だけです。

■2.帰っちゃう学生編

地方の遠距離就活生さんには、会社も配慮している。たとえば本来は別の日に行う面接を筆記試験と一緒の日に実施して、宿泊代や交通費の負担が軽くなるようにしてあげたり。もちろん筆記試験がだめだったら、双方が無駄な面接をすることになるのだが、それは仕方ないこと。

そこで、北海道からくる学生Aくんがどうしても当社を受けたいというので、特別に個別説明会と筆記試験、一次面接を同じ日に実施することにして、学生さんに伝えると、「ご配慮ありがとうございます」との返事。電話もなかなか好印象で期待をもっていた。

相当遠方からだったので、朝一の飛行機で間に合う時刻に、参加者一名の会社説明会開始。筆記試験も無事に終わって、「これで午前中は終わりです。ご飯でも食べてきてくださいね。貴重品はちゃんと持って」というと、なぜか悲しい顔をして、立ち去るAくん。「ご飯が出るとでも思ったのかな。まさかね」と思いつつ、午後の面接の準備をしていました。

午後1時15分、面接の時間です。しかしAくんは現れません。それから15分たっても現れないので、携帯に電話してみると、「電波が届かない・・」のメッセージ。この仕事ながくやっていると、途中でいなくなってしまう人もいるんです。しかし北海道から来ていなくなるとは・・・。念のため、筆記試験を採点すると96点、難しいと言われる当社の筆記でこの得点はなかなかとれない、実に惜しい状態でした。

すこしそのことも忘れかけた数日後、Aくんからメールが?「せっかく配慮していただいたのに、ご期待に添えず申し訳ございませんでした。貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます」??? 
期待って? え?え?

あわてて、Aくんに電話すると、
「いや貴重品を持って行けといわれたので、落ちたと思い・・・。帰りました」
「いや一応、貴重品は盗難の危険があるから言っただけ。面接あったのに」
というと、Aくん「ええーーーー」。飛行機だったから携帯を切っていたんですね。

後日Aくんは、再度飛行機で来社、今度は一次面接と二次面接を同じ日におこなって、無事内定。10年経った今はサブマネージャーとして働いています。地方の学生さんは本当に大変です。

■3.これが正装です編(ノンフィクション)

毎年の恒例行事、内定式の日。役員全員のスケジュール、会場の雰囲気チェック、内定者への連絡など、人事は結婚式場のスタッフのように動き回ります。ある意味会社と内定者の結納式の様なものですから、内定者にも間違いがあってはいけないので、文書で服装等を指示、「正装でお越し下さい」と書いて、到着した頃に電話をかけて郵便が到着したかどうか確認。絶対に間違いが許されない式典なのです。しかし、やはり人事がどんなに式を無事に終わらせようとしても、学生さんは許してくれません。

ある年の内定式、今年は40人ほどの内定者が集まる事になっておりました。もちろん全員正装でと指示、まちがっても私服で来るなよ・・・と思っていたら・・。なんと柔道着で現れる内定者登場。

「B・・Bくん、その格好は?」
「あ、正装というんで、普段のスーツではなくて、やはり正装で来ました」とあっけらかんと答えられ、内定者全員と会社側全員の視線をすべて集めながら、Bくん着席。しかも、不運は続き、今年の内定者決意表明はBくんだったのです。今更他の人に替えることもできず、さらに目立つ壇上で、柔道大会の開会式が開かれてしまいました。

閉会後、人事全員が呼び出され、社長から、「もうちょっとちゃんと指導しなさいよ。でもまあ、面白いヤツじゃないか。でも来年はだめだぞ」とおしかりとお褒めの混じった複雑な社長訓示をうける羽目に、人事全員が席に戻ったとき、ある社員が一言。
「Bくん、入社式も柔道着で来たらどうしましょう」
全員が凍り付きました。

■4.同じですが女子編

新卒採用特有の集団面接をしていると、いろいろな人間模様が生まれます。ある3名集団面接で、男2、女1の状態になりました。たまたま男性2名が一番・二番と回答し、最後に女性が回答する順番にたまたまなりました。そこで男性の回答が終わった後に、その女性は口癖のように言うのです。

「前の方と同じですが、私は○○だと思います」

集団面接では、この「前の人と同じですが」は禁句なのです。どうしても面接官が、ああまねるの回答なのねと思い込ませてしまうからです。

質問が繰り返され、その女子学生は、いつも「前の方と同じですが」を繰り返すのですが、その回答は前の人とは全く違い、的を射ている回答なのです。ついには「私の姉も同じなのですが」まで言い始めましたが、回答は至極まともを超えた優秀な回答。これには評価が分かれました。面接官同士で「あの前の方と同じさん」というあだ名までつけられましたが、回答自体はとても当社の社風に合っている。さて困ったなというのが、面接官の意見。でも私としてはもう一度会ってみたかったので、「個人面接だったら変わるかも知りませんよ。今度は一人だから、前の方いませんから」との意見を出して、彼女を次の個人面接の二次面接に進めました。

さて、個人面接。たまたま面接官は私になりました。そこで、質問をすると、今度は、「私の母も同じ意見なのですが」、「周りの方も同じだとおっしゃるのですが」と、「うわー今度はその方向で、きたか」と、頭を抱える状態に。

さすがにこれはと思ったので、面接をすこし中断して、「Cさん、これは面接じゃなくて、個人としていうけど。その○○と同じというのは止めた方が良いよ。君自身の考えを述べてください。」というと、Cさんははっとして、「いままで出る杭は打たれるから、周りに合わせなさいと教えられました」との回答。だれからと聞くと、大学の就職課の先生からです。おーい就職課の先生、完全に間違っているぞーと言いたくなりました。

「Cさん、それは止めた方が良い。絶対良いことないから」というと、「わかりました」と言って、その後は「同じですが」は無くなり、もともと優秀なだけに、無事内定→入社となりました。学校の就職課も疑ってかかる時代になったかと感じる採用でした。

■5.行方不明な男編

採用活動は面接や筆記試験だけではありません。今年はちょっと変わった選考をしようと、三次選考は、面接ではなく、野外試験とした年がありました。選考対象の10人にデジタルカメラをわたし、写真は10枚まで撮影OK。日本に観光に来る外国人の方に日本の美を伝えるプレゼンをしてもらうので、写真を撮ってきたら、模造紙に貼り付けて、観光案内を作ってプレゼンして下さいという内容でした。

10人はそれぞれ散って、思い思いの写真を撮って、会社に戻り、模造紙にプレゼン用の発表資料を作り始めました。しかし男性のDさんが夕方になっても帰ってきません。しかしそれほど危惧はしていませんでした。この手の選考をやると、どこの写真を撮るか悩んでしまったりして、棄権者が多いのです。結局、プレゼンの時間になってもDさんは戻らずに選考が終了してしまいました。

カメラは返してもらわなければならないので、Dさん宅に電話すると、お母さんが出て、帰ってきてないとの返答。事情を伝えて、棄権するなら、カメラを返すようにと伝えて、電話を置きました。その二日後、突然Dさんが会社を訪れました。こっちは心配していたのに、文句の一つも言おうと思っていたところ、Dさんは「遅くなりました。写真撮ってきました」と言いました。「はあ?」もうとっくに選考は終わっている・・・のですが、Dさんいわく、「特に期限はなかったはずですが」と。確かに事前に渡した資料には、いつまでに完成させるという文言が抜けていたのです。しかし人事としては気分よくありません。
しかしDさんの写真を見たところ、評価は一変。
富士山を麓から登り、一合目から1枚ずつ写真を撮り、最後の写真はご来光。参りましたよ。
外国人どころか、人事全員が感動する写真でした。
「考えるヤツは違うねえ」と人事部長。採用が確定した瞬間でした。

いかがでしたでしょうか。トンデモ学生編。世の中いろいろな人にお会いできるのも、人事の魅力です。もしよかったら、希望職種「人事」と書いてみませんか? 悲喜こもごも味わうことができますよ。

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