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次期日銀総裁に黒田東彦アジア開発銀行総裁が決まった。黒田新総裁の初の采配は、4月3、4日に開催される金融政策決定会合ということになる。

黒田新総裁は、新たに副総裁に就任する岩田規久男学習院大学教授とともに、インフレターゲット論を提唱し続けてきた人物であり、安倍晋三首相の求める日銀新執行部の理想に近い布陣になったと言えよう。

市場は黒田新総裁の誕生を、安倍首相が提唱する?大胆な金融緩和〞の継続とさらなる金融緩和の実施への期待感から歓迎している。

2005年に出版された黒田新総裁の著書『財政金融政策の成功と失敗』では、「為替の安定にとって金融政策の協力が非常に重要」「中長期的に適切な物価上昇率に関する期待を維持する必要があり、何らかの意味のインフレターゲットあるいは物価安定目標は不可欠」と述べている。

しかし、市場が期待するほど黒田新総裁が金融政策で採れる手段は多くない。資産買い入れ等基金の増額が中心となり、残存期間3年以内に制限している国債の買い入れ対象を5年あるいは10年まで長期化する可能性はあるだろう。

また、最近は残存期間4年までの債券利回りが0.1%を下回る状況が発生。これは日銀が当座預金の超過準備額に対して付けている0.1%という水準を意識したもので、市場は日銀当座預金の付利撤廃を織り込み始めているということだろう。金融政策の一環として当座預金の付利が撤廃される可能性もある。

外債購入については、事実上の為替の直接介入にあたるとの考え方から、否定的な見方も多い。だが、当の米国はこの問題に対して批判をしていない。その背景には、米国における量的緩和の実施により、FRB(米連邦準備制度理事会)の米国債購入が限界点に近づいていることがある。

中国が米国債の購入に消極的な現状、日本が米国債を購入することは?干天の慈雨〞のようなものであり、金融政策として日本の外債購入が行なわれる可能性はあるだろう。

問題は黒田新総裁が?日銀の中立性〞を明らかにするために「政権の傀儡ではない」ことを市場に示すのは非常に難しいこと。加えて、武藤敏郎元財務事務次官を抑えて、日銀新総裁に就任したことで、財務省との協力関係を構築するのが難しくなったことにも配慮が必要だ。



この記事は「WEBネットマネー2013年5月号」に掲載されたものです。