日本統治時代の「ハヤシ百貨店」、台南で営業再開へ/台湾

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(台南 1日 中央社)日本統治時代、台湾南部初の百貨店として現在の台南市中心部に開業した「林百貨」(=写真)は今月、補修工事終了後の検査を終え、年内の営業再開へ向けて委託業者の募集を開始する。すでに昨年公聴会が行われており、国内有名デパートなど企業各社が関心を寄せているという。

台湾では日本統治時代の1932(昭和7)年、台北には「菊元百貨店」、台南には「林百貨店」がそれぞれ開業、新たな消費スタイルの時代へと進んでいった。これら百貨店には、当時まだ珍しかったエレベーターやエレベーターガールによる案内があり、デパートでの買い物や食事は人々の楽しみとなった。

現在、菊元百貨店は姿を消しているが、台南の林百貨店は戦後しばらくは塩田関連の公的機関などが使用していたものの、長らく空きビルのまま長年廃墟と化していた。米軍の空襲の中を生き残った「林百貨」はその後1998年に古跡指定を受け、7000万台湾元(2.2億円)が投入されて2010年からまる3年かけて補修工事が行われたが、今年1月ようやく終了した。

台南市では早ければ年内のオープンを果たしたいとしており、古くは“台南の銀座”との異名をとった周辺市街・中正エリアの再発展につながればと期待しているが、価値ある建築を傷つけないよう保護措置をとりながら、「林百貨」を文化クリエイティブ路線を行く特色あるデパートとしたい考えだ。

(編集:谷口一康)