1999年から戦うようになって、ずっと旅行続きの人生を送っている。ソファで寝ることだって多かったから、日本のホテルに泊まることは苦にもならない」

――食事面はどうですか。

「僕は料理が出来ないからね(笑)。でも、凄くシンプルな食事で構わないんだ。洒落た食事も必要ない。僕が食事を摂るのは、栄養補給が目的だ。もちろんヤキニクは好きだし、味にこだわらないわけじゃない。ただし、食事は味を楽しむことにプライオリティを置いていない」

――2月23日のSB、金井健治戦は70キロ契約。以前はその体重でMMAも戦っていたとはいえ、先日の試合のヨアキムは本来の動きとは言い難く、やや重かったように見受けられました。

「そう見えたら、正解だ(笑)。長い間70キロで戦って来たけど、10年前と今が同じスピードだとは思っていない。それが普通さ。それにカナイ戦ではクリンチを多用し、彼を疲弊させてようという作戦だった。

カナイは、切れとスピードが信条の選手だ。そこを潰して戦おうと思っていたんだ。でも、決してホールドしていたわけじゃない。クリンチからの投げで、2度シュートポイントを取れたのは嬉しかった(笑)。あれがSBルールに適合した、僕の立ち技のスタイルだよ。

シュートボクシングで戦って投げでポイントを得るには、テイクダウンではなく、スローイングが必要になってくる。腰より上で投げないと、ポイントもつかない。ダブルレッグなら、しっかり相手を肩に乗せてから倒さないと、加点もなく疲れるだけになってしまうんだ」

――そんなSBの経験は、どのようにMMAに生かされるのでしょうか。

「SBとMMAは距離、角度、高さも違う。ホントにSBの戦いには以前から興味を持っていた。スタンドのバーリトゥードという興味深いコンセプトを持っている。SBでシュートポイントが取れるようになると、MMAはずっと戦いやすいものになる。パンチや蹴りからクリンチという部分を磨きあげることができると、当然のようにMMAではダブルやシングルは当然として、ボディロックからのテイクダウンもずっと仕掛けやすくなるからね」

――なるほど。RFCでのファイトはフェザー級契約ですが、もともとヨアキムはほとんど減量をしないファイターでした。ライト級とフェザー級で戦う時に体力面での違いを感じることはありますか。

「どうなんだろう? 元々、修斗時代は70キロで戦い、PRIDE武士道では73キロだった。DREAMで途中からフェザー級で戦うようになったけど、僕のなかではライト級時代の方がスピードもあったし、また70キロに戻すことも考えている。RFCでの試合は65.5キロ、今は73キロだし、計量前日に残り2キロほどまでに落す必要があるかな。寝て、また500グラムぐらい落して、残り1キロから1.5キロを当日に減らす。試合の時は70キロに戻っているから、ライト級で戦うなら、そんな手間がなくなるしね」

――ただし、ライト級なら普段は80キロ・オーバーという相手と戦うことがザラになり、瞬発力が求められる機会が多くなったMMAで、どのように判断するからですね。RFCではフェザー級王座決定トーナメントを開き、ヨアキムは新王者へのナンバーワン・コンテンダーとなることも期待されていますよね。

「とにかく今回の試合はフェザー級で戦う。そこから、また時間を置いてライト級かフェザー級にするか考えるよ。RFCが僕に期待してくれるのは嬉しい。でも、今年の終わりごろにどうしているかとか、余り考えていないんだ。ソ・ドゥウォンとの試合で、どんな風に感じるか。まずは、彼に勝つことからだよ。だから、基本的にロングタームの契約はどこともしていないし、今は一戦、一戦を大切にしたい」