2年ぶりにツアー2勝目をつかんだDAポインツ。マスターズ出場も決めた(Photo by Scott HalleranGetty Images)

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 ヒューストン・オープンの優勝争いは大混戦だった。最終日を迎えたとき、リーダーボードの上位7人は初優勝を目指す選手たち。そして上位12人が今年のオーガスタへの切符を手に入れようと必死だった。
石川遼はマスターズ前ラスト試合予選落ち
 その混戦を抜け出し、勝利を掴んだのは36歳の米国人、D.A.ポインツ。通算2勝目を挙げ、自身2度目となるオーガスタへの切符を掴み取った。
 それにしてもポインツの今季の成績は9試合に出場して予選落ちが7回。不調が続いている石川遼をさらに上回るほどの不調だった。しかし、今週は一転して好調になり、あれよあれよという間に勝利に輝いた。
 傍から見れば、「なぜ突然、良くなった?」と首を傾げたくなる急変異変だが、ポインツ自身にとっては決して驚くことではないのだそうだ。
 「昔、二軍ツアーに出ていたときもそうだった。去年、この米ツアーで初優勝したときもそうだった。予選落ちや不調が続いている中で、タイミング良く誰かからアドバイスをもらうと、翌週には調子が良くなって優勝できる。今回も、まさにそうだった。どんなに不調が続いても、そうやって復活できる日を僕はただの一度も疑ったことない」
 先週から今週にかけて、ポインツの調子を好転させるアドバイスをしたのは、米ツアー仲間のクリス・ストラウドが紹介してくれたインストラクターだった。
 「わざわざ帰りの飛行機を遅いフライトに変えてくれて、僕にパットのレッスンをしてくれた。おかげで今週のパットは絶好調だった」
 こういうチャンピオンの成功秘話を聞いていると、草の根の強さを感じずにはいられない。ポインツは99年にプロ転向後、草の根のミニツアーや二軍ツアーで下積みを重ね、05年に米ツアーに辿り着いたものの、07年と08年は二軍へ逆戻り。そして09年からは米ツアーへ舞い戻り、11年のAT&Tペブルビーチ・プロアマでようやく初優勝を挙げた。
 どう贔屓目に見ても、大スターではない。なんとかシードを維持しながらの今季は生涯7季目、そして連続5季目。36歳にして2勝目は間違いなく遅咲きだ。が、下積み時代を共に歩んできた仲間とお互いに協力し合い、そうやって誰もがぎりぎりのところでツアーを生き抜いてきた。
 果てしない苦労続きの這い上がり人生。それなのに、自信と未来への意欲は途轍もなく大きいから驚かされる。
 「もっと勝ちたい。1勝や2勝で満足なんてしないよ。もっともっと勝ちたい。メジャーでも勝ちたい。ライダーカップにも出て勝ちたい。このオレに、それができないなんて思ったことは一度もない。自分の能力と可能性を疑ったことなんて、ただの一度もない」
 これぞ、欧米人のメンタルタフネスというものなのだろう。日本人は世界から見たら弱気すぎるし、謙虚すぎる。自信過剰ではないかと思えるぐらい大きく強い気持ちを、世界で戦う日本人は、もっともっと持っていい。それは石川遼にも言えることだ。
 石川は「僕が米ツアーで優勝を目指している」と言い続けており、その目標設定の仕方は、ある意味、強気だ。だが、そこに強気を見せている反面、予選落ちが続く昨今の現実の中、彼は精神的に弱気に見える。何より表情が沈んでいる。
 改造中のスイング、そこから放たれるショットが、理想に近いか遠いかにばかり気を揉み、ダブルボギーが1つ2つ出ると、そこから盛り返す意欲さえ失ってしまったかのようなプレーぶりになる。そして、わずか5連戦が続いただけで「心をリセットしているつもりでも、すぐ3〜4日後に試合が来る」と、心身ともにキュウキュウ状態に陥っている。
 草の根で鍛え抜いた欧米選手たちは、出られる試合があれば7〜8連戦なんて当たり前。予選落ちがどれだけ続こうとも、どこまでも自信を抱き、強くたくましく試合に挑んでくる。そんな彼らの中で生き残るためには、もっと図々しく、もっとふてぶてしく、自信過剰なぐらいになっていい。そうでなければ、厳しい弱肉強食のこの世界で戦い続けることはできない。
 そんなことを、しみじみ考えさせられた大会だった。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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