食品編

写真拡大

業界トレンドNEWS Vol.166

食品編

海外進出や健康・美容マーケット顧客の取り込みなど、各社の取り組みをチェック!


■コスト増と値下げ圧力の板挟みを避けるため、各社は海外進出や高機能食品の開発に注力

経済産業省の「工業統計調査」によれば、2010年における「食料品製造業」の製造品出荷額は24.2兆円。前年(24.6兆円)に比べ、1.4パーセント減となった。人口減少・高齢化社会の到来によって日本人の食料消費は減少が続くと見込まれており、国内の食品市場は縮小傾向だ。

コスト面でも厳しい状況が続いている。12年末から本格化した円安によって、小麦・大豆などの原材料価格が上昇。また、原油高によって原材料の輸入コストもかさんでいる。そのため、食品メーカーは製品の値上げを相次いで表明。ただし、コスト高を小売価格に転嫁できるのは、競争力が高い商品に限られるのが実情だ。冷凍食品など、競合メーカーが多くて小売店での特売が常態化している品目では、利益を出すことがますます難しくなるだろう。

不況によって消費者の節約志向が強まっているのも気がかりだ。安価なPB(PrivateBrandの略。小売業者が企画し、メーカーに生産を依頼した独自ブランドのこと)商品が人気を博しており、食品メーカーのシェアを奪っている。さらに、近年の小売業界では統合が進み、スーパーやコンビニが強大な販売力を背景にして価格交渉力(バイイング・パワー)を強めていることも、値下げ圧力につながっている。つまり、原料の供給元である「川上」ではコスト増、商品の販売チャネルである「川下」では値下げ要求が続くという、板挟みの状態なのだ。

こうした中、各社が力を入れているのが海外進出だ。各食品メーカーは、中国や東南アジア、東欧、南米など、若年層の人口増加が期待される地域で積極的な事業展開を進めている。特に、アジア諸国は大きな焦点。地理的にも食文化的にも日本と近く、また、急激な経済成長によって市場拡大も期待されている。現在は円安傾向になっているとは言え、広い視野で見ればまだまだ円は高い。そこで各社は、豊富な資金力を生かし、アジア企業の買収などによって販路拡大を目指している。また、日本食に対する信頼感・健康イメージを背景に、先進国や、新興国の富裕層を取り込もうとする試みも加速。しょう油や緑茶といった商品は海外での売り上げを順調に伸ばしているところだ。

高付加価値商品を強化し、利益拡大を目指す動きも活発である。その代表格が、特定の保健機能成分を含む「特定保健用食品(通称トクホ)」。また、「低カロリー」や「減塩」といった健康づくりを支援する食品の分野も、新商品が次々と生まれている。こうした商品は価格競争に巻き込まれる危険性が小さく、健康・美容マーケットの顧客を取り込む効果もあるため、各社が力を入れているのだ。

現在、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の行方に注目が集まっている。仮に日本がTPPに加入し、加盟国における関税が撤廃された場合、食品原材料の供給ルートは大きな影響を受けるだろう。また、食品の輸出には追い風となる半面、安価な輸入食品が増えて国内メーカーの脅威になる危険性もある。今後も、ぜひ関連ニュースに注目しておこう。