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書類選考や筆記試験を突破し、いよいよ面接というとき、いまどきの面接官はどこを見るのか? 第一印象から面接中の振る舞いまで、最新のマニュアルを紹介する。

■なぜ求職者が主導権を握るのが難しいのか

心から望んでいるポジションの採用面接が決まった。自分を印象づけるチャンスは1度しかないが、具体的にどうすれば際立った印象を与えられるのかわからない。相反するアドバイスがあふれ、ルールが変化しているなかで、どのように準備をし、どう振る舞えばよいのかについて混乱するのは無理もない。

よくあるアドバイスの1つに、面接の「主導権を握れ」というものがある。キャリア戦略の専門家で、『The Interview Expert: How to Get the Job You Want』や『Job Interviews: Top Answers to Tough Questions』の著者としても知られるジョン・リーズは、このアドバイスは語弊があると言う。「実際は面接官が主導権を握る。求職者のやるべきことは、面接官をできるだけ手助けすることだ」。

エゴンゼンダーインターナショナルのシニア・アドバイザーで『Great People Decisions』( 邦訳『人選力』)の著者、クラウディオ・フェルナンデス・アラオスも、この考えに賛成する。「求職者は面接官が正しい判断をする手助けをする必要がある」。就職コンサルタントとしての26年のキャリアのなかで2万人以上の求職者を面接してきたフェルナンデス・アラオスによれば、ほとんどの面接官は無意識の先入観にとらわれて、能力よりも経験に関心を集中しすぎる。そうした展開にならないようにすることだ。

■ほとんどの人は準備不足である!

面接前の準備が大切だとはわかっていても、十分準備している人はめったにいないと、フェルナンデス・アラオスもリーズも口をそろえる。

「準備にはどれだけ時間と労力をかけてもかけすぎということはない。その会社についてできるだけ多くのことを調べておく必要がある。会社の組織構成や文化、関連産業の動向についてはもちろん、面接官の人となりについても情報を得ておくのが望ましい」と、フェルナンデス・アラオスは言う。

彼はさらに、具体的な職務内容についても調べておくようアドバイスする。そうすれば、その職務をこなすのに必要な資質が自分にあることを具体的に説明することができる。面接室に入る前に、面接官に伝えたい3つないし4つのメッセージを決めておこう。これらは「自分のこれまでの実績と、応募した会社のそのポジションで成功するために本当に必要な資質とのつながりを示す」ものでなければならないと、フェルナンデス・アラオスは主張する。

リーズはそれに付け加えて、メッセージを伝える最善の方法は、物語形式にし、しかもそれを事前に下書きすることだと言う。「人は証拠やデータより物語にはるかに強く引き込まれるものだ」。物語は簡潔で興味深いものでなければならない。冒頭に興味をかきたてるセンテンスを持ってこよう。たとえば、「私が会社を救ったときのことをお話ししましょう」というようなセンテンスである。それから、その物語を完全に自分のものにしよう。途中で言葉に詰まったり、ロボットのように抑揚のない話し方になったりせずに物語を伝えられるよう、どのように始まり、どのように終わるかを頭に刻み込もう。そして、可能なときはいつでも、面接官の質問に物語を使って答えよう。

「完璧な候補者はどこにもいない。あなたもまた例外ではない」と、フェルナンデス・アラオスは言う。履歴書に不十分な点があるのではないかと心配するならば、面接官の関心をそこに向けさせずに自分の潜在能力を前面に打ち出そう。未来のパフォーマンスを示す指標としては、潜在能力のほうがはるかに有効な場合が多いのだ。「過去の実績がその仕事と直接関係がなくても、学習能力や新しい状況に適応する能力の高さを発揮してきたという求職者は、それをはっきり伝えるべきだ」と、フェルナンデス・アラオスは言う。

たとえば、国際舞台での経験がない人が国際的な仕事の面接を受ける場合には、生産部門と販売部門など、2つの部門にまたがるポジションで両方の人々を協力させてきた経験が、異なる文化を持つ人々と協働する能力を実証していると説明することができるだろう。

■落ち着いて、自信に満ちた雰囲気をつくる

面接官は最初の30秒で候補者の人柄や知性について評価を下すという研究結果があると、リーズは言う。「部屋に入ってどのように話し、どれくらいリラックスしているように見えるかが重要なのだ」。うまくやる人々は、落ち着いてゆっくりとはっきり話す。自信に満ちた歩き方をし、動揺している印象を与えないよう、何を自分の心の「支え」にするかを徹底的に考える。リーズは、入室の仕方を何度か練習するよう勧める。自分の姿をビデオに撮って見てみるのもよい方法だ。電話面接にも同じことが言える。会話の最初の30秒を使って、自信のある落ち着いた人物という印象を確立する必要がある。

リーズは「ありのままの自分でいよう」というアドバイスを「明らかな間違い」と断定する。「面接は訓練を重ねたうえでの即席パフォーマンスであり、自分のベストの姿を見せようとする場だ」と、彼は言う。できるだけ多くの活力と熱意を面接の場に持ち込もう。だが、誇大宣伝してはならない。人材市場は供給過剰なので、採用する側は、候補者が自分の経験やスキルを誇張することを強く警戒しているからだ。「自分は何ができるかを語る場合には、それを確かな証拠で裏づける必要がある」と、リーズは言う。

■厳しい質問に答える準備をしておこう

職歴における空白期間など履歴書の「傷」についての質問にどう答えればよいかは、多くの人が悩むところだ。この場合も鍵は事前準備にある。こうした厳しい質問に対する答えは、1つだけでは足りない。リーズは3つの防衛線を用意しておくことを勧める。まず、あまり細かい点には触れない簡単明瞭な答え。それから、面接官が深く聞いてきてもきちんと答えられるよう、追加の答えを2つ用意しておく。

たとえば、大学を中退して必要な学位を取っていない場合には、まず「すぐに仕事の世界に入るほうがよいと思ったからです」というような答えを用意しておこう。面接官がさらに質問した場合には、もっと詳しく、たとえば「この件については慎重に考えました。中退したらマイナスのイメージを持たれることになるのはわかっていましたが、仕事をするなかで学べることのほうが多いと思ったのです」というふうに答える用意をしておこう。「要は、気の利いた答えが見つからず途方にくれる状態に追い込まれないようにすることだ」と、リーズは言う。

準備を十分積んだとしても、面接がどのように進むかを正確に予測することはできない。「入室したらレーダーを働かせる必要がある。優れた候補者は、状況に合わせてパフォーマンスを微調整するすべを知っている」と、リーズは助言する。また「多くの面接官は、候補者に話させるより自分が話すほうが好きなので、その場合は黙って聞くべきだ」とも言う。

面接官があまり関心を示さないとか、質問の言葉に詰まってしまった場合は焦ってはいけない。

「そんなことをしたら間違いなく不合格になる」と、リーズは言う。くよくよせずに今の瞬間に集中しよう。「今の質問が最初の質問であるかのように、その質問に答えることに集中しよう」と、リーズは言う。状況を認識することによって、会話の方向を変えるという方法もある。「そちらが求めておられるものをお示しできていないような気がするのですが」というようなことを言って、面接官の出方を見てもよい。

「重要なことは、事態をさらに悪化させないことだ」と、リーズはアドバイスする。

(エイミー・ギャロ=文 ディプロマット=翻訳 Getty Images=写真)