機械よりも人間の嗅覚は優れているって知ってた?

写真拡大

いいニオイ、嫌なニオイ、食欲がそそられるニオイなど、私たちは意識せずとも毎日ニオイを感じています。

目に見えず、数字で測定することもできないだけに、自分の体臭や部屋がくさくないかも気になりますよね。

そこで、ニオイの専門家である公益社団法人におい・かおり環境協会、事務局次長の諸井澄人さんに、ニオイにまつわるお話をうかがいました。

――ニオイは目に見えないですよね。

測定する方法はあるのですか?「ニオイの強さを嗅覚で計る尺度として、『臭気強度』という考え方があります。

ニオイを直接嗅いで、六段階の強度のどのレベルにあるかで評価します。

ただ、同じ質で同じ強さのニオイを嗅いでも、個人によって感じ方が異なることがあるので、比較対象を用意したり、複数の人で測定するといった工夫が必要です。

機械でニオイを測定する方法もありますが、嗅覚で感じられる極めて薄い濃度まで測定できることは、あまりありません。

機械と比較しますと、人間の嗅覚はかなり感度が良いのです」――ニオイの強さだけではなく、いいニオイと嫌なニオイの区別も測定できるのですか?「はい。

ニオイの快・不快度についての尺度もあります。

ただ、快・不快度も臭気強度同様、個人差があります。

また、長時間嗅いでいることで、快から不快に変わることもあるのです。

例えばパンを焼いたときのよい香りでも、隣に住んでいて朝から晩まで嗅いでいると不快になることもあるでしょう。

また、ニオイを何倍に薄めればにおわなくなるかという『臭気指数』という尺度もあります。

この臭気指数を管理する『臭気判定士』という国家資格もあるんですよ」――ニオイの国家資格があるんですね、知りませんでした。

自分の体臭や自宅のニオイなどが自分ではわからないのはなぜですか?「『順応』といわれる現象で、同じニオイを長時間嗅いでいると、そのニオイについて感じ方が弱くなってくることにより、自分の体臭や自宅のニオイを感じなくなります」――自分ではわからなくても、ほかの人に「クサイ」と思われていないか不安です。

何かよい方法はないですか?「部屋の中の簡単なニオイ対策としては、基本的なことなのですが、よく喚起することです。

料理をしてニオイが部屋にこもってしまった場合は、換気による空気の入れ替えが不可欠です。

また、靴や排水口については、ニオイが発生する前に細菌類の繁殖を抑えることがポイントになります。

重曹、クエン酸、酢酸、エタノール、漂白剤などが有効です。

ニオイを吸着させることによって除去する活性炭の活用もおすすめです。

下水臭などの場合は、配管や吸排気関係に原因があることがあります。

臭質から原因箇所をつきとめて対策することも重要です。

店舗などの場合は、臭気判定士に相談するのも良いかもしれません」――体臭はどうなのでしょうか? 頭皮のニオイも気になります。

「体臭は、難しい問題です。

体臭の場合、その人の体質、健康状態、生活習慣などが影響すると考えます。

体臭については十分な知見を持っていませんが、規則正しい生活など健康を維持していくことが大切かと思います。

また、極度に神経質になることもないかと思います」――人間の嗅覚についてうかがったところで、嗅覚の優れた動物についても気になるところ。

これについて教えていただけますか?「イヌやネズミの嗅覚が優れていることは、よく知られていますが、実は脊椎動物よりも昆虫の方が優れた嗅覚をもっているといわれています。

食べ物を探す目的のほか、生殖行動に関する重要な役割を持っているのです(出典:「トコトンやさしいにおいとかおりの本」,日刊工業新聞社 2011年)」――昆虫に優れた嗅覚があるとは知りませんでした。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「無臭であることが良いことである風潮にありますが、ニオイは、健康や危険に関するアラームとしての役割もあります。

例えば、私たちは腐敗臭や焦げるニオイには敏感に反応するのですが、それは生きていくために不可欠だからです。

嫌悪せずに、いろいろなニオイを体験し、身近なものにしてもらえればと思います」嫌だと感じるニオイにも、それぞれ意味があるのですね。

これからはいろんなニオイを感じてみたいと思います。

取材協力:公益社団法人におい・かおり環境協会、事務局次長の諸井澄人さん (OFFICE-SANGA 臼村さおり)