ネット上の著作権の戦い! 弁護士に聞きました




「著作権法」が改正され、昨年の10月には「リッピングの違法化」、「違法ダウンロード刑事罰化」が施行されました。ネットの使用が当たり前になる中、「著作権」に対する取り扱いも難しくなっているとのこと。弁護士法人アディーレ法律事務所の弁護士、島田さくらさんにお話を伺いました。



■権利意識の高まりとともに相談も増加



――著作権に関する相談は増えているのでしょうか?



島田弁護士 「知財立国」という考え方で権利意識が強まっていますから、増えているように感じます。ただ、これはアメリカをモデルとした考え方で、日本ではまだまだだといえるでしょう。



――どんな相談が多いのでしょうか?



島田弁護士 最近はネットで音楽や動画などをアップロードすることが簡単になっています。便利になった反面、自分の著作物が勝手にアップロードされているなんてことも増えています。



私が携わった中では、インディーズバンドをやっている方が「自分たちの楽曲や歌詞が勝手に転載、使用されている」といった相談が典型的な例でしょうか。



――インディーズやアマチュアの人はJASRACのような管理団体にあまり管理を頼んでいないと聞きますが。



島田弁護士 大手の事務所や出版社と契約していれば、そちらで管理団体への委託手続をしてくれることが多いのですが、そうでない場合に個人で委託するとなると費用も手間もかかりますからね。また、JASRACに委託するには第三者による使用実績が必要なので、初期から管理してもらうことが難しいようです。



しかし、著作権侵害は実際に起きています。インディーズやアマチュアのミュージシャンが利用しやすい団体もそのうちに出てくるでしょう。



■違法ダウンロード刑事罰化! ストリーミングはアウト!?



――昨年の10月1日から「違法ダウンロード刑事罰化」が施行されましたが、現段階でこれに当たる事案はありますか?



島田弁護士 いえ。まだ該当事案はないようですね。



――そのうち京都府警が誰かを逮捕しそうな気がするんですが(笑)。



島田弁護士 ああ(笑)。京都府警は熱心ですからねえ。今までは、アップロードする側に対する「刑事罰」だったのですが、「ダウンロードする側」にも刑事罰を科するという流れになっています。



――「違法ダウンロード刑事罰化」について伺いたいのですが、これストリーミングでも捕まるんでしょうか? つまりキャッシュメモリーやテンポラリーに格納されたデータでも「ダウンロード」とみなされるんですか?



島田弁護士 文化庁の見解では、ストリーミングはセーフということになっています。著作権法「47条の8」というのがありまして、そこで「ストリーミング」に対する配慮がされています。



――あ、それは一安心ですね。



島田弁護士 アップロードする際には「これは違法だな」と思っていることが多いと思います。ただ、ダウンロードする際に「違法だ」と思っている人は少ないと思うんです。例えば「みんなやっているから」とかですね。法律が改正されたので、その法の規制の部分と、皆さんの意識の整合性をどうとるかが問題になってくるでしょう。



■著作権絡みでは和解が難しい!?



――著作権絡みの事案で難しいのはどんな点ですか?



島田弁護士 ほかの事案ですと、どこかで「和解する」というケースは多くあります。それは経済性であったり、「結局のところ損か得か」といった判断が働くからですね。でも、著作権で争ってお互いに意地になっている場合には、そういった判断が働きにくいという側面があると思います。



――なるほど。決着をつけるまでやる、みたいな。



島田弁護士 はい。勝つにしろ、負けるにしろ、とにかく判断を出してもらうまでやるということがありますね。



――「負けそうでもやる」と?



島田弁護士 はい、そのような場合もありますね(苦笑)。私たち弁護士は、依頼者の方から、お話を伺って状況を判断します。そして、もし厳しそうな場合は、きちんとそれをお話しします。ですが、それでも和解ではなく、どうしても決着をつけたいという方もいらっしゃいますね。もちろん弁護士としてベストは尽くしますが。



――決着をつけたいんですね(笑)。



島田弁護士 あと、最近は裁判官が「心証開示」を行う傾向にありまして……。



――それは「勝ちそう」とか「負けそう」とか、そういうことですか?



島田弁護士 平たく言うとそうです(笑)。まあ「どうします?」というサインです。その「心証開示」が不利な場合には、相談していい落としどころを探すものなんですが……。



――それでもやる、と(笑)。著作物はわが子も同然ですからね。



島田弁護士 著作権には「著作者人格権」というのがあります。著作物は著作者の人格などが投影されたものであるため、著作物の扱いによっては著作者の人格まで侵害する恐れがあります。



そのために、この「著作者人格権」というのがあって、これは「心情」を法律で保護しているという側面があります。つまり、著作権には、「著作者の気持ち」が大きく含まれてしまうんですね。ですから、いざ争いごとになると大変です。



■日本では「著作権」絡みの事案はまだまだ少ない!



――著作権の裁判事案というのはどのくらいの数あるものですか?



島田弁護士 年間に100件とか200件。そういう数字です。



――そんなに少ないんですか?



島田弁護士 はい。日本人はまだ自分の著作物に関しての権利意識が十分でないのかもしれません。



――国民性でしょうか?



島田弁護士 そもそも「著作権」というのが、日本人にとって新しい考え方なんでしょうね。著作権を扱った経験のある弁護士が少ないということもあると思います。私も著作権の事案に携わっていますが、まだまだ若輩者ですし。



著作権絡みの係争事案は増加傾向にありますが、米国と比べるとまだまだ少ないとのこと。あなたは「著作権」についてどんな考え方を持っていますか?







(高橋モータース@dcp)