“女性は愛するよりも愛されるほうが幸せだ”とよく聞きますが、果たして本当にそうなのでしょうか。中には“愛するほうが幸せ”と言わんばかりに優しくない彼ばかりを選んだり、優しくて、自分を本当に愛してくれる彼だと分かっていながらも、別のダメ男に走ってしまう“愛し女子”もいます。女性は安定すると、刺激がほしくなってしまう生き物なのでしょうか。それとも、結局は優しくて、自分を愛してくれる男性に戻ってくるのでしょうか。今回は、“愛され女子”と“愛し女子”が登場するアメドラ2作を紹介しながら、女性の幸せにフォーカスしていきます。

究極の愛され女子、アグリーだけど超キュートなベティ『アグリー・ベティ』


 高視聴率からスタートしたものの、視聴率が低迷し、泣く泣く最終回を迎えてしまったファッションコメディ『アグリー・ベティ』。日本でもNHKで放送されるなど、一度は目にした人も多いのでは? 本作に登場する主人公ベティは、個人的観測から申しまして、アメドラ史上最高の“愛され女子”だと思います。半径100メートル以内の男女はみんなベティのことを好きになってしまいます。では、誰をもメロメロにしてしまう、愛され女子ベティの秘密って? それはなんといっても「常にポジティブで明るい」こと。これにつきると思います。簡単なようで難しい“ポジティブである”こと。どんな逆境にも明るく笑顔で乗り越えていくベティを観ていると、「人生って楽しい!」って心から思えてきます。実際にこんな少女がいたら、ずっとそばにいてほしいって思うこと間違いなし!

 そんな愛されベティについてもう少し詳しく説明しておくと、剛毛&ボサボサヘアにゲジゲジ眉毛、どこで買ったの? と思わず聞きたくなるような趣味の悪いハデなワンピース、ニコっと笑えば歯に矯正器が光るコメディ要素すべてが詰め込まれた愛くるしい女の子。つっこみどころが百万個ぐらいあります。本が好きで、出版業界で働くことを夢見るものの、こんな見た目のせいか、はたまた気持ちの勢いばかりが空回りしているせいか、どこも雇ってくれない。ある日、門をたたいたミード出版の超一流ファッション誌「MODE」誌でミード出版の御曹司でもあり、「MODE」の編集長でもあるダニエルのアシスタントとして雇われることに。多くの才色兼備が面接を受けに来ていた中でなぜ、ベティが選ばれたかというと、理由は一つ、それは「アグリー=ブサイク」だったから(!)。ミード出版の社長であり、ダニエルの父であるブラッドフォードは、女ったらしなダニエルが秘書に手を出さない手立てを事前に立てたのです。そんなベティに、案の定手は出さないものの一緒に仕事をする気力も起きないダニエル。精神的に追いこんでベティを退職に追い込もうとするものの、体力も気力もあるベティはそうそう簡単なことではやめません。とにかく明るくてひたむきなベティ。やがてダニエルもそんなベティに心を許していき、いつの間にやらダニエルにとってベティはなくてはならない存在になります。女たらしではあるものの、それはできのよい兄アレクシスへのコンプレックスの現れだったり、父親への反抗心だったりもして、根はずっと素直で心優しい男性だったのです。

 そんなダニエルのよさをどんどん引きだすベティ。そんな彼女はさすが“愛され女子”で、他人の短所を隠し、長所を引きだすことがとても上手です。誰も自分でも気が付かなかった長所を引きだしてくれる女性と一緒にいたいって思いますよね?ダニエルにとってもベティはやがて「仕事の同志」から恋する相手に? とにかく自分にはベティがいなくちゃだめだ、と思うようになります。

 ニューヨークの最先端のファッション誌編集部で働いているわけですから、世界上級のハイクラスな男女が勢ぞろいしています。そんな中でのベティですから、常に浮きまくりです。受付嬢の超美人だけど頭はちょっと……なアマンダや、したたかなゲイのアシスタント・マークからいじられまくることは日常茶飯事。そんないじわるにもベティはひるむこともなければ怨むこともない、とにかく与えられた環境で自分ができることを一生懸命こなそうとします。努力やひたむきさにかなうものはありません。最後はベティに必ずハッピーが訪れ、アマンダとマークはそんなベティに心許さざるを得なくなります。いじわるは相変わらず最初から最後まで続くけど、中盤からはベティをいじめの対象ではなく、愛くるしくてたまらない友達として観ています。

 そして気になるベティの恋愛は? というと、常に誰かステディがいる状態。上司からも、同僚からも、こんなに愛されるベティですから、男性がほっておくわけありません。常に誰かがベティに恋をしているといううらやましい状態なのです。同じ会社の経理として働くヘンリーは別れてからもベティをずっと愛しているし、編集部にサンドウィッチを売りに来るジオもいつも明るく元気なベティが気になって仕方ない様子。自分からのアプローチは全くしないのに、常に周囲の男性をメロメロにするベティ、恐るべし。

 そんな根っからの愛され体質なベティは最後に驚きの決断をするのですが、それは観てのお楽しみ。いつも深く誰かに愛されるベティを観ていると、「女性は愛されてなんぼ!」って思うかも?


『アグリー・ベティ』
DVD&放映情報
シーズン1〜4までDVDレンタル中

無料BSチャンネル「Dlife」にてシーズン3が毎週(火)21:00〜ほか放送中

有料チャンネル「FOXチャンネル」にてシーズン4が毎週(月)〜(金)25:00〜ほか放送中

究極の愛し女子、有能女医のアディソン『プライベート・プラクティス』


 前述のベティが究極の“愛され女子”だとしたら、『プライベート・プラクティス』の主人公である女性医師アディソンは究極の“愛し女子”といえるでしょう。全米屈指の腕を持つ優秀な新生児外科の医師にも関わらず、恋愛においてはいつも落第点ばかりなアディソンの恋愛遍歴に少し迫ってみたいと思います。

 シアトルの大病院で働く医師たちの慌ただしい日常を描いた人気医療ドラマ『グレイズ・アナトミー』のスピンオフとして始まったのが本作『プライベート・プラクティス』。『グレイズ・アナトミー』のバタバタした展開とは異なり、一人一人の患者とじっくり向き合うハートフルな展開になっています。

 『グレイズ・アナトミー』の舞台であったシアトルの大病院で、有名な新生児外科医として活躍していたアディソン。順風満帆にみえた彼女の医師ライフですが、同じく医師として活躍していた夫のデレクをあろうことか裏切って不倫、そのまま離婚することになります。長年熱望していた外科部長になる夢も破れ、人生の路頭に迷ったアディソンは逃げるように親友ナオミが設立したロサンゼルスにある共同医療センターで開業医の一人として働くことに。大病院であり得ない人数の患者を診てきた毎日から一転、海辺の小さな病院で患者一人一人とゆっくり向き合う集中治療を行うことになります。

 場所や規模が変わっても、優秀で患者第一の姿勢は以前からな変わらないアディソンですから、これらの変化は彼女にとって大した問題ではありません。問題は“恋愛”ですね。ずば抜けて仕事ができて、皆から頼られて、その上美人なのに、一人でいることが苦手なアディソン。常に男性がそばにいて、恋愛している状態にないととてつもない孤独を感じてしまうのです。そんな彼女の恋愛遍歴は、不倫して離婚したという前歴にも驚きますが、ロスにきてからもそれは鮮やか。SWATの隊員と恋をすることもあれば、同じ共同医療センターで働く医師に恋をすることも。その後は親友ナオミの元夫とまで恋をしちゃうのだから、医師としては治療をお願いしたくてもお友達にはちょっとなりたくないかも?

 そしてアディソンはいつも恋愛におけるいつも同じカルマ(業)で悩みます。それは、「最後はいつも、相手の心が自分から離れていってしまう」こと。男性が他の女性を好きになってしまったり、仕事でこれまで何百人もの新生児をとりあげてきたけれど、実は自身の子供がほしいいアディソンと意見の相違があったりで、幸せな恋愛関係は長くは続かず、いつも男性が去っていくという悲しい結末になってしまうのです。失恋直後にすぐ新たな男性ができるのもまたアディソンのカルマ。一人でいることができなくて、相手が例え親友の元夫や同僚医師の元彼氏でも、すぐに恋に落ちてしまいます。一応、そういう相手との恋愛に、はじめはひどく躊躇するアディソンなので、決して人のモノを奪うことに快感を覚える性悪女ではないのですが、好きになってしまったら止まらない……。トラブルが起こることが目に見えている男性との恋愛にあえて挑むのですから、もはや本能レベルで「愛される」よりも「愛したい」体質なのでしょう。自分を心から愛してくれる相手と幸せな恋愛をしたいと心から思っているアディソンですが、そう思いながらも実は追われるよりも追っている、愛されるよりも愛している状況こそ、彼女にとっての“幸せ”な恋愛なのかも?

 「愛される」のと「愛する」の、女性にとっての幸せはどちらなのでしょう。本当はどちらでも、自分が「幸せだ」と思えたらそれが答えなのかもしれませんね。

『プライベート・プラクティス』
http://www.wowow.co.jp/drama/private/

DVD&放映情報
シーズン1〜3までDVDレンタル中
シーズン4が2013年7月よりDVDレンタル開始予定
現在、シーズン5が有料チャンネルWOWOWにて毎週水曜23:00ほかにて放送中