米疾病対策センターが3月5日、衝撃的なデータを公表した。米国で、抗生物質の最後の切り札とされる「カルバペネム」が効かない腸内細菌(カルバペネム耐性腸内細菌=CRE)の感染がこの10年で広がっているというのだ。この間、検出率は約4倍に増えた。

 CREは健康な人に感染しても発症しないが、高齢者や、免疫力が低下した患者が感染すると、恐ろしい症状を引き起こす。

 口から体内に入った細菌は、腸管や尿管などに付着して増殖してしまう。それが血管のなかに入って血液に感染すると敗血症になる。その後、多臓器不全などを引き起こして、やがて死に至る。非常に危険な細菌なのだ。米国を震撼(しんかん)させるにとどまらず、ついに日本にも魔の手を伸ばしてきたのだ。

 昨年11月に千葉県内の病院に入院した60代の男性患者のたんや便からCREが見つかった。この患者は東南アジアで頭部の手術を受けていた。

 この例だけではない。国内にある約600の医療機関を対象にした2011年の調査では、CREと同種の大腸菌に感染した患者が103人見つかった。

 院内感染や細菌に詳しい、順天堂大学医学部の菊池賢・先任准教授が指摘する。

「あまり知られていませんが、CREの集団感染はいくつかの病院で発生しています。病床数が多い病院でも、感染症に詳しい専門医師がいないところで起きてしまいます。『大きな病院だから安心』というわけではありません」

週刊朝日 2013年4月5日号