世界中で大ヒットしたマンガで、アニメ化、ハリウッド映画化された「ドラゴンボール」の作者、鳥山明さん(57)が、マンガを描くとブツブツが出る「ペン入れアレルギー」にかかっていて、マンガが描けなくなってしまった。「オッサンは引退するのが一番です」と質問に回答した。

「ドラゴンボール」は1984年から1995年にかけ「週刊少年ジャンプ」で連載を続け、全世界でコミックが3億部以上売り上げたという作品だが、鳥山さんはこれ以降、単発の作品が主になっていて、長編はいつ出るのか、などとファンに取り沙汰されていた。

「ペン入れが嫌だからマンガをめったに描かない」

鳥山さんの近況が語られたのは2013年3月24日放送のフジテレビのCS番組「漫道コバヤシ」でのこと。「ドラゴンボール」の最新アニメ映画「ドラゴンボールZ 神と神」が13年3月30日から全国公開されることに合わせ特集が組まれた。鳥山さんはこの映画で原作、ストーリー、キャラクターデザインを担当している。

この番組では、鳥山さんに「ドラゴンボール」のキャラクターのその後や、実写映画化するのなら、俳優は誰を抜擢すればいいかなどの質問を事前に投げ掛け、文書で返ってきた回答を、司会者のケンドーコバヤシさん(40)が読み上げる、という進行をした。その中で、7つの玉を全て集めると、どんな願いでも1つ叶えられる「ドラゴンボール」に何をお願いしたいか、という質問に対し、話を思い付いただけで勝手に原稿が仕上がるようになりたい、と回答した。理由は、話を考えるのは好きだがペン入れが好きではないからで、

「ペン入れが嫌で、今ではマンガをめったに描かない」

と明かした。

鳥山さんはアシスタントを使うのが得意ではなく、原作者になるのが一番いいとは思うが、自分は年齢が高いから、自分の原作を描く漫画家は気を使ってしまうだろう。

「やはりオッサンは引退するのが一番です」

との回答をケンドーさんが読み上げた。

この番組に出演していた集英社の「ドラゴンボール」担当編集者だった武田冬門さんは、鳥山さんと電話で会話した時のエピソードを披露し、ペン入れするとブツブツが出る「ペン入れアレルギー」になったと打ち明けられた、と語った。ただし武田さんは、鳥山さんが原作者としてでなく、本人が書いた画で長編漫画を描いてくれるように説得したい、とした。ケンドーさんも、「ドラゴンボール」で願いが叶うなら、鳥山さんに漫画を描いてくれと頼む、と語り、

「いつになってもいいから、新作の長編を読んでみたい」

として番組を締めた。