『原発・正力・CIA  機密文書で読む昭和裏面史』

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今年(2013年)のアカデミー賞作品賞を受賞したのは、1979年にイランで起きたアメリカ大使館人質事件を題材にした『アルゴ』(監督、主演 ベン・アフレック)だった。CIA(アメリカ中央情報局)による救出作戦がスリリングに描かれている。あれから30余年、世界情勢の激変とともにCIAも変わったのか。米国最大の諜報機関の栄光と挫折とは――。

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日本の「原子力の火」にCIAの陰

『原発・正力・CIA  機密文書で読む昭和裏面史』

広島、長崎への原爆投下に続き、1954年の第五福竜丸の「死の灰」事件で、「反米」「反原子力」の世論が一気に高まるが、日本はやがて「核の平和利用」へと進んでいく。福島第1原発事故を受け、この世論形成過程を検証する動きがあるが、新潮社の新潮新書『原発・正力・CIA 機密文書で読む昭和裏面史』(著・有馬哲夫、756円)は、CIAの機密文書を読み解き衝撃的な事実を明らかにする。

主役は当時の読売新聞社主・正力松太郎とCIA。反米活動を鎮静化させ原子力に好意的な世論へと導くため、巨大メディアと諜報機関が手を組んだのだという。正力は「原子力発電の父」といわれるが、何を思い描き、どのような手法で原発を推進したのか。福島第1原発事故に先立つ2008年2月に刊行された話題の書だ。

「同時テロ」なぜ食い止められなかったか

『CIA 失敗の研究』

日本流にいえば、泣く子も黙るといわれるほど威光をほしいままにしたCIAだが、「失われた10年」があった。文藝春秋の文春新書『CIA 失敗の研究』(著・落合浩太郎、756円)は、東西冷戦崩壊後、仮想敵を失った諜報機関の葛藤と苦悩を検証する。

第2次世界大戦終了後、対ソ連戦略の中核を担ってきたCIAは、冷戦終焉とともに対テロ戦略へ方向転換を迫られながら、2001年の「9・11同時多発テロ」を食い止めることができなかった。それはなぜなのか。浮かび上がるのは、政治に翻弄され、官僚主義に蝕まれる巨大組織の姿だ。諜報機関のヒーローといえば、「007」のジェームズ・ボンドを連想するが、それはあくまで映画の中のこと。実際の工作員の地道な日常を紹介しながら、組織とリーダーのあり方についても鋭く指摘する。

ビジネスに役立つCIAのノウハウ

『最強スパイの仕事術』

CIAで25年間スパイとして活躍し、CIA最強のスパイといわれたピーター・アーネストがライバルを出し抜く禁断のテクニックを教える、というのがディスカヴァー・トゥエンティワンの『最強スパイの仕事術』(著・ピーター・アーネスト、マリアン・カリンチ、訳・福井久美子、1680円)のうたい文句だ。

ビジネスでのスパイといえば、産業スパイが映画や小説で取り上げられるばかりでなく、実際の事件にもなってサラリーマンが逮捕されたりすることもあるが、不法侵入や盗みのテクニックを伝授しようというのではない。スパイ活動とビジネスには、人材育成や組織作り、情報収集・分析や伝達方法など多くの共通点があり、そのノウハウはビジネスの上でも大いに役立つという実践の書になっている。