数年前から、学歴を低く偽って自治体に就職する地方公務員の存在がクローズアップされている。

2007年に1000人近い職員の詐称が発覚した大阪市などが典型だろう。民間でも学歴詐称はたまにある話だが、彼らはわざわざ大卒や短大卒であることを隠して就職しているわけだ。

都会の企業よりおいしい「高卒枠の地方公務員」

理由は誰もが想像するとおり、単純なものだろう。地方自治体というのはたいてい、学歴によって採用枠が決まっている。彼らにとっては、大卒に比べて高卒枠のほうが入りやすかったというだけの話だろう。

ここからは、日本社会の2つの現実が見えてくる。まず、下手な民間企業より、やはり地方公務員はおいしいということだ。

理由は簡単で、日本は仕事内容で賃金の決まる職務給ではなく、組織の格で賃金カーブの高低が決まる職能給の国だから。仕事内容にこだわりがなければ、自治体というレールに乗っかったほうが安泰なわけだ。

僕自身、地元の役所に就職した友人と、20代の間は可処分所得ではほとんど差がなかった。電機はその後上がっていくはずだったが、今は相当先行き不透明になっている。ひょっとすると、生涯賃金ベースでも負けるかもしれない(時給で比べると、たぶん既に負けていた)。

大手でこれだから、中小は言わずもがな。格で言うなら官≧大企業>中小となる。要するに、やりたい仕事もないのに、無理して都会の企業に就職するより、田舎の実家近所の役場に勤めた方が、たぶん安定した人生を送れるということだ。

ある水準以下の大学には、最初から進学しない方がいい

そして、もう一つの現実とは、そもそも無理に大学なんて行く必要はないということだ。もともと勉強が得意だとか、何か学びたいことがあって、そのために進学するならともかく、そういうものがないと言う人まで無理して周囲にあわせる必要なんてない。

特に、ある水準以下の大学には、最初から進学しない方がいい。普通の企業は、そういった大学は大卒とは認めておらず、それ以外の企業はそもそも学歴にこだわらないので、行くだけ金と時間の無駄である。その期間、実社会で経験を積んだ方が、よほど後の人生で役立つだろう(しかも学費払うどころか給料も貰えるわけだ)。

4年間高い学費を払いつつ、大卒学歴を無かったことにして公務員になりたがる大人の存在は、こうした考えを証明してくれるものだ。 

城 繁幸