自分の金銭感覚を調べる方法




●シェイクスピアは人間洞察の天才?

ヴェニスの商人といえば、「人肉裁判」、「箱選び」などで有名なシェイクスピア喜劇。その登場人物には、われわれもドキッとするような金銭感覚で大きな特徴がある。



●ヴェニスの商人とは

シェイクスピアが1590年代に書いて上演されたといわれる浪漫喜劇。題材はイタリアに伝わる物語集から取ったとされる。あらすじは以下のとおり。



ヴェニスに住むバッサーニオが、親友の商人アントーニオに金銭的支援を得てヴェルモントに住むポーシャという女性に求婚に行く。アントーニオは、全財産を貿易に投資しており、船が戻るまで貸す金がない。そこでユダヤ人の金貸しシャイロックから、金を借りる。



その際、契約書には「肉1ポンド」と記載されていた。期日までに金を返せない場合、アントーニオの身体からシャイロックが肉1ポンドを自由に切り取ることができるというもの。



一方、求婚を受けるポーシャは親の遺産を継ぐ条件として、3つの箱から正しい箱を選んだ男と結婚しなければならない。バッサーニオは、みごと正しい箱を選んで巨大な富と美しい妻を得る。しかし、親友アントーニオの全財産を積んだ船が港に着かず借金返済の期限切れに。



シャイロックに肉1ポンドを切り取られるかどうかの裁判が始まる。



●4つの金銭感覚タイプ



■シャイロック型は、堅実

この芝居の悪役であるシャイロックは実は質素倹約型。大金持ちであるにも関わらず、金銭には人一倍のこだわりを持ち、無駄な金を使うことを極度に嫌う。いわゆるけちである。ヴェニスの商人の中では、悪役であるとともに一番の損をする。



しかし、この裁判を除けば極めて金銭感覚に優れて堅実なタイプ。ただし、強欲の余り全財産を失うという結果を招いたのもこのシャイロックである。ほどほどに倹約したいもの。



■バッサーニオ型は、バブルの申し子、ギャンブラー

バッサーニオは遊びほうけたあげく、逆玉のこしを得るために友人の命をかたに借金をする。運よく箱選びでポーシャを嫁に迎えることができたが、その金銭感覚たるや他人へ依存しっぱなし。さしずめ、バブルの申し子といったところ。



ギャンブラー的な金銭感覚には周囲もはらはらするばかりである。



■アントーニオ型は、脳天気

アントーニオはいくら親友のためとはいえ、自分の命をかたにシャイロックから借金する。結果、幸運にもポーシャの機転で命が助かり、また、難破したと思った船も無事に帰還した。しかし、軽率なことはバッサーニオ同様。



こうした金銭感覚だと、いつかは痛い目をみるに違いない。



■ポーシャ型は、理性的で計画的

この戯曲で唯一理性を働かせていると思われるのがポーシャ。父の残した莫大な遺産を、父の教えに従い我慢し、自制心を働かせて待ち続けて最後に得る。あたかも株の値上がりを辛抱強く待ち続ける投資家のよう。こうしたタイプは、自制心を働かせる結果、得られる富を確実に得る。







こうした特性を踏まえてヴェニスの商人を読んでみると自分の金銭感覚をチェックできるのではないだろうか。



(文:深山敏郎/(株)ミヤマコンサルティンググループ/コミュニケーションズ・スペシャリスト)



●著者プロフィール



コミュニケーション改善の請負人として、高級ホテル、外食チェーン、外車ディーラー、IT企業など、20年で延べ4万人あまりを直接指導。夢は、英国でシェイクスピア芝居を英語で上演すること。 http://www.miyamacg.com/ お問合せ先:info@miyamacg.com

執筆協力:石井公一(いしいきみかず 中小企業診断士)