対局中にダジャレを言う人はいるのか、という質問については先崎学八段が「集中しすぎると口が勝手につぶやくことがある。

羽生さんや自分もしゃべることがある」というエピソードも。

友田氏からは「控え室でダジャレばかり言う藤井猛九段がとてもおもしろかった」と話していた。

『3月のライオン』では、猫の絵を使って二海堂晴信が将棋のルールを説明する話があるが、先崎学八段も実際に猫の絵を使い、駒の動かし方を説明していく。

「香車」の解説では「端攻めができればアマチュア5段クラスでありプロでも難しい」「金は守り、銀は機動力がある」など、贅沢すぎる「初心者向け将棋講座」が展開されていくが、好みの駒の話になると、鈴木環那女流二段が「銀の動きが人間が万歳しているように見えるから」と答えてスタジオ大爆笑。

佐藤慎一四段は「桂馬と香車は、役に立つ時、立たない時の両方があって好き」、先崎学八段は「角が成った馬が好き。

受けが強いから」とそれぞれに挙げていた。

このように実際の対局や研究会だけでなく、子どもたちにも将棋を教えているプロ棋士だが、先崎学八段は、最近では遊びではなく「集中力や忍耐力を養うための”習い事”として通わせる親がいるのは昔とは違う」と話し、将棋のあり方も時代とともに変化しているという。

将棋はもちろん玉を詰まされると負けになる。

そのため玉を安全地帯まで移動させて周りを金や銀で固める「囲い」という戦法があり「矢倉囲い」「美濃囲い」「カニ囲い」「穴熊囲い」などさまざまだが、やはりプロでも玉の近く駒が来ると相当なストレスであり、最も好まれるのは「穴熊囲い」だという。

なお、番組中のアンケートでは「矢倉囲い」「美濃囲い」「穴熊囲い」がほぼ同列の人気となっていた。

詰め将棋の紹介からの実践編では、『3月のライオン』5巻にある宗谷冬司と隈倉健吾の対局を例に解説を行われ。

これはNHKの将棋トーナメントで実際に行われた丸山忠久九段と三浦弘行八段の対局の素晴らしさに感動した先崎学八段が作中に登場させることを決めたという、エピソードが明かされていた。

「”逃げなかった”って記憶が欲しかったんだと思います」(2巻・桐山零)をはじめ、『3月のライオン』には羽海野チカが紡ぐ数々の名言が存在するが、同番組のメイン企画でもある名言集では、出演者がそれぞれに名言を紹介。

鈴木環那女流二段は「頭ではわかっているのに動けないのは何でだ」(2巻・桐山零)を、佐藤慎一四段は「どこかへ行ってしまいたかった」(2巻・桐山零)という言葉に「棋士」を感じたという。

先崎学八段は「ありすぎて選べないが、棋士が格好良く描かれているのが本当にうれしい」と述べ、「プロ棋士の心に刺さる言葉が多くて、羽海野さんは天才なんだな」と称賛を送った。

ただし、担当編集の友田氏によれば「羽海野さんの持論は世の中に天才はいない。

努力の先に力がある」といい、羽海野チカが紡いだこれらの名言も彼女の経験と努力から生み出されたものと言えるのかもしれない。

(なお、番組では随所に『3月のライオン』のCMが挿入されていたが、一番注目されたのはこの名言集後のCM。

渡辺明九段と里見香奈女流五段が登場し、コメントも凄まじい盛り上がりだった)そして、最後は「第2回電王戦」の見どころ解説。

電王戦の詳細については、何度もマイナビニュースで紹介されているが、プロ棋士5人と5種類のコンピュータ将棋が対戦し、3勝したほうが勝利。

持ち時間は各4時間で時間切れ後は1分将棋、千日手や持将棋は短時間でその局面となった場合は指し直しとなる。

先崎学八段は「詰む詰まないと部分では、人間と違って緊張もないので強いですね。

人間との対局とはまったく違うと思います」と話している。

3月30日の第二局「Ponanza」との対局に臨む佐藤慎一四段は、すでに研究済みであり”先行逃げ切り”を計り、「負ける気なら出ません」と自信を覗かせていた。

「第2回将棋電王戦」はニコニコ生放送で5週連続完全生中継を予定(無料)。

六本木のニコファーレで大盤解説会も開催される。

こちらの料金は一般1,500円、大学生以下1,000円で、チケットは当日発売。

本日3月23日の第1局は阿部光瑠四段 VS 習甦で、阿部四段が勝利し、まず棋士側が先勝をあげた。

人間VSコンピュータ――歴史に残る戦いの火蓋がついに切って落とされた。