人が生きていくうえで必須なものの1つである飲み物が、人の健康に悪影響を与えてしまうこともあります。単独会員数では世界最大の患者支援団体・AHA(アメリカ心臓協会)は、2013年3月にルイジアナ州ニューオーリンズで行われたEPI/NPAM Spring 2013 Scientific Sessionsという学会において、「世界で年間18万人が糖分を含む飲み物の摂り過ぎにより病気を発症し死亡している」ということを発表しました。

180,000 deaths worldwide may be associated with sugary soft drinks | American Heart Association
http://newsroom.heart.org/news/180-000-deaths-worldwide-may-be-associated-with-sugary-soft-drinks


アメリカ心臓協会の発表に関するムービーは以下のリンクから確認できます。

180,000 deaths worldwide may be associated with sugary soft drinks | American Heart Association
http://newsroom.heart.org/multimedia/podcasts/180-000-deaths-worldwide-may-be-associated-with-sugary-soft-drinks

糖分を含む飲み物の過剰摂取は肥満になる原因の一つで、肥満になると糖尿病心血管疾患がんを発症する危険性が高くなります。

疾病により失われた生命や生活の質を数値化し総計をまとめた「2010 Global Burden of Diseases Study(世界疾病負荷調査報告書)」によると、2010年に世界で「糖分を含む飲み物の過剰摂取」が原因とみられる糖尿病・心血管疾患・がんの死亡例は順に13万3000人、4万4000人、6000人となっており、その死亡例の78パーセントは高所得国ではなく低、中所得国で発生しています。


調査チームは「年代別、性別における糖分を含む飲み物の摂取量」「肥満・糖尿病に対する糖分を含む飲み物の摂取量の影響」などの要素をふまえて調査をした結果、「糖分を含む飲み物の過剰摂取」が原因で発症した「糖尿病」の死亡例が最も多かったのが中南米で3万8000人、「糖分を含む飲み物の過剰摂取」が原因で発症した「心血管疾患」の死亡例が最も多かったのがユーラシア大陸の中央、東部で1万1000人であったと発表。

人口が多い国上位15カ国では、1人当りの糖分を含む飲み物の消費量が最も多い国の1つであるメキシコが「糖分を含む飲み物の過剰摂取」が原因である死亡率においてトップで、100万人中318人です。ハーバード公衆衛生大学院のギタンジャリ・シン博士研究員によれば、2010年のアメリカにおける死亡例のうち約2万5000人は「糖分を含む飲み物の過剰摂取」と関連しているとのこと。一方、日本は世界で1人当りの糖分を含む飲み物の消費量が最も低い国の1つで、「糖分を含む飲み物の過剰摂取」に関連した死亡率も一番低く100万人当り10人となっています。

AHAがすすめる、大人が一週間で砂糖入り飲み物から摂取していいエネルギーは450kcal以下。ハーバード大学公衆衛生大学院の栄養源に関する調査によると、例えば360mlのコーラには約150kcal、ティースプーン約10杯分の砂糖が含まれています。


ちなみに、飲料業界団体であるABA(米飲料業業界)はこのAHAの発表を「世間の注目を集めるのが目的の科学的とはいえない調査結果」と批判。飲料の摂取量が慢性疾患の原因であると結論づけることは論理の飛躍だと反論しました。


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