アベノミクスで「BL」が変わる!? 腐女子ライターが分析する″攻め″と経済の意外な関係

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男性同士の恋愛を描いた、女性向けマンガ・小説作品の「BL(ボーイズラブ)」。ここ最近、よく見掛けるようになったけれど、自分とは縁のないジャンルだと思っている人も多いのでは?

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「BLはファンタジー」と腐女子(BL愛好者の総称)は言うけれど、実は意外なところで現実の影響を受けているのです。今回は、腐女子じゃなくてもBLをもっと身近に感じられる(!?)、日本経済とBLの意外な関係を、過去の人気作品を振り返りながらご紹介します!

■“攻め”はお金持ちがアタリマエ?

BL黎明期の1980〜90年代、日本はバブル真っただ中。当時、少女マンガ雑誌『マーガレット』(集英社)で連載されていた『絶愛-1989-』(尾崎南)は、人気歌手・南條晃司とサッカー少年・泉拓人の命懸けの恋愛ストーリーを描き、OVAやイメージCDも発売された大ヒット作です。

この作品で特に注目したいのが、攻め(男性同士の恋愛関係での男役。その反対の女役を受けと呼ぶ)である晃司のスペック。超人気歌手でありながら、実家は世界に名だたる企業・條統カンパニーを経営し、江戸時代から長く継承されている居合・真陰流の宗家。しかも、母親は世界的に活躍する女優で、経済力・容姿ともに抜群な男なのです。さらに、晃司は高校生のクセに大物女優と関係を持ち、高級車を乗りまわすなど、その言動は派手のひとことに尽きます。さすが、バブル期の攻め。

このほかにも、MI6の少佐であるバンコラン(『パタリロ!』魔夜峰央/白泉社)や、美貌と最高の頭脳を持つ人工体の超エリート人間・イアソン(『間の楔』吉原理恵子/徳間書店)など、当時の攻めはカッコよくてスゴい男ばかり。ごく普通のスペックでは、攻めにはなれない時代でした。

■お金で始まる恋もある!?

続いて、バブル崩壊後の2000年代前半。当時は「ヒルズ族」と呼ばれる、新しいタイプの起業家がメディアに盛んに取り上げられていた時代でした。BLでもこの影響を受けて、攻めの傾向が変化しています。お金持ちであることに変わりはないのですが、それまでの芸能人・御曹司に代わって、実業家の攻めが急増したのです。

当時の人気BL小説『お金がないっ』(篠崎一夜/幻冬社)は、やり手実業家(闇金融会社社長)の狩野北が、借金のカタで人身売買の競売にかけられていた綾瀬雪弥を落札して、強引に手元に置く……という、ちょっとハードな物語。ただお金持ちと恋愛をするのではなく、借金のカタで仕方なしに関係が始まってしまうのが、バブル期のBLと比べて新しいところでした。

この作品以降、受けがオークションで落札されてしまうパターンのほかに、遊郭ものブームのきっかけとなった『君も知らない邪恋の果てに』(鈴木あみ/白泉社)など、受けがお金で買われてしまう作品が次々と登場しています。終わりの見えない不景気の中にあったからこそ、生まれたジャンルなのかもしれません。

■オイルマネーはBLにも……。

そして、2000年代後半。原油価格高騰とともに、BLにもオイルマネーが大きな影響を及ぼします。アラブブームの到来です。当時、BL大手出版社のリブレからもアラブをテーマにしたアンソロジー『b-BOY Phoenix(12) アラブ特集』が発売されています。

アラブものでの王道パターンは、ごく普通の日本人青年が、アラブの王族(お金持ち)に見初められて、幸せになるというシンデレラストーリー。不景気な日本を抜け出して、お金に困らず幸せになりたいという、腐女子の願望の表れだったのかもしれません。

■BLでも“三平男子”が人気!

さらに、2008年のリーマンショック以降、攻めの傾向はガラリと変わりました。ここ最近の傾向として見られるのが、平均的な年収・平均的な外見・平穏な性格という特徴を持つ「三平男子」。婚活で女性が結婚相手に求める条件としてお馴染みの言葉ですが、BLでも強い支持を得ています。

たとえば、『このBLがヤバい! 2013年度版』で第1位にランクインした『空と原』(中村明日美子/茜新社)の攻め・原学は37歳独身の男子高教師。お金持ちではないけれど、貧乏でもない、三平男子です。

バブル期、失われた20年を経た今、受けを幸せにするための必要最低限の財力を持った攻めがトレンドのようです。

攻めはその時代、その時代の女性が憧れる、理想の男性像なのかもしれません。だったら、現実の経済状況がBLに影響を与えるのも当然かも!?

アベノミクスで日本の経済状況が好転すれば今後、また新たなBL・攻めの傾向が生まれるかもしれませんね。経済ニュースをチェックしながら、BLを楽しんでみてはいかがでしょうか?

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