原状回復で裁判沙汰!? 判例で見る現状回復や敷金の返還トラブル



退去時のお金のトラブルというのはかなり多いそうです。中には、裁判にまで発展した例も。今回は、実際にどんな敷金や原状回復のトラブルによる裁判があったのか。また、裁判の重要なポイントとなったのはどんなところだったのか、などを不動産業者に聞いてみました。



――敷金や原状回復など、お金の部分でのトラブルが多いそうですが、実際にはどれくらいの数のトラブルがあるのですか?



敷金や原状回復費の相談だけでも年間1万件以上もあるそうです。実際にお金をどうするかという話に発展したケースも、細かいのを合わせると数千件あるでしょう。



――中には裁判にまで発展したという話も多々あるそうですが……。



多いのはやはり「返還請求の裁判」ですね。敷金などの返還で、裁判になった例はいくつもあります。



――実際にはどんな裁判があったのですか?



敷金として不動産会社に14万円を預託していて、退去時に不動産会社が原状回復費として12万円(部屋のクリーニング、畳の表替え、クロスの張り替え、等)を請求。差額の2万円が返還された。これを借り主は不服として敷金の全額返還を求めた、という裁判が実際にありました。



――これはどんな判決が出たのですか?



この裁判では、



・入居者がタバコを吸っていないこと

・賃料はもとより公共料金の未払いは一切ないこと

・通常な使用収益を超えた方法により発生させた毀損個所を認めることはできないこと



などを理由に、「社会通念上通常の方法により使用されたものと認め、自然ないしは通例的に生ずる損耗以上に悪化していることは認められない」として全額返還の判決が出ました。



――要するに、「常識的な範囲で物件を使用していた」ことが重要視されたということですか。



そうなります。一般的に、賃貸物件は借り主の落ち度で起こった破損以外の修復は貸主の義務になります。契約書に「ただし書き」などの特約がある場合は、事情は変わります。



――ただし書きというのは「原状回復費は借り主の負担」のようなものですか?



そうですね。この特約が争点になり、全額返還の請求が一部返還になったという判例もあります。しかし「特約は無効」として全額返還になった裁判もあります。



例えば、「賃借人は明け渡しの際、自己の費用負担において専門業者相当の清掃クリーニングを行う」という特約の下、資金31万円を貸主に預託していた借り主さんの話です。



退去時に貸主がクリーニング代として27万円を請求し、差し引きした4万円を返還しました。これに対して借り主は全額返還を要求し裁判になりました。



この裁判では、



・建物が時の経過によって古び、減価していくのは避けられない

・本件特約は、賃借人の故意、過失に基づく毀損や通常でない使用方法による劣化等についてのみ、その回復を義務付けたものとするのが相当



として、特約は無効として「全額返還」の判決が出ました。



――ここでも、「常識の範囲内での使用」というのが重要なんですね。



重要です。自分の落ち度で発生した破損や、故意に傷つけたりしていないのに、退去時に多額の請求をされた場合は、請求内容をしっかりと確認してみるといいですね。もしかしたら、支払う必要のないお金を請求されている場合があるかもしれません。



――気になる請求があった場合はどうすればいいですか?



不動産会社にしっかりと説明し、話し合うのがいいでしょう。消費者センターなどに相談したりするのも手ですね。どうしても納得できない場合は、弁護士に相談したりしましょう。





裁判と聞くと大事に聞こえますが、やはり納得できないお金は払いたくありませんよね。退去時の請求で気になる項目があれば、尻込みせずにしっかりと説明してもらうようにしましょう。



(貫井康徳@dcp)