どんなに“本物の恋”だと思っても、その関係が不倫だったら、常に悩みは尽きないし、成就させるには数々の障害がありますよね。

 ロシア文学の最高峰であるトルストイの不朽の名作『アンナ・カレーニナ』を、“不倫の恋愛物語”なんてくくりで取り上げたら怒られそうですが、ここではあえて“世界一有名な不倫のラブストーリー”として紹介します。


「アンナ・カレーニナ」
 19世紀末のロシア。サンクト・ペテルブルクの社交界の華として知られるアンナ・カレーニナ(キーラ・ナイトレイ)は、誰もが憧れるような美貌の持ち主。18歳で政府高官のカレーニン(ジュード・ロウ)に嫁いだアンナは、本当の恋や愛の痛みを知りませんでした。


 ある日、アンナは兄夫婦を訪ねてモスクワへ向かう途中、騎兵将校のヴロンスキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)と出会います。ヴロンスキーは一目でアンナに引かれ、彼女も心が波立つのを感じますが、必死で平常心を保とうとするアンナ。その後、舞踏会でヴロンスキーと再会したアンナは、積極的な彼に猛アプローチをかけられ、情熱を止めることができなくなります。


 社交界から軽蔑の視線と中傷がアンナに降り注ぐ中、ヴロンスキーとの不倫関係は夫カレーニンの耳にも入ります。体面を気にするカレーニンは、怒りをあらわにはせず、軽率な行為で世間に恥をさらさないようにとアンナに忠告。でも、ヴロンスキーとの恋に夢中なアンナは、自ら夫に彼を愛していると告白するのですが……。



 これまで何度も映像化され、グレタ・ガルボやヴィヴィアン・リー、ソフィー・マルソーといった、そうそうたる有名女優が演じてきた世紀のヒロイン“アンナ・カレーニナ”。今回、この難役を熱演したキーラは、「素晴らしいキャラクターだからこそ、キャリアで一番の挑戦だった」と語っています。美しく、身を焦がすような恋に命を燃やすアンナを、全身全霊で演じ切ったキーラ。とても美しいです!

 「プライドと偏見」「つぐない」の名匠ジョー・ライト監督による2012年版の本作は、“舞台劇型”になっているのが見どころ。オペラ劇場、舞踏会場、競馬場まで内包する、舞台型の巨大な劇場セット上で物語が進行します。その独創的な演出と、ゴージャスで優美な衣裳や音楽、舞踏会のダンスシーンには、本当に酔いしれました。

 特に、アンナが舞踏会で着る豪華な夜会服には目を奪われます。キーラが身にまとっている、撮影用にシャネルから貸し出されたダイヤモンド・ジュエリーのお値段は、なんと約1億8000万円相当! 本年度のアカデミー賞で、本作が衣装デザイン賞に輝いたのにも納得です。


 社交界と家庭を捨て、ヴロンスキーとの愛に生きることを決意するアンナ。でも、幾多の試練が彼女に襲い掛かります。“本物の愛”を見つけても、不倫の恋に平穏を見いだすのは難しい。ヴロンスキーは言います、「平穏などない。苦痛か至上の幸福か」あるのはどちらかだと。犠牲にするものの大きさと秤にかけたら、あなたならどちらを選びますか……?

「『アンナ・カレーニナ』を題材にした映画」DVD紹介

「アンナ・カレニナ」


 ロシアの文豪トルストイの代表作を、神秘的な女優グレタ・ガルボ主演で映画化。帝政ロシアの高級官僚カレーニン伯爵(ベイジル・ラスボーン)の妻アンナ(ガルボ)は、冷め切った夫婦生活を送る中、一人息子のセルゲイ(フレディ・バーソロミュー)を溺愛していた。そんな中、舞踏会に足を運んだアンナは、青年将校ヴロンスキー(フレデリック・マーチ)に一目ぼれされ、彼から熱い恋心を打ち明けられる。アンナは戸惑いを隠せないが、いつしか心を動かされ、ヴロンスキーとの愛にのめり込んでいく。良き妻であり、母だったアンナは全てを捨て、ヴロンスキーとの愛だけを頼りに生活し始めるが……。

1935年/アメリカ/グレタ・ガルボ、フレデリック・マーチ
ワーナー・ホーム・ビデオ/DVD3790円/発売中
「アンナ・カレーニナ」


 ヴィヴィアン・リー生誕100年の2013年、彼女が類いまれな美貌と気品、舞台で鍛えた演技力を結集し、文学史上不滅のヒロインを演じて、世界を魅了した名作がDVDでリリース。愛のない結婚生活を送る貴族夫人アンナ(リー)は、若い伯爵ヴロンスキー(キーロン・ムーア)に対する胸のときめきを押さえられず、道ならぬ不倫にのめり込むが……。フランス映画を代表する巨匠ジュリアン・デュヴィヴィエ監督は、アンナの恋を浮き彫りにして、悲劇のラストへとまっしぐらに盛り上げていくのが見どころだ。

1948年/イギリス/ヴィヴィアン・リー、ラルフ・リチャードソン
アイ・ヴィ・シー/DVD2940円/3月29日発売