業界動向や顧客ニーズを把握。柔軟な提案で売り上げを拡大

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ビジネスパーソン研究FILE Vol.204

イー・ガーディアン株式会社 堀誉克さん

新規市場を開拓し、事業を拡大していった営業担当の堀さん


■入社直後に電話営業を行った企業から初受注。案件遂行を通して業務知識を習得

スマートフォンやタブレット端末の普及も手伝って、目覚ましい進化を遂げているインターネット関連市場。イー・ガーディアンは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのリアルタイム投稿監視やソーシャルメディアの企画運営サポート、オンラインゲームのカスタマーサポートをはじめ、コンプライアンス対策・風評・トレンド調査、サイト運営代行や広告審査代行サービスなど、成長著しいインターネット関連市場で幅広い事業を展開している。

2009年6月に中途入社した堀さんが最初に担当したのは、事業の根幹とも言える投稿監視のセールス。投稿監視とは、ブログやSNS、掲示板などの炎上や風評被害、不正な書き込みや投稿を防ぐために、投稿内容を専門のオペレーターが目視監視を行うものだ。当時の営業メンバーはわずか5名、前職で営業を経験していた堀さんは、即戦力として新規企業を開拓するために次々と電話を入れ、関心を示してくれた企業に提案を持っていった。初受注は8月。入社した6月に電話営業を経て訪問したオンラインゲーム企業から、投稿監視業務、ユーザーからの問い合わせ対応業務など、多岐にわたる案件を受注したのだ。
「初受注が決まって、心底ホッとしました(笑)。当時は社員50名にも満たないベンチャー企業で、少なくとも自分の給料は自分で稼がなくては、というプレッシャーがありましたから。契約がとれたのは、お客さまのところにたびたび顔を出し、先方の状況や予算感を見ながら提案を柔軟に変更していったからだと思います。実際、先方担当者からは『臨機応変に対応してくれたから、依頼することにした』という言葉を頂きました」

営業センスは前職で身につけていた堀さんだが、困惑したのは、業界知識が豊富なお客さまと対等に話ができないこと。
「当時は、自社サービスすらまだ理解できていませんでした。リアルタイム監視は人間の目で行っているのはわかっていても、どのようにして効率よく24時間・365日監視できているのかがわかっていなかった。これは、どのオペレーターが見ても同じ判断ができるようにレギュレーション(言葉などの判断基準)を細かく決めて、きちんとシフトを組んでいるから。投稿に“バカ”という言葉を見つけた場合、前後の文脈で冗談か敵意かを判断するのはもちろん、ひらがなや漢字の表記は冗談と受け取れるが、カタカナは本気度が強いといった判断をしていくということも知りませんでした」

堀さんは、9月からのサービス開始に向けて、自分が受注した案件を進めながら自社の商品知識や業界知識を学んでいった。クライアントからのリクエストは「月間/1日あたり、これぐらいの数の投稿があるので、監視して」という大まかなもの。それに対して、監視頻度や監視ツール、判断基準、言葉の基準、報告形態、報告内容などを具体的に決めていくのが営業の役割だ。なかでも、著作権にかかわる画像をユーザーが投稿した場合はどうするかなどのイレギュラーなケースについて、どこからをNGにするかといったレギュレーションの条件を細かくクライアントと詰めていくことが重要となる。
「初受注の案件が多岐にわたっていたのは、僕にとってとてもラッキーでした。案件を進めながら、オペレーターを管理するスーパーバイザーなど現場の人たちに教わり、業務知識全般を身につけることができましたから」


■業界の動向をいち早く察知。新たに誕生した市場でシェアを獲得し、事業化に貢献

現在、堀さんは主要サービスの一つとなっているオンラインゲームや携帯ゲームのカスタマーサポートを担当する営業ユニットのマネージャとして活躍している。オンラインゲームは堀さんが入社する以前から手がけていたが、ソーシャルゲーム(SNS上で提供されるオンラインゲーム)は堀さんが自ら開拓し、育て上げたもの。きっかけは、SNSプラットフォームのオープン化(※1)だった。

(※1)外部の開発事業者が有料課金型のアプリケーションを提供できるようにすること。

09年、大手SNSがプラットフォームのオープン化を発表。大手SNSが次々とプラットフォームをオープン化していく動きに“新しい市場”を察知し、すぐにアプローチを開始した。
「業界動向を見て『ソーシャルアプリプロバイダー(ソーシャルアプリの開発・提供に携わる事業者)と契約し、新しく誕生したこの市場を制することができれば、市場の拡大に伴って、ソーシャルゲーム分野の売り上げ拡大も見込める』と考えたんです」

堀さんは、ソーシャルアプリプロバイダー向けの説明会に参加して名刺交換をしたり、ニュースリリースにある事業者リストをもとに営業活動を行うなどして、次々と契約を増やしていった。
「契約は、主にSNS上で提供されるソーシャルゲームのユーザーから届くメール対応。ゲームの使い方に関する問い合わせ、退会通知、不満や苦情などのメールに、サービス提供者に代わって対応するものです。こうしたサポート業務は、ほかの事業で蓄積されたノウハウを応用して対応し、実績を積み上げていきました」

新しい市場にいち早く目をつけ、精力的に営業を続けた堀さんは、ゼロだった実績をわずか1年半で月間5000万円以上に拡大。
「ここまで拡大できたのは、競合がいない新しい市場だったうえに、その市場自体が成長したからです。最初は試行錯誤しながら始めた市場でしたが、ようやく事業として認知される規模となり、12年10月にはゲームサポートユニットという組織もできました」

堀さんにとってのやりがいは、市場が大きくなっていく実感の中でトップシェアを獲得していくこと。日々変化していく業界において、クライアントごとに異なるニーズを的確にとらえ、最適なサービスを提供できたときが快感だ。
「料金、対応レベル、柔軟性、負荷の軽減など、要望は会社ごとに違います。中には『愛だ!』とリクエストされることも(笑)。つまり、ゲームに対する愛情。その要望には、ゲーム好きなオペレーターを集めて対応しました。その担当者は『どんな人たちがユーザー対応をするのか知りたい』と、宮崎県にあるセンターまで足を運び、オペレーターにあいさつをしてくださったほど。ユーザーを心から大切に思っているクライアントの熱い思いに触れ、それに応えるサービスを提供できたときは、営業としての喜びを感じます」

堀さんの目標は「日々楽しく!」と実にシンプル。
「この仕事に求められるのは、1つを深く追求する力よりも、いろいろな方向を見ながら遂行する力。僕は好奇心が強くて新しいものが好きなので、この仕事に向いているのかな(笑)。ソーシャルゲーム市場の伸びは緩やかになりますが、市場の動きは目まぐるしく変化していく。ただ、『ユーザーにとって価値あるサポート、サービスをクライアントと作りあげる』という本質の変化はないと思っています。変わらない本質を押さえつつも、ニーズに合ったサポート体制を自ら作り、どこよりも早い変化をしていきたいですね」