あなたの知らないタックス・ヘイブンの話




「2011年に15兆円以上の資金がケイマン諸島に流入した」と日本の財務省は発表しています。イギリス領である、このケイマン諸島はタックス・ヘイブンとして有名な場所です。「タックス・ヘイブン」――ニュースなんかで聞く言葉ですが、これが何がご存じでしょうか。なぜタックス・ヘイブンにお金が向かうのでしょうか。税理士さんに聞きました。





■そもそも「タックス・ヘイブン」って何!?



――タックス・ヘイブンという言葉はニュースなどで聞きますが、これは何なのでしょうか。



日本語では「租税回避地」と訳されますね。簡単にいえば税金が安いわけですよ。皆さんが一番知っているのは「ケイマン諸島」という場所ではないでしょうか。これはイギリス領ですね。



――ほかにもタックス・ヘイブンはあるのでしょうか。



ええ。たくさんありますよ。パナマとか。パナマは固定資産税が安いことでも有名ですよね。パナマ船籍の船が多いのはそのためです。ほかにはリヒテンシュタイン公国、モナコ公国なんかが有名ですよね。



――島国とか小さな国が多いですね。



はい。それで世界中から法人を集めようという狙いでやってるわけです。法人税率がべらぼうに安くても、それで多くの企業が納めてくれれば、小国にとっては十分な利益になるわけです。



例えばリヒテンシュタイン公国などは人口(約35,000人)より、そこに登録された会社の方が多いといわれています。国がもうかっているので、国民には税金がないんですよ(笑)。



*……リヒテンシュタイン公国の国民には所得税、相続税、贈与税がない。



■税金は0の場所もある



――どの程度の安さなんですか?



極端にいえば税金が0の場所もありますし、10%〜15%という場所が多いのではないでしょうか。日本の国税の意見は「税率が20%以下の場所はタックス・ヘイブン」だと思いますが(租税特別措置法による)。



――法人税0だとお金が入ってこないのでは?



設立費だとか、会社を維持するのにお金がかかるとか、いろんな名目でお金を取れるんですよ(笑)。



――企業が利用することが多いんですよね?



はい。例えば日本の法人税を30%とすると、タックス・ヘイブンでは法人税が格安ということになります。



――そこに本社を置いて法人税を安くするわけですね。誰でも会社を作ることができるんですか? 例えば私が会社をそこに設立することはできるんですか?



法的には何の問題もないですね。設立できますよ。あなたは何も企業活動をしていないので、作っても何の意味もありませんけどね。完全なペーパーカンパニーですね(笑)。



■マネーロンダリングって何!?



――タックス・ヘイブンっていうと何か悪いイメージがあると思うんですが……。



税金を免れている「脱税」のイメージがあるからでしょうか。「節税」と紙一重なところがあるんですが。あとはマネーロンダリングに使われる可能性があるからですかね。



――マネーロンダリングってよく聞く言葉ですが、そもそもマネーロンダリングって何なんですか?



例えばあなたが悪いことをして稼いだお金が1億円あったとしましょう。この1億円をそのまま銀行に預けに行くわけにはいきません。預金口座を調べられて1億円があることが分かったら、当然調査されますし税金も掛かりますしね。



――まあ、そうなりますかね。



これを表に出せるお金にしないといけないわけです。調べられても大丈夫なようにするといいますか。これがマネーロンダリングです。例えばタックス・ヘイブンの銀行に入れられてしまった場合には、調査が困難になります。



――調べられないんですか?



タックス・ヘイブン側からすると顧客情報になりますからね。ただし、昔みたいに絶対に開示しないということではないようです。というのは、各国の租税担当の協力が密になってまして、情報開示が行われることも多くなっているようです。



――昔ほどうまく隠せないということですか?



■タックス・ヘイブンの使い方は変化している!



タックス・ヘイブンの使い方が変化しているのだと思います。悪いことをして稼いだお金をうまく隠したりするのは、これからどんどんできなくなっていくと思います。国家間の情報開示が進んでいくでしょうから。



――なるほど。



それよりも、自国よりも法人税が軽減されるという理由で会社を置く、そういう流れはなくならないと思います。これにも国税は網をかけようとしていますが。でも、企業も脱税してやろうなんてことは考えてないと思うんですよ。あくまでも節税、税の軽減、そういう考えだと思いますね。



――日本でも海外に本社が脱出したりするんでしょうか。



はい。皆さんはご存じないかもしれませんが、実際にその動きは起こっていますし、多いんですよ。中小企業の社長さんがそういう決断をされることは全然珍しくありません。タックス・ヘイブンじゃなくても、少しでも税金の安いところへ。



タックス・ヘイブンについて聞きましたが、日本の企業が海外へ本社を移動する流れがあることは知りませんでした。重税感がたまらないということでしょうか。







(高橋モータース@dcp)