[其ノ二 FX 投資戦略編]豪ドル/米ドルをレンジ取引 日銀人事は円安材料。リスクオンは継続
ハイスピードで進んだ円安だが、日銀人事や世界景気の回復など、まだまだ円売り材料が控えているもよう。


豪ドルは高値圏。対米ドルでのレンジ取引が効果的

昨年9月末の78円近辺からすでに16%以上も上昇した米ドル/円ですが、少なくとも7月下旬の参議院選挙までは日銀への政治圧力がかかりやすく円安圧力も続くでしょう。

日銀正・副総裁人事については、3月19日に予定されていた副総裁2名の任期満了に加えて、4月8日に任期満了予定だった白川総裁の同時退任が決定。金融緩和に積極的とみられる新任のリフレ派の正・副総裁のもとで、2%のインフレ目標達成に向けてさらに積極的な追加緩和が進むとの期待が続きそうです。

また、3月は新年度入り後の国内生保による為替ヘッジなしの外債投資増加への期待感が高まりやすい時期なので、3月末にかけて円売りが再加速する可能性もあります。

さらに世界的な景気回復期待の高まりと欧州債務問題の後退もあり、リスクオンの円売り意欲も高まりやすい状況。このため、円は対米ドルのみならず全般的に下落しやすい状況が続くでしょう。

ただし、豪ドルの対米ドル相場は昨年8月以降、おおむね1豪ドル=1.02〜1.06米ドルで横ばいに推移しています。強弱の材料が入り交じり、当面はこの状況が続く可能性が高いでしょう。

豪ドル高の材料は主に海外要因で、世界株価との連動性が高い豪ドルは最近の株高傾向の恩恵を受けるほか、昨年末ごろから中国景気の減速が一服し、実際に豪州の主力輸出品目でもある鉄鉱石価格が持ち直してきています。

一方、豪ドル上昇抑制要因も根強く、最も重要なのはRBA(豪州準備銀行)の利下げ姿勢。コアインフレ率の落ち着きと先行きの豪州景気の減速懸念が背景にあります。

加えて、豪ドルは割高圏内にあり、投機筋の買いポジションがかさんでいることから、上昇余地が限定的との認識が広がりやすい状況です。

金利水準についても2年物で2%台後半となっており、ブラジルやトルコなど高金利通貨と比べて大きく見劣りします。

このため豪ドルは、特に対米ドルにおいては、材料に応じて売り買いを行なうレンジ取引が適しているといえるでしょう。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
バークレイズ銀行チーフ FXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり重要な為替取引や調査に従事した後、日興シティグループなどを経て、現職。特に欧州経済に詳しい。



この記事は「WEBネットマネー2013年4月号」に掲載されたものです。