「あなたはどんな人ですか?」「あなたは今後どのようなことがしたいですか?」

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就活生にとって、春は企業面接が本格化してくるころだ。書類審査は通過したものの、面接で不採用の通知を受けることもあるだろう。

その数が増えてくると、「自分には何か問題があるのではないか」と人間的に否定されてしまった気がするものだ。そんな人は、『リクナビ2014』の「エントリーシート・面接のオキテ」で、あらためてポイントをおさらいしてみてはどうだろう。

採用面接を通らなかったのは、やり方が悪いからであって、あなた自身が否定されたわけではない。最低限のコツを押さえておけば、あとは自分を素直にアピールすればよい――。そう考えて、伸び伸びと面接に望みたいものだ。

質問は「あなたはどんな人」「今後何をしたい」に集約される

「エントリーシート・面接のオキテ」では、15項目にわたって就活生が押さえておきたいポイントが記載されている。「就職活動においては『自分は無名だ』と理解する必要がある」といった基本的な心構えから、「エントリーシートにおける『演出』は避けた方が無難」といった細かなことまでカバーされている。

それによると、エントリーシートや面接で尋ねられているのは、わずか2つのことだという。ひとつめは「あなたはどんな人ですか?」ということ、もうひとつは「あなたは今後どのようなことがしたいですか」ということだ。

就活をする中では、これらの問いに答えているという意識が常に必要。逆に言えば、あらかじめ2つの軸をしっかりと定め、そのことと「御社に入りたい」ということの関係を整理できれば、突然のムチャな質問にも戸惑うことが少なくなる。

『就職ジャーナル』のアンケートによると、ある経済学部の女子学生は「4億円当たったら何に使いますか」という質問に、「法人を作って起業でもします」と答えてしまい、後悔したという。面接担当者にしてみれば、それが自社への入社を希望することとどう関係するのか、疑問に思ってしまったに違いない。面接には目的があり、雑談ではない。

例えば、あなたはどんな人かという問いへの答えを「自分は学生時代に海外旅行をして、東南アジアの成長性に魅力を感じている」とし、今後したいことを「将来はアジアの発展につながる仕事がしたい」と整理したとする。そのうえで、志望動機を「アジア展開を控えるこの会社で力をつけたい」と関連づけたとしよう。

そうすると「4億円」という微妙な金額に迷うことなく、「アジアの人たちが日本で学ぶための奨学金としたい」とか、仮に法人を作るとしても「バンコクに学校をつくりたい」といった「自分が今後やりたいこと」とのつながりを即座に説明できるようになる。

企業研究は「当事者意識」を持って行うと頭に入る

「自分はどういう人か」「今後何したいのか」と、「そんな自分がこの会社で何をしたいのか」のつながりが整理できた人は、揺さぶりをかけるような面接担当者の質問にも、ブレることなく答えることができる。

面接担当者の心象が悪くなるのは、質問ごとに答えがブレて、論理的な矛盾が露呈したときだ。リクナビ編集長の岡崎氏は、就活生は上手くしゃべれるかといった「話し方」に気をとられがちだが、企業はその人の「話す内容」にこそ関心がある。話し方の練習をするよりも、自分の考えをしっかりと整理しておく方が肝要だという。

尋ねられるのは自分のことばかりではない。入社を希望する会社自体についての基本的事項を聞かれたり、意見を求められることもある。例えば、次のような問いだ。

「弊社の事業上の強みと弱みは、どの部分であると考えますか」

ただ、こういう問いに備えて企業研究をするときも、「自分はこの会社で何をしたいのか」ということを明確に意識していれば、手掛かりとなる言葉が出てきやすくなる。会社が学生に戦略上の正解を求めるはずがない。「どこまで当事者意識を持って会社のことを調べたのか」が問われているのだ。

漠然と「自分はどういう人なんだろうか」と自問していても、答えは出てこない。まずは「この会社に入るとしたら、こういうことに携わりたい」ということを可能な限り具体的にイメージしつつ、そこを基点に「そう考えた自分の背景」や「今後の希望」を整理していく方法がよさそうだ。