4年連続でこのコースでの“テスト”に落ちる結果となった石川遼(Photo by Sam GreenwoodGetty Images)

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 「これは厳しいテストだ」――しばしば全米オープンで聞かれるフレーズだ。
 コース設定が厳しく、天候も厳しく、強いメンタリティが求められる戦いは、リードをしていた者が脆く崩れ落ち、下位だった者がのし上がり、そうやって刻々と順位が入れ替わっていく。上に行く者と下に落ちる者。その明暗を分けるものは、往々にして精神力だ。
遼、蛇の穴にハマり急降下…今季5度目予選落ち
 タンパベイ選手権は、イーブンパーとの戦いになる全米オープンとは違い、優勝スコアは10アンダーまで伸びたものの、多くの選手たちが「これは、まさにテストだ」というほどの厳しい戦いになった。
 予選2日間、首位を保ったショーン・ステファニーが3日目に8位へ後退し、2日目に2位タイに浮上した崔京周とアダム・スコットが3日目にはともに21位へ後退。めまぐるしい順位の入れ替わりは、風に吹かれたイニスブルックリゾートが、いかにトリッキーで難しい状況にあったかを物語っていた。
 初日26位とまずまずの発進をしながら2日目に77を叩き、111位まで後退して予選落ちした石川遼は、そんなコースのワナにまんまとはまり、厳しいテストによって振るい落とされてしまった一人だった。
 2日目の出だしの7ホールは決して悪くないプレーをしていた。とりわけパットは「好感触を得ていたのでは?」と尋ねたら、「はい。そうだと思う」と即答できる内容だった。が、ティショットを右に押し出してボギーを喫した17番、グリーン周りでミスを連発してダブルボギーを叩いた18番から徐々に何かが狂い始め、折り返し後の5番ですべてが狂った。
 グリーン手前からの第3打は打った瞬間は「入ってもおかしくない」ほど完璧だと思ったそうだが、それがボールマークにはねてイレギュラーバウンド。その結果、ボギーを叩き、「ストレスがたまった」。
 がんばったこと、好結果を期待したことが報われなかったとき、悔しさや苛立ちはもちろん募る。だが、そこで我慢できるかどうか、そこで耐えて立ち直れるかどうか。その精神力が問われるからこそ、この大会は「厳しいテスト」と呼ばれていたのだ。
 米ツアー6年目の34歳にして初優勝を掴んだケビン・ストリールマンは混戦となった最終日の優勝争いの中では未勝利期間が最長の152試合だった。過去には3位が3度あったが、6年もの間、それが彼の自己ベスト。この大会は4度目の出場。「08年のルーキーイヤーに初出場したときは3日目に84を叩いて最下位になった」経験もあった。
 今年は初日70位と大きく出遅れたが、2日目に31位へ、3日目に首位タイへ、ひたひたと順位を上げた。最終日は63をマークして首位に躍り出たブー・ウィークリーの通算8アンダーを目指しながらティオフし、4バーディー、ノーボギーの見事なゴルフで初優勝を手に入れた。
 ストリールマンの座右の銘は「どっちにしても起こることは起こる」。だから、起こってしまったことに逆らわず、くよくよせず、目の前の状況にベストを尽くせ。
 「10年前、僕は車のハンドルを握り、ミニツアーを転戦していた」。彼はそうやって、陽の当たらない長い道を忍耐に忍耐を重ねながら歩み続け、153試合目にして初めてスポットライトを浴びた。
 「起こることは起こる」――2日目の石川遼が、この言葉を受け入れることができていたら、おそらく彼は今週、4日間を戦っていたに違いない。石川に限らず、若い選手がそういう我慢を覚えるまでには、どうしたって時間がかかる。ゴルフのみならず生活全般、人生全般において我慢を覚えることは、大人へ成長することと同義語なのだから――。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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