飲料編

写真拡大

業界トレンドNEWS Vol.165

飲料編

新商品開発で掘り起こされた新規需要とは?


■市場は順調に成長も、人口減少や競争激化は懸念材料。高機能飲料の開発や海外展開で成長の持続を目指す

社団法人全国清涼飲料工業会によれば、2012年における国内清涼飲料生産量は3年連続で過去最高を更新。炭酸飲料の販売量増加、ミネラルウオーターの家庭における需要拡大や災害対策の備蓄需要などが寄与し、市場は順調に成長を続けている。

ただし、市場環境は厳しさを増しており、必ずしも楽観し続けられる状況ではない。最大の問題は少子高齢化。このままのペースで人口減少が進むと、飲料の需要は、いずれ減少に転じるのではないかと見込まれている。また、パートナーとして関係の深い小売業界が、一方で強力なライバルとして存在感を増しているのも懸念材料だ。大手スーパーでは、PB(Private Brandの略。小売業者が企画し、メーカーに生産を依頼した独自ブランドのこと)商品を導入し、飲料メーカーより低価格な飲料を販売。コンビニでは、店頭でいれたてのコーヒーを提供するなどの動きを活発化している。こうした取り組みは、スーパーやコンビニなどで販売される製品の売り上げ低下に直結しかねないため、飲料メーカーにとって脅威となるだろう。

こうした中、各社はさまざまな試みによって成長を持続しようとしている。まず挙げられるのが、海外展開の加速だ。経済力が高まり、人口増加も続く新興国は、飲料メーカーにとって有望な市場。特に、急速に清涼飲料市場が拡大しているASEAN諸国は、各社の成長のカギを握りそうだ。

製品の「高機能化」を進める動きも盛んだ。中でも、特定の保健機能成分を含む「特定保健用食品(通称トクホ)」は、ここ数年、盛んに開発が行われている。12年4月、キリンビバレッジは、食事の際に脂肪の吸収を抑える成分を配合した、コーラ系初のトクホ商品「キリン メッツコーラ」を発売。コーラ飲料とトクホという意外な組み合わせが話題を呼び、大ヒットを果たした。12年11月には、サントリー食品インターナショナルが、コーラ系トクホ商品「ペプシ スペシャル」を発売。こちらも人気商品となっている。さらに、トクホ以外でも、ダイエットに関心の高い層や健康志向の強い層をターゲットにした商品は数多く登場。日本コカ・コーラが12年5月に発売した、スポーツ飲料でありながらカロリーゼロを実現した「アクエリアス ゼロ」は、その代表格と言えよう。

自動販売機の高性能化は、飲料業界にとって大きなトピックス。内蔵カメラによって目の前に立っている人物の年齢・性別などを判別したり、電子マネーの決済履歴を分析したりすることで、お勧めの商品をディスプレイ上に表示する機種が増えている。自動販売機は、安定した売り上げが見込め、しかも値引き販売が必要ないため、飲料メーカーにとっては重要な販売チャネル。今後も、顧客サービス向上・消費電力削減などの取り組みが行われるはずだ。

業界再編の動きにも注目しておきたい。12年5月、アサヒグループホールディングスが、味の素からカルピスの買収を発表。また、11年2月にサッポロホールディングスに買収されたポッカコーポレーションは、13年1月、サッポロホールディングス傘下のサッポロ飲料と統合されて「ポッカサッポロフード」となった。海外メーカーをも含めた合併・提携劇が起こる可能性は、今後も十分にあるだろう。