ブラックホールの正体に迫る






普段はあまり宇宙に関心のない方でも、「ブラックホール」という単語を一度ぐらいは耳にしたことがあるでしょう。



宇宙空間に存在し、あらゆるものを吸い込んでしまうと言われるアレですが、決して想像上の存在というわけではなく、世界中の科学者たちの間ではほぼ確実に存在すると言われています。



…でも、このブラックホールの本当の姿を知っていますか?



そこで、今回はそんな謎多きブラックホールの正体に迫ってみたいと思います。





■ブラックホールとは



「ブラックホール」という英語を直訳すると「黒い穴」となりますが、決して異次元へつながる恐ろしい穴が宇宙空間にポッカリと開いているわけではありません。



その正体は、とても重くて密度も高く、そのうえ重力も大きいために、物質はもちろん、光ですら脱出することができない天体です。





■光が脱出できない理由



そもそも、光が脱出できないとは、いったいどういう意味でしょう?



例えば、地球上で考えた場合、自分の真上に向かってボールを投げたとすると、そのボールはやがて自分のところに落下してきます。



これは地球に重力があり、なおかつボールにも質量があるためですね。



しかし、光には質量は無いので、重力の影響を直接受けることはありません。



それでは、どうしていったんブラックホールに入った光は、そこから脱出できないのでしょうか?



実はそこには、重力による空間の「ゆがみ」が大きく影響しています。



■重力で時空が曲げられる?



アインシュタインの一般相対性理論によると、重力によって時空にゆがみが生じることが分かっています。



このことは、重力を持つすべての天体で起こっていることなのですが、地球や太陽のように重力が小さい場合には、その影響はわずかなものです。



しかし、もっと強い重力を持つ天体となると、話は変わってきます。



光は、本来直進する性質を持っていますので、光自身はまっすぐ進んでいるつもりでも、強力な重力のせいで、その周りの時空が曲がってしまい、結果的に光がまっすぐに進むことができなくなるというわけです。



そして、その究極の形がブラックホールです。



ブラックホールでは、この重力の強さがけた外れであるため、時空のゆがみが激しく、まっすぐ進んでいるはずの光でさえ、その内部へと曲げられてしまい、結果的にそこから脱出することができないのです。



光がブラックホールから脱出できないから、その光が地球まで届くことは無く、暗くて見えないのです。



つまり、そのような強い重力を持った天体こそが、ブラックホールの正体です。



■ブラックホールの構造



それでは、ブラックホールの内部を詳しく見ていきましょう。



先ほど説明したように、ブラックホールは非常に強い重力を持っているため、接近すればするほど、周りの時空のゆがみが大きくなっていきます。



そして、ある一定距離まで近づいたとき、光ですら脱出できなくなってしまう境界線があり、ここよりもさらに中心部へ近づいていくと、もう光ですら脱出することは不可能となります。



宇宙で起こっている事象を観測するためには、光や電磁波を利用しますが、この光が脱出できるかできないかの境目を越えてしまうと、光も電磁波もブラックホールの外へは戻ってこられないので、この内部がどうなっているかは全く分かっていません。



そのため、この境界線のことを、「地平線の向こう側は見ることができない」という意味から、「事象の地平線」と呼んでいます。つまり、ここがブラックホールの入り口とも言えます。



なお、理論的には、ブラックホールの最深部には重力と密度が無限大で体積がゼロの地点が存在してしまいます。



この地点では、人類がこれまでに発見してきたあらゆる物理法則が通用しないことから「特異点」と呼ばれていますが、実際のところ、この地点がどうなっているのかはナゾに包まれています。



■まとめ



未知の天体と言われる「ブラックホール」の本当の姿に、ほんの少し迫ってみましたが、いかがでしたでしょうか。



その正体は、強力な重力によって時空がゆがんでしまうために、光ですら脱出することができない天体であるわけですが、ブラックホールについては、まだまだ現代科学では解明されていないことが多いのが本当のところです。



(文/TERA)



●著者プロフィール

TERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。