愛知県名古屋の「好来系ラーメン」は、最後の一滴まで飲み干すべし!

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名古屋でラーメンを語る場合に、ご当地ラーメンとして外せないカテゴリーがある。

それが「好来系ラーメン」だ。

と言っても全国的には限りなく無名に近いこの「好来系」について、今回は掘り下げてみたい。

「好来系」という名が示すとおり、このラーメンは千種区にある「好来」という店が始めた。

ちなみにこの店は、何度か閉店と再開を繰り返し、現在は「好来道場」という名で、昼のみ営業している。

「好来」を元祖とする「好来系ラーメン店」は現在、愛知県を中心に20店以上存在する。

「好来系」最大の特徴はスープにある。

濁った色合いは一見するとしょう油トンコツのような風貌。

しかし、食べてみると全くトンコツではなくあっさりとしている。

実はコレ、根菜を中心とした野菜や豚骨、鶏ガラをごった煮にしてエキスを煮出した、栄養満点なスープなのである。

中華スープの基本は、澄み切った清湯(チンタン)と呼ばれるスープだ。

清湯スープは寸胴鍋を80度程度に温め、じっくり具材を煮込んで作る。

しかし伝え聞くところによると、好来の店主はそういった調理法を知らず、具材を寸胴にぶち込んでグツグツと煮立ててしまったという。

そうして出来上がったスープは白濁していて、見た目こそ悪いが、味は抜群だったのである。

こうしたセオリー無視のオリジナリティが、唯一無二の味を生み出した。

根菜をはじめとした具材の旨みが凝縮された栄養満点のスープは、漢方薬の素材も一緒に煮込まれている。

そのため「薬膳ラーメン」と称されることも少なくない。

この好来系、台湾ラーメンやあんかけパスタといった他の「名古屋麺」と一線を画すのは、同族意識が非常に強いことだ。

好来系を掲げる店は元祖の好来で 修行した弟子ののれん分けや孫弟子が開店したものだ。

縁もゆかりもない他店がいい加減に「好来系」をうたうことを、店も客も嫌う傾向がある。

どうも伝統芸能の世界のような「お師匠さんと弟子」という世界が、不文律のように存在している。

「好来軒」「好陽軒」など明らかに好来リスペクトの店名が多いことも、その「師弟関係の深さ」がうかがえる。

さて、今回実食したのは、名古屋市中区にある「好来分店」だ。

その名の通り、元祖・好来からの直系をうたう正真正銘の「好来系」といえる。

名古屋の中心街にあるからか、ランチ営業と夜営業の間の休憩がない(これって意外と重宝するのだ)。

入店すると、好来本店に掲げられていた「家訓」がここにもあった。

さすが好来の直系を名乗るだけある。

好来ファンならここで敬礼するところだ。

メニューは、基本が「松」800円、メンマ多めが「竹」1,000円、そしてチャーシューメンが「寿」1,000円。

ちなみに、こういった「松竹梅」的なネーミングも好来系の特徴だ。

今回は「松」をオーダーした。

さて、肝心のお味は。

スープは好来ならではのエキス満点な味わい。

メニューには「秘宝和漢根菜汁」と書かれている。

薬膳スープなので身体が芯から温まり、美容にも果があるとのこと。

そんなスープによく合うのは、小麦テイストの強い中太麺だ。

噛み締めるほどに味わえる。

テーブルに置かれた調味料の多さも、好来系の特徴だ。

コショウはもちろん 高麗人参酢やニンニクパウダーなどがズラリ並んでいる。

メニューでは、「当店おすすめスープの楽しみ方」と調味料の使い方まで、丁寧に指南されている。

ちなみに具材へのこだわりも、好来系をうたう上で絶対条件だ。

トロトロに煮込まれたチャーシュー、そして大ぶりのメンマはマスト。

こうしてスープ、麺、具材にわたってすべての要素がそろって「好来系」は成立する。

このパーツがひとつでも外れると、「なんか違うぞ」と思わせる。

それが好来系だ。

最後に高麗人参酢をスープに入れて、まろやか風味にしたところでゴクリと完食。

ご馳走様! 心なしか、身体がポカポカしてきたような……。

「ラーメンのスープは完食するな、身体に悪い」とよく言われる。

しかしこの好来系ラーメンに限っては、最後の一滴まで飲み干すことをオススメしたい。

●information薬膳らーめん 好来分店愛知県名古屋市中区東桜2丁目22-22