『絶望の国の幸福な若者たち』で大きな反響を呼び、メディアにも出演している気鋭の社会学者・古市憲寿氏。その古市氏にとって久しぶりの単著となる新刊『僕たちの前途』(講談社/刊)では、「起業論」を軸にしながら、若者の働き方を巡る言説をまとめている。
 今回はそんな古市氏に、本書についてインタビューに応じてもらった。若者たちの本当の姿を鋭くえぐり出す古市氏が考える、今の日本の「起業」と「働き方」をめぐる問題点とは? 前半に引き続き、後半をお送りする。
(新刊JP編集部)

■今後の日本人の働き方はどう変わる?

―今後、日本人の働き方はどのように変わると思いますか? 

「まず働く高齢者や女性が増えると思います。移民をどれくらい受け入れるかどうかによりますが、多くの若者、女性、高齢者は移民の代わりに安価や労働力として使われます。そしてますます「正社員」のような安定した身分の人は減っていくと思います。そんな中、多くの人が多かれ少なかれ、望む、望まないにかかわらず「起業家」のように働かざるを得なくなっていくと思います」

―古市さんが最近、注目している社会的事象はありますか? また、あるとすればそれはどのような事象ですか?

「春から夏にかけて創刊されるいくつかの女性誌に興味があります。ある種80年代的な女性のキャリアアップを追い続ける『DRESS』、ぽっちゃり女子向けの『ラ・ファーファ』、そして28歳前後の女子を対象としたカルチャー誌『ローラ』。メディアが社会を作る時代は終わったと思いますが、逆に社会の合わせ鏡として新雑誌には興味があります」

―社会学者として今後取り組みたい研究テーマを教えてください。

「いまは夏の発売に向けて戦争博物館の本を書いています。「現代」の「若者」から見た戦争というものを描いてみたいと思ったんです。あとは最近、宇宙にも興味がありますね。もちろん起業家に関しても、もう少し内容をアカデミックに深めた研究はしてみたいと思っています」

―本書で最も伝えたいこと、どのような人に読んで欲しいと思っているか教えてください。

「いまの働き方を考えたい人、働くことがしんどいと思っている人、起業を考えている人…。広い意味で「働く」ということに興味がある人になら楽しんで読んで頂けるんじゃないかと思っています。本の前半はドキュメンタリーのように、現代の起業家の生態系を描きました。そして後半はそれを相対化したパートです。まずは興味のある章から読んでいただけるとうれしいです」

―最後に読者の皆様にメッセージをお願い致します。

「新書や文庫じゃないので、よく「高い」といわれるのですが、飲み会一回分よりは安いと思うので、手にとって頂けるとうれしいです」

(了)

■古市憲寿さんプロフィール
1985年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。
慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員(上席)。有限会社ゼント執行役。専攻 は社会学。
現在は、大学院で若者とコミュニティについての研究を進めるかたわら、有限会社ゼントでマーケティング、IT戦略立案等に関わる。著書に『希望難民ご一行様:ピースボートと「承認の共同体」幻想』(光文社新 書、2010年度新書大賞7位)、『絶望の国の幸福な若者たち』 (講談社、第11 回新潮ドキュメント賞最終候補)などがある。