「保険の見直しをしたい」と思っても、形がなく手にとって比較できない保険は、どれを選べばいいのかわかりにくい。そこで、人気を集めているのが、保険選びを無料でアドバイスしてくれる保険相談だ。ちょうど医療保険の見直しを考えていたので、実際に保険相談を受けてみた。

■実際に保険相談に行ってみると

 まず、無料で保険相談を受けられるサイトを探してみた。すると似たような名前のサイトがぞろぞろ並ぶ。書き出して並べてみようと思ったのだが30を超えてもまだ終わりが見えないので、やめた。それほど乱立している。

保険見直し無料相談の落とし穴

 その中からランダムに3サイトをピックアップして保険相談の申し込みを送った。申し込みはサイト内にある保険相談申し込みのバナーをクリックするとフォームが表示されるので、氏名、性別、生年月日、職業、住所、連絡先とともに、相談内容などを入力し送信する。私は連絡方法をメールにしたので、サイトの担当者から希望日や希望場所を連絡するようにとのメールが届いた。すると数日後、希望日に保険相談してくれるFPが見つかったと連絡が入る。

 ここからは紹介されたFPと直接連絡することになる。指定日にFPと会い、保険相談をする。保険相談は1回目が家族構成、現在加入している保険とどの保険をどうしたいのか、などという相談者についての聞き取りがあり、2回目にはじめて、それをもとにした保険の提案がある。それを持ち帰り検討し、よければ3回目に加入手続きとなるパターンが多いようだ。

 さて、肝心の保険提案の内容だが、同じ内容で相談しているのに、提案内容が三者三様。極めつけは契約段階で、通院歴を見たあるFPに「この保険にあなたは加入できない」と言われ、別のFPには「加入できる」と全く真逆のアドバイスを受けた。結局保険に加入できたので、「できる」とアドバイスしたFPが正しかったわけだが、このFPは実績のある大手のサイトではなく、新しくできたばかりのサイトで紹介してもらったFPだった。

 保険見直しを行なっているサイトはFPとのマッチングサイトなので、大手だから優秀なFPを紹介してくれるわけでもない。正直、どのサイトでも大差ないと思う。大切なのは紹介されたFPとの相性だ。保険に詳しいことはもちろんのこと、保険は何十年も先に使うかもしれない。その時に頼れるFPに依頼したい。手にとって、見て比較できない商品だからこそ、FPの人柄は重要な選択要素だと思う。

■相談に行った時に気をつけたいポイント

 ここからは、保険相談するときに気をつけたいことをピックアップした。これから保険相談を考えている人は参考にしてほしい。

◎保険相談するときに気をつけたいこと

<落とし穴・その1>FPの資格を信じてはいけない

「保険のプロFPが保険相談にのります」というキャッチをみかけるが、FP(ファイナンシャル・プランナー )は、将来のライフプランニングに即した資金計画やアドバイスを行う人あって、保険比較のプロではない。FP=すべての保険の長短を知り、比較できる人というわけではないことを知っておいたほうがいい。

 ちなみに、FPの資格では保険募集はできない。保険業法では、保険募集できる人は、生命保険募集人・損害保険募集人としていて(保険業法 275 条)FPは対象外だ。保険相談を行っているFPはFP資格の他に保険募集人としての資格ももつ人ということになる。

実は私もFPの資格を持っている。しかし、どの保険が自分にベストなのか選ぶのは難しい。的確な保険相談ができるFPは、新しい情報をキャッチしながら、自ら常に勉強している人だと思う。つまりFPの資格をもっていても、その実はピンキリだということだ。

<落とし穴・その2>顧客の事情よりも優先される手数料

 保険は契約を獲得すると、保険会社から代理店手数料がもらえる。無料で保険相談をするとして顧客を集める保険比較サイトは見込み客をFPに紹介し、FPは保険相談でいわば営業しているわけだ。では保険の契約をとれば、どの保険会社からも手数料がもらえるのか、というとそうではない。もらえるのは代理店契約を結んだ保険会社からだ。また保険会社や保険商品によって手数料は異なる。

 ということは、自分が契約を結んでいる保険会社の、より多く手数料をもらえる保険を売りたいと考える人がいても不思議ではない。それを裏付けるように、先日、複数の保険会社の商品を取り扱う「来店型の保険ショップ」について、店側が得る手数料が高い商品を優先して販売しているのではないかとの指摘を受けて、金融庁が、店への規制強化に乗り出し、規制強化の具体策を詰めたうえで、保険業法を改正するとの報道があった。勧められた保険には大人の事情が介在しているかもしれないということを頭の片隅においておいたほうがいい。

<落とし穴・その3>すべての保険から比較できるわけではない

 FP側からすれば、相談者が保険に加入してくれると代理店手数料がもらえる。そして手数料がもらえるのはFPが契約を結んでいる保険会社からのみ。ということは、保険相談では担当FPが代理店契約を結んでいる保険会社の商品の中からの比較でアドバイスが受けられると思ったほうがいい。

 ■ベストな保険相談を受けるには

 今回体験してみて、ベストな保険相談を受けるのに有効だと思う方法を列挙してみた。

1、申し込み時にはできるだけ多くの保険会社の商品を比較したい旨を記す

 当然、複数の保険会社の商品の比較ができるものと思っていたら、「担当FPが1社専属FPだが、いいか」というメールを送ってきたところがあった。申し込み時に「3社以上の保険会社の商品が比較できるFP」などと要望を記した方がいいかもしれない。ただし、比較する保険会社数が多ければ多いほど、該当数の保険会社の商品を扱うFPが少なくなる可能性があるので、混み合っているときは相談日時の調整が難しくなるかもしれない。

2、複数の保険相談を体験し、比較してみる

 1回の相談でも現在加入している保険よりも良い提案は受けられると思う。ただし、その提案よりももっといいものが存在する可能性もある。複数の提案を比較することでよりベストな選択ができる。

3、他のFPが勧める保険について別のFPに聞いてみる

 自分で比較することが難しければ、他のFPが勧める保険について「この保険がいいと聞いたがどう思うか」とFPに聞いてみる手もある。私も今回この方法を使ってみたが、相談を親身に考えてくれるFPなら、良し悪しを丁寧に答えてくれる。

4、FP自身が加入している保険について聞いてみる

 FPが自腹を切って加入している保険も参考になる。ただし、ノルマや付き合いなどで仕方なく加入した保険が存在する可能性もある。保険は住宅費、教育費に次いで高額商品なので、保険の見直しで家計の節約につながることもある。またライフスタイルの変化に伴って保険の見直しをすることも必要だ。無料の保険相談を上手に利用して、自分や家族にベストな保険を見つけてほしい。

■参考資料 

保険募集等の委託の在り方
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/hoken_wg/siryou/20110830/01.pdf

(文/栗山佳子)

損害保険会社に10年、保険比較サイトを運営するIT企業に約1年の勤務経験とFP資格を持つ。