現在、日本の株が“爆騰”中だ。昨年11月に8000円台後半だった日経平均株価は、野田前首相が解散を宣言してから上がり続け、1万2000円にまで上昇。たった4か月ほどで上昇幅は3000円以上と、歴史的な上昇を記録した。ここまで上がってくると、周囲から、「株で儲けた」といった話がチラホラ聞こえてくる人もいるだろう。また、マネー誌のみならず、一般誌でも株式の特集を目にすることが増えてきた。これまで株式投資をしたことがなかった人でも、「株を買ってみようか」と思い始めても不思議ではない。

  だが、投資経験のない人にとって、株式投資のハードルはかなり高い。どうしても、「買った途端に値下がりをして、損をしたらどうしよう!?」という気持ちが湧いてしまうものだ。そこで、そういった株式ビギナーの人におすすめしたいのが、株をちょっとずつ買うという方法だ。いわば「積立て方式」で買うわけだが、この手法を説明する前に、まず株式投資の基本中の基本から説明しよう。

  株式を売買するときは、「単元株」がベースとなる。単元株とは、株式の売買単位のことで、企業によってその株数は違う。1株で売買ができる株もあれば、1000株単位でしか売買ができない株もある。現在は100株単位が主流だ。したがって、株式を買うときの最低必要額は、株価×単元株数で求められる。例えば、株価が1000円で単元株数が100株であれば、最低必要額は1000円×100株=10万円となる。

  現在、10万円程度で買える株式は数多くあるが、株は1日で2〜3%動くことは珍しいことではない。特に、最近は上下の振れ幅は大きくなっている。買った途端に3%値下がりすると、10万円の株ならマイナス3000円。これまで、預貯金など元本保証の金融商品しか買ったことがない人にとっては、3000円の損失は?大損害?に映るだろう。

 ■2パターンある積立て方式

  そこで、いきなり単元株数で株を買うのではなく、より少額でコツコツと買っていく手法が、積立て方式なのである。積立て方式には2パターンあって、毎月決まった金額で購入していく「定額型」と、単位株数未満の株数で購入していく「定量型」だ。定額型は、正式には『株式累積投資』と呼ばれ、証券会社は「るいとう」と呼んでいる。毎月1万円以上1000円単位で購入することが可能で、10万円の株なら、月1万円の積立てで、10か月で1単元株となる計算だ(購入期間中、株価が変らなかった場合)。購入は毎月1回と定められている。

  定量型は、以前は「株式ミニ投資」などと呼ばれていたが、いまは証券会社によって呼び名は異なっている。正確には、積立てというよりも、単元株数未満で売買できる、という認識の方が正しいかもしれない。単元株数が100株の銘柄でも、1株や10株で売買ができるからだ。この定量型を積立て方式にするなら、単元株数100株の銘柄を、10株ずつ月1回購入して10か月で単元株にする、といったやり方ができる。この場合の購入日は自分で決める。また、10株ずつ毎日連続購入して、10営業日で単元株にする、といったやり方もあるだろう。

 定額型にしても定量型にしても、最大のメリットは最低売買金額よりも少ない資金で購入できるという点だ。また、一度に単元株を買って、すぐに株価が下落したときに比べて、損失を限定できる、という点もある。しかし、後者の「損失を限定できる」というのは、メリットとデメリットの両面があることに注意してほしい。確かに、単元株を1回で購入してすぐに株価が下落すると、損失は大きくなる。それに比べて、10回に分けて積み立てて購入するようにすれば、下落した価格で購入できる可能性があり、損失は1回に比べて軽減できる。だが、もし、株価が上昇してしまうとどうなるか? 1回で購入すれば利益は大きくなる。それに対して、10回に分けて買おうとすれば、上昇した株価で購入しなければならなくなり、1回購入に比べて利益が少なくなる。

  つまり、大きく損をする可能性(=リスク)を限定できる代わりに、大きく利益を上げる可能性(=リターン)も限定してしまうのだ。積立て投資は、単純に単元株を購入することに比べて、「リスク&リターンを限定した投資手法」ということができる。ただし、株式投資ビギナー向けの手法であることには間違いない。積み立て投資は、証券会社によって取り扱いがない会社もある。特に、ネット専業証券は、取扱いがあっても定量型しかないところがほとんど。他方、店舗がある総合証券は、定額型の「るいとう」と定量型があるところが多い。

  さらに、積立て投資は、株式市場に上場されている全銘柄が対象ではないことにも注意が必要だろう。対象銘柄は会社によって異なっている。これから株式投資を始めるなら、まず、証券会社に口座を開設しなければならない。積て投資をするならば、取扱いがあるかどうか、買いたい銘柄は対象になっているかどうか、手数料はどうかetc、といったことをチェックしてほしい。

 (文/松岡賢治)

 

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。