何を食べても薄味に感じる……味覚を取り戻す5つの方法




「今日は久しぶりに息子家族とのランチ会。でもこのところ、何を食べても味が薄い。塩を振りかけているのは私だけ……。みんなは薄くないのかしら? じゃあ、夕食は腕をふるっておいしいものを作るわね。ところが孫たち“おばあちゃんの料理、しょっぱい!”とクレームの嵐。もしかして私、味覚音痴になったのかしら???」――目や耳の老化は自覚しやすいが、味覚の老化は人に言われるまで気づきにくい傾向がある。特に、高齢夫婦の2人暮らしならなおさらだ。若い世代に指摘され、ようやく味覚が鈍ってきたことに気づくことが多い。





■味蕾(みらい)の数が減ることで味覚が鈍る



味を感知するセンサーは、舌の表面にある味蕾(みらい)。文字通り、花の蕾(つぼみ)のような形をした微小な感覚器官だ。味蕾は生後から増え続け、20歳くらいで約9,000個になる。その後は加齢に伴って減少、だいたい60歳くらいから味覚が鈍くなり、80歳では約4,000個になってしまう。また、味覚は塩味・甘味・酸味・苦味・旨味の5つに分類され、特に感覚が鈍るのは塩味。次に甘味を感じにくくなる。







副用している薬の種類によっても、味覚が変わる場合がある。薬を飲むと成分は血液に移行するが、唾液中にも薬の成分がにじみ出てくる。すると、敏感な人は口の中が苦くなり、味にも違和感が生じる。薬を飲み続けていることで継続的に味蕾を刺激するので、味覚センサーがまひし、味を感じにくくなるのだ。味覚を変えやすいのは、高血圧治療薬、脂質異常症治療薬、抗アレルギー治療薬などで、薬は若い人の味覚をも鈍らせる。



塩味・甘味・酸味・苦味・旨味といった味の分類は、0歳児ですでに形成されている。おいしい・まずいの感覚は、1歳から5歳くらいまでの間に備わる。そのため、乳幼児からソースやケチャップなど味の濃い料理やジャンクフードばかりを食べていると、若くても味覚が鈍くなってしまうのだ。



■放っておくと……動脈硬化や糖尿病に!?



そのままにしておくと、高血圧や動脈硬化になりやすく、脳卒中や心筋梗塞の危険性が高まってしまう。高血圧と動脈硬化には深い関係があり、高血圧になると動脈硬化になりやすく、動脈硬化があると高血圧になりやすい。日本高血圧学会 減塩委員会では、血圧が正常な人でも食塩制限(1日6g未満)を推奨している。



塩味に次いで、味覚が鈍りやすいは甘味。甘味を感じにくくなると、スイーツを食べても満足せず、つい量を多めに食べがちだ。すると、糖分の過剰摂取で糖尿病の危険性が高まってしまう。



亜鉛を毎日摂って、味覚センサー復活を目指す!



亜鉛は細胞の新陳代謝に欠かせないミネラル。不足すると味蕾の新陳代謝も落ちるので、味覚が鈍くなってしまう。亜鉛を多く含む食品は、牡蠣(カキ)・ビーフジャーキー・パルミジャーノレッジャーノ(パルメザンチーズ)・煮干し・たたみいわし・豚レバー・抹茶(粉)など。サプリメントで補うのもオススメだ。味蕾は10日ほどで生まれ変わるので、毎日摂取すると効果も表れやすい。



素材の味そのものが濃い、良質な食材で調理



素材自体の味が濃く滋味に富んだ食材を、ダシを利かせて調理してみよう。すると、調味料に頼らなくても味を感じやすくなる。塩は食卓塩ではなくミネラルの多い自然塩に切り替える。白砂糖もミネラル豊富な黒砂糖に替えると、少量でも味に深みが増す。高齢の人はもちろん、味覚が形成される0歳から、良質な食材で味覚を鋭敏にさせることが大切だ。



また、減塩梅干しには注意が必要。塩分の代わりにうまみ調味料(グルタミン酸ナトリウム)で味付けしている場合もある。減らさなければいけないのはナトリウムなのだ。食塩(塩化ナトリウム)を減らしても、グルタミン酸ナトリウムが使用されていては、塩分を減らしたことにならない。減塩だからと油断して食べ過ぎないようにしよう。



薬を変更できるか主治医に相談を



内服薬で口の中が苦くなってしまったら、薬を変更できるかどうか主治医に相談してみよう。唾液に分泌された薬の成分が味覚を変えているので、口をすすいでも効果が感じられないかもしれない。



舌苔クリーナーで舌の表面を掃除



舌の上にある白い苔状の舌苔(ぜったい)がたまると、味覚が鈍くなることもある。舌苔専用クリーナーで掃除すれば、口の中をサッパリさせることができる。歯ブラシで掃除すると、舌を傷つけやすいので注意しよう。



酸味を加えて舌をだます



味覚が鈍くなると、酸っぱいものを塩味だと勘違いしやすくなる。魚は塩を減らして焼き、焼き上がりにレモンか酢を振りかけて食べると、しっかりした味付けを堪能できるはず。また、唾液中に含まれているアミラーゼという酵素は、デンプンを甘い麦芽糖に変える作用がある。精製米には約77%、小麦粉には約75%ものデンプンが含まれている。ご飯や団子、パンやクッキーなどをよくかんで食べると、甘味を感じやすくなる。



(からだエイジング)