デイリースポーツ案内広告社などDACグループの創立50周年事業、「セブンサミットプロジェクト」の第2弾として南米最高峰アコンカグア(標高6962m)に挑戦した3名の社員が、2013年2月3日、3名全員で登頂に成功した。(写真は、デイリースポーツ案内広告社経理部の上山弘平氏(左)、デイリー・インフォメーション経理部の佐々木健太郎氏)

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 デイリースポーツ案内広告社などDACグループの創立50周年事業、「セブンサミットプロジェクト」の第2弾として南米最高峰アコンカグア(標高6962m)に挑戦した3名の社員が、2013年2月3日、3名全員で登頂に成功した。同プロジェクトは、2012年から10年間で、世界七大陸の最高峰を社員が登頂しようという計画。すでに2012年8月に女性社員6名によるアフリカ最高峰キリマンジャロ(同5895m)登頂に成功。アコンカグアの登頂に成功したのは、デイリースポーツ案内広告社経理部の上山弘平氏(隊長)、デイリー・インフォメーション経理部の佐々木健太郎氏と、同社北海道営業部の原田雅司氏。上山氏(写真左)と佐々木氏(写真右)「に、アコンカグア登頂の体験について聞いた。

――DACグループ代表の石川和則氏は、アニマル石川と呼ばれる冒険家として知られ、南北の両極点到達やタクラマカン砂漠、キリマンジャロ、エベレストなど様々な冒険に挑戦してきています。「セブンサミットプロジェクト」は、グループ社員が大きな冒険にチャレンジしようという計画で、社内公募制だということですが、そもそも、なぜアコンカグアに挑戦しようと思ったのですか?

上山 代表の石川が数々の冒険に挑んでいることへの憧れの気持ちがありました。石川はよく、「大自然と裸で向き合う体験は、何ものにも替え難く、人間成長に欠かせない」ということを言うのですが、そうした話に日頃から触発されていたのだと思います。

佐々木 私も石川が書いた冒険記録を読んで、興味を持っていました。また、昨年8月のキリマンジャロ隊の経験者が、登頂経験について熱く語るのを聞いていて、自分もやってみたいという思いがわきあがってきました。

――アコンカグアというのは、標高が高く、プロの登山家でも登頂率が30%といいます。実際に登頂してみて、登頂することの難しさは?

上山 7000m近い高度が、最大の障害です。アコンカグアは、絶壁を登ったりするような特別な登山技術が必要な山ではないのですが、空気が薄く、頂上が近づくにつれて身体が思うように動かなくなります。また、天候が不安定で、風が強い日が多いところです。挑戦前から、登頂は天候次第で、風が強かったら登らないといわれていたので、登頂できるかどうかは、天気次第、運次第というところがありました。

佐々木 登頂チャレンジを控えたキャンプでは、滞在中に荒天のため4名遭難死したとの情報があり、2名が凍傷でレスキューされるのを目撃しました。また、直前に遭難した人が担架で運び下ろされるところにも遭遇したので、キャンプに入ってから、ぐっと緊張してきました。

――そのような難しい登頂に3人全員が成功できた要因は?

上山 大きかったのはベテランガイドの倉岡裕之さんが、トレーニングの段階から参加してくださり、登頂にも同行していただいたことです。倉岡さんは、登山家としてエベレスト5回、アコンカグアにも6回目という大ベテランです。やはり、登頂には事前の準備が必要で、高度に慣れながら徐々に登っていくという無理のないスケジュールが大切です。そのポイントを良く分かっているガイドと一緒だったので、最後まで頑張れたのだと思います。

佐々木 会社からのバックアップは大きかったです。半年前から準備したのですが、雪山歩行に慣れるため、富士山や南八ヶ岳への登山、高地登山に慣れるための低酸素トレーニングなど、自信を持って臨めるような準備ができました。今回の挑戦が決まってから、会社では13Fのオフィスまでエレベーターは一切使わず、20キロのリュックを背負って階段を上って汗だくで出社するなどを繰り返していました。

――登頂当日は、日曜日だったにもかかわらず、多くの社員の方々が出社して応援してくれたと聞きました。

上山 実は、1月30日に1度登頂に挑戦して天候の関係で失敗しているのです。そのため、2月3日はラストアタックでした。もう帰国の予定が決まっていたので、この日がダメなら、登頂失敗になるということで、それは、会社のみんなにも分かっていました。登頂当日は、社内の会議室でGPSの位置確認をしながら、登頂アタックを応援してくださいました。頂上から衛星電話で報告したのですが、会社では万歳三唱だったそうです。

佐々木 登頂当日は、夜中12時過ぎから登り始め、10時間近くかかって頂上に到達しました。最後の行程は、身体を引きずるような感じで、少し歩いたら休み、休んでは少し進みました。最後の最後に岩場があるのですが、ここを乗り越えるのが大変で、頂上にたどり着いた時の開放感は、これまで経験したことがない感覚でした。

――アコンカグアの登頂に成功して、何か変わったことは?

佐々木 高所登山は初めての体験でしたし、身体はバテバテで疲れ果てていたのですが、それでも頂上にたどり着けました。一人では頑張れなかったと思います。

 何時間も、ただひたすら歩いていると、いろんなことを考えます。会社の仲間のこと、家族のこと、いろんな人の顔が思い浮かんでくるのですが、その一人ひとりに感謝している自分に気が付いたんです。あれは、不思議な感覚でした。「ありがとう」、「ありがとう」と唱えながら、歩き続けました。あのような体験は、他ではできないと思います。私にとって宝物のような思い出です。

上山 私も同じです。1回目の登頂挑戦に失敗した時、社員から何通もメールをもらいました。部長からも、部署みんなも目標に向けて頑張ってる。みんなで応援してるぞって励ましてもらいました。一歩一歩が、みんなの応援によって進めているということを、身をもって体験できました。こんな気持ちは初めてでした。

 2回目のラストチャレンジは、何ともいえないプレッシャーがありました。ここまできて、失敗しましたごめんなさいでは許されないという思いがありました。2回目は、絶対できると自分に言い聞かせていました。頂上に立った時には、会社で応援してくれた人たちが喜ぶ姿が目に浮かびました。感謝の気持ちがあれば、どんな困難にも打ち勝てるのだということが分かりました。

佐々木 本当に、猛烈なプレッシャーがあったのですが、成し遂げたことで、仕事にも自信をもって取り組めています。こんな体験をさせてくれた会社に感謝しています。

上山 標高が高くなってからは、じっとしているだけでも大変な思いをするのですが、そこまでに至る間には、南米の気さくで楽しい出迎えを受け、山の景色の雄大さや、澄み切った星空など、東京では体験のできない貴重な経験ができました。

 第3弾は、ニューギニアにあるオセアニア地域最高峰カルステンツピラミッド(標高4884m)への挑戦です。同僚や同期にも挑戦してみたいという話が増えてきて、プロジェクトは盛り上がってきました。この得がたい経験を、多くの社員で分け合いたいと思います。(編集担当:徳永浩)