リーダーシップに王道はない。自分の置かれた状況によって必要とされるリーダーシップのあり方は変わるからだ。

たとえば、ぐいぐい部下を引っ張っていくカリスマ型のリーダーシップと、人間関係を調整し、みんなにその気になってもらう支援型のモデルの2極が存在するとする。どちらをとるべきかは状況による。部下が新人ばかりの場合とベテランが多い場合、あるいは会社の急成長時と業績低迷時ではやり方が変わるのは当然であろう。結局、どんな場合にでも効くリーダーシップのあり方など存在しない。状況にマッチした自分なりのやり方を見つけるよりほかはない。

リーダーシップとは、自分の状況を「内省」し、「自己発見」するべきものなのだ。そのときにゼロから始めるのは困難なので、ここに挙げたようなさまざまな本を読み、自分なりのリーダーシップのスタイルをつくっていくことが大切である。

しかも、いったん自分なりのスタイルを確立しても、年齢が上がり部下の世代が変わっていくと、まったく通用しない局面が生まれてくるだろう。そのときにアンラーニング、すなわち一度つくったスタイルを捨てて、新たなリーダーシップのあり方を学習し、再び確立していくことが求められる。必要に応じてアンラーニングをしないと、状況にマッチングしない非生産的なリーダーシップをふるうことになってしまう。

■『リーダーシップ・チャレンジ』ジェームズ・M・クーゼスほか
人を動かすときに信頼や誠実さが資本として機能することを書いた本。最も読まれているリーダーシップの教科書。

■『マネジャーの仕事』ヘンリー・ミンツバーグ
CEOクラスのマネジャーに密着し、彼らがどんな行動を取ったのか調査することでその役割を明らかにした一冊。

■『反哲学的断章』ヘンリー・ミンツバーグ
マネジャーの仕事とはどのようなものでプレーヤーと何が違うのか。この問いにきちんと答えた数少ない本。

■『企業変革力』ジョン・P・コッター
組織変革にあたってのリーダーシップのあり方を説く。実例に基づいて、変革の際辿るべき8つのステップを提示。

■『カモメになったペンギン』ジョン・P・コッターほか
『企業変革力』の著者が、自身の提唱する組織変革の手順をペンギンたちの住む氷山を舞台にわかりやすく寓話化。

■『仕事漂流』稲泉 連
8人のロスジェネ世代にインタビューした本。「部下がわからない」と悩む管理職に。働くリアリティの違いを理解できる。

■『知識創造企業』野中郁次郎、竹内弘高ほか
イノベーションにはある種の混沌やゆらぎを組織に起こすことが必要。本書はその基礎的な理論を提示する世界的な名著。

■『凡才の集団は孤高の天才に勝る』キース・ソーヤー
凡才でも、人のつながりを重視した集団づくりをしてコラボレーションすることで創造性を生み出せることを説く。

■『リフレクティブ・マネジャー』中原 淳、金井壽宏
業務能力やリーダーシップ能力を向上させるときに重要なのは経験と対話、リフレクション(内省)であることを説く。

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東京大学 大学総合教育研究センター准教授 中原 淳

1975年、北海道生まれ。東京大学卒。博士(人間科学)。専門は経営学習論、企業・組織における人々の学習とリーダーシップについて研究。

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(東京大学 大学総合教育研究センター准教授 中原 淳 構成=宮内 健 撮影=向井 渉)