平安貴族や戦国武将もたしなんだ、奥深い囲碁の世界




正倉院には、聖武天皇が愛用したといわれる碁石が所蔵されています。さらに平安貴族や戦国武将も囲碁を楽しんだと言われており、その歴史は大昔から現在まで続いているのです。



しかし、いろいろな娯楽があふれている現代では、囲碁に触れたことがないという人も多いのでは? そこで今回は、奥深い囲碁の世界とその魅力をご紹介したいと思います。



今回は、「囲碁のまち」で知られる(公財)平塚市文化スポーツまちづくり振興財団・文化事業課でお話をうかがいました。平塚市では、囲碁という競技を地域の特色ある文化として位置づけ、湘南ひらつか囲碁まつりをはじめ、七夕囲碁大会などの各種大会、初心者教室などの各種囲碁教室などを行い、地域住民から好評を得ているそうです。



■囲碁の魅力とは?



「囲碁は碁盤と白黒の石さえあればできる手軽なゲームです。また、ルールも白と黒に分かれて対戦し、交互に石を打って相手より大きい陣地を取ったほうが勝ち、という非常に単純なもの。このように道具やルールは単純ではありますが、何千年を経た現在でも最善の手がどこなのか誰にもわからない奥深さが、現在でも続いている理由なのだと思います。



習いたてのころは相手の石を取るのが楽しく、少し覚えてくると相手の意図がわかるようになり、駆け引きを楽しめるようになります。上達すると駆け引きの中でいろいろな技を使えるようになり、覚えた技が決まって自分の考えどおりになったときの爽快(そうかい)感を味わったらもうやめられません。



このように碁盤の上で自分を表現できることが、囲碁の魅力なのだと思います。しかも相手がいることなので、その表現は複雑で、プロの名局などは芸術と言えます」



■年齢、性別、強さを問わず、対局を楽しめる



「囲碁は老若男女や棋力を問わず、誰とでも楽しめるのも大きな魅力です。実際、囲碁の大会に行くと子どもや女性が何人も参加しています。



また、ハンデを非常に細かく設定できるので、棋力をも問わず皆が楽しめます。ハンデ次第では、碁を覚えたての人でも、高段者相手に勝つことだってできるわけです」



■脳の老化防止にも役立つと言われる囲碁



「囲碁は詰碁のような論理的な左脳と、大局的に盤面を俯瞰する感覚的な右脳を同時に使うので、脳の老化防止に向いていると言われています。



また、囲碁ではわが国古来の競技らしく、礼儀作法を重んじます。さらに、劣勢をしのぐための忍耐力、局面の有利不利を判断する計算力なども身に付きますので、教育的効果も見込めるでしょう」



■インターネットなら、世界中の人と「会話」ができる



「近年、インターネットのオンラインで囲碁を打てるサイトが増えてきました。その効果もあってか、世界各地で囲碁を行う国が増えてきています。



元来、囲碁には『手談』という言葉があります。これは、言葉を発さなくても着手で相手の考えがわかり、あたかも会話をしているようだ、という意味です。インターネット囲碁は日本のみならず、世界各国の見知らぬ人と『手談』ができる、とてもいい機会です。



また、『手談』という言葉のほかにも、現在私たちが何気なく使用している言葉の中には、囲碁に由来するものがたくさんあるんですよ」



実は普段使っている言葉の中にも、囲碁に由来する言葉が多いとは! 日常生活で使う言葉を中心に教えていただきました。



「布石」

対局の序盤に、その後の展開を考えて石を配置していくことを、布石と言います。現在では、囲碁に限らず幅広い場面で使用されますが、もともと布石の「石」は碁石のことだそうです。



「駄目」

囲碁は簡単に言えば陣取りゲームですが、陣地を取り合っているうちに境界線の部分ができてしまいます。この境界線にあたる部分は、石を打っても自分の陣地にはカウントされません。つまり、「無駄」な「目」なので「駄目」。そこから、しても意味がないこと、してはいけないこと、といった意味で広く使用されるようになりました。



「死活問題」

「企業にとっての死活問題である」といった使い方をしますが、実はこれも囲碁に由来する言葉です。囲碁では、取られてしまう石は「死に」、取られない石は「活き」と表現します。そして、これらをあわせて死活と言います。「活路」も同じように、囲碁の「活き」に由来しています。



「白黒つける」

白石と黒石で陣地を取り合って、決着をつける。まさに囲碁の言葉ですね。



ほかにも、「碁打ちは親の死に目に会えない」ということわざもあるそうです。これは、囲碁の面白さを表していることわざで、大事な用件も忘れて夢中になってしまうほど、囲碁が楽しいという意味なのだとか。



囲碁が打てる場所はとてもたくさんあり、ネット対局なら自宅でも楽しめます。囲碁由来の言葉に触れることもできるので、ぜひ足を踏み入れてみては?



(OFFICE-SANGA 森川ほしの)