テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」がアルバイト募集の会社説明会を行ったところ、300人を超える参加希望があり、その8割以上が50代、60代だった。

USJは今後、団塊の世代の雇用を拡大する、といった報道もあり、ネットでは「USJは中高年の救いの神」といった評価もあるが、働きたくても働き口の無い若者が多いとし、「若者の雇用を奪な!」「30代のオレを雇ってくれよ!」などといった批判が出ている。

シニア世代も「ユニバ」で華麗にデビュー!

USJの会社説明会を2013年3月4日に行ったのは大阪市北区の「ハローワーク梅田」で、ここでは月に何度も求職者のためにこのような会社説明会を開催している。当初は100人程度を予定していたが、300人以上という同ローワークでは「過去最高の応募」があり、説明会を2回に分け計180人が受けることになった。

なぜ説明会に応募してきた8割以上が50代、60代だったのか。ハローワークの告知では、

「『テーマパークのお仕事』=『若い世代の職場』というイメージに捉われず、シニア世代の方にも働きやすい職種の募集で、もちろん採用のチャンスも大!!」
「計230名以上の採用を計画!この春『ユニバ』で華麗にデビュー!」

とあったことや、朝日新聞、産経新聞が地方版でこの説明会を記事にし、

「同局の担当者は『60代以降でも応募が可能で、高齢者からの積極的な参加に期待したい』と話している」(朝日新聞13年2月28日付)

などと書いている。

ハローワーク梅田企画部門に話を聞いてみると、今年1月もUSJの会社説明会を開催したが、応募があったのは60人ほど。若い世代はアルバイト募集に応募する場合は直接ホームページからエントリーするため、この時も集まったのは40代が中心だった。今回の場合は従来59歳以下だった応募資格者をUSJは60歳以上でも応募が可能とした。中高年のアルバイトを増やしたいという考えならば、ハローワークの得意分野だからシニア層に直接呼びかけた、と説明した。

応募してきたシニアは、かつては大企業の社員で高い給与をもらっていたと思われる人もいて、USJが支払う800円ほどの時給に難色を示すのではと思っていたら違っていたという。

「夢の国で働けるなんて夢のようだ、とか、毎日が楽しくて仕方がないだろう、孫に自慢ができる、などキラキラしている感じでした。また、USJは元気な企業の代表だから自分も元気がもらいたい、と話す人もいました」

と担当者は打ち明ける。

「50代、60代の採用数は例年と変わらない」とUSJ

こうした状況にネットでは、テーマパークなのだから若者に働かせるべきであり、職がなくて困っている若者も多い、とか「キレやすい団塊は向いていない!」などといった反発が強まっている。

USJはなぜ今回、中高年のアルバイトを増やすことになったのか。広報に話を聞いてみると、なぜか歯切れが悪い。USJは季節ごとに大量のアルバイトを採用していて、この春はアトラクション担当者やパーキング、飲食など沢山の分野で230人を募集する。これまで50代、60代の採用は「ごく僅か」だったが、この春の募集で増やすかというと、

「例年と変わらないと思います」

ということだった。実は、3月4日に開催した会社説明会の目的は、これまで採用が59歳以下だったものを64歳以下まで上限をに引き上げたことを告知するため。なぜ引き上げたかというと、13年4月から労働契約法が改正され、65歳までの雇用の確保が求められるからだという。

「アルバイトは20代、30代を主軸にするということは変わりません。優秀なシニアがいたならばもちろん採用します、ということです」

と広報では話している。今回のハローワークの説明会に出席した人からの応募は数十人にのぼるという。USJのアルバイトになれるかどうかの選考は13年3月10日から3日かけて行われる。