写真の歴史のなかで、誰もが知る名作は多々ありますが、フォト・ジャーナリズムのなかで最も有名な写真といえば、「最も偉大な戦場カメラマン」と称されたロバート・キャパが、スペイン内戦で撮影した「崩れ落ちる兵士」ではないでしょうか。

 銃弾を受けた兵士が、その衝撃によろめきながら死を迎える。生死の境の一瞬をとらえたこの写真は傑作といわれています。無名だったキャパは、この一枚で、世界中が知るカメラマンとなりました。

 しかし、おかしなことに、キャパはこの写真についてほとんど話しませんでした。また、ネガはなく、オリジナルプリントもキャプションもありません。誰がいつ、どこで撮影した写真なのかを知るデータがないのです。

 その謎に、現在挑んでいるのが、ノンフィクション作家の沢木耕太郎氏。新事実発掘のためにスペインに渡り、最先端CG技術を駆使して、この写真がどのような状況で、誰が撮影したのかの謎を明かそうとします。そして、沢木氏は最後にある答えを見つけたのです......。

 2013年はキャパが生まれて100年となる年。沢木氏はこの生誕百年について、「そのことに特別の意味があるとも思えないが、もしかしたら、キャパも天上のどこかでこう呟いているかもしれない。『そろそろ、いいかな』と。」と、書籍『キャパの十字架』(あとがき)の中に残しています。歴史に残る一枚の写真は、一体誰がいつ、どこで撮影したのでしょうか。その謎を解く鍵は、同書のなかにあるのかもしれません。



『キャパの十字架』
 著者:沢木 耕太郎
 出版社:文藝春秋
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