元傭兵!眼帯!巨乳!トンファーブレード!多すぎだよ!『新米婦警キルコさん』(平方昌宏/集英社)は、オーバースペックな能力で、田舎の警察に勤めることになったキルコさんの、空回り生活を描いたドタバタギャグマンガ。一生懸命がかわいい+凶悪なキルコさんも面白いですが、現行犯を見つけたら「手を出せるんだよ!」と言ってしまうゲスい先輩もユニーク。アッパーなテンションと田舎のローテンションのチグハグが楽しい作品です。

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ぼくこういうの嫌いじゃない。
どういうのかというと、好きなもの全部盛り合わせたようなキャラ。

『新米婦警キルコさん』は、タイトルどおり新米の婦警、キルコさんが引き起こす警察ドタバタコメディです。
ところが、このキルコさんのキャラのアクがとんでもなく濃い。

まず元傭兵。いきなりおかしいが、まあいいでしょうマンガだし。
次にドジっ子。元傭兵でドジっ子って致命的な気がしますが、まあいいでしょう。
そして眼帯。なにあったの!?それは片目なの、中二病なの?
加えて眉なしうずまき目。……一般社会だと眉なしって浮くんですが、意外にも浮かない。マンガすげえ。
次に緑髪。まあ、アニメとかだと多いしね緑。だがピンクや青じゃなく緑を選ぶセンス、ぼかぁ好きだな。
あわせて巨乳。はいこれはポイント高い。倍率ドンさらに倍。はらたいらさんもびっくり。
最後に手に持っているのがトンファー型ブレード。アウト。

うん。作者は「若干盛り過ぎました」と書いていますが、明らかに盛り過ぎです。
ですが、作者の力量というか……絵にすると表紙のように、めちゃくちゃかわいいから不思議。化学反応しちゃったのかな。
ドジなのは確かなんですが、いかんせん本当に戦場で戦っていただけあって、戦闘能力や瞬時の判断力がちょっと異常。
実際の戦場でトンファーブレードはまあ使わないでしょうが、近距離戦武器の傭兵となるとその強さは計り知れないものがあります。
表紙から想像できないくらい、実戦では強いです。

この作品の面白さは、彼女が勤務することになったのがど田舎の警察だというところです。
起きる事件と言ってもせいぜい下着泥棒くらい。凶悪犯罪もそんなにあるわけでもなく、戦闘能力の高い彼女がいたとしても、どう考えてもオーバースペックすぎるんです。
作中でこんなセリフがあります。
「考えてもみてほしいんだ。たかが卵を割るのにハンマーがいらないように、特殊部隊にいた元傭兵が婦警を勤めたらどうなるか」
このキャッチフレーズは見事なものです。まさにそれ。のほほんとした田舎に、戦闘の達人である傭兵が来た所で、することがない。
舞台になっているのは、空港が建つ予定だったのに不況で放棄され、サラ地とまばらな民家がある程度の超ド田舎の埋立地。3話でのお仕事は、交通安全教室。平和だ。

どんぶりの水を、コップに注いだらあふれるようなもんです。
元傭兵のキルコは技術を持て余しまくります。いかんせんドジなもんだから、その破壊力も尋常じゃない。
面白いもので、戦場の最前線で戦い、恐れられていた彼女が、田舎の警察の仕事をこなせなくて泣くんですよ。
「適材適所」じゃないと、こんなにもはみ出し者になってしまう。
戦闘に関する彼女の自信が、仕事が出来ないことで崩れていく様は、なんだかかわいそうやら、かわいいやら。

このはみ出しっぷりがユニークなギャグマンガですが、彼女は彼女なりに田舎の警察官として成長していく要素も描かれています。
基本真面目で正直。いつも一生懸命。だからこそ、失敗はすれども、できることもあります。
スケベな警官の安錠春樹が先輩として、この問題児(?)を引っ張っていくことになります。二人は、失敗ばかりだけれども、ちょっとずつ積み重ねて、ぎくしゃくと仕事をこなしはじめます。すると付近の子どもたちなども懐いてくる。

そう、キルコさんは愛しい。
だからこのマンガは、最終的に一言でまとめたらキルコさんはかわいいというマンガです。
百面相のように表情豊かで、すごい(無駄な)スピードで飛び跳ねまくって、思いっきり喜ぶキルコさん。かわいいじゃないですか。
巨乳だし。でも個人的にはタイトスカートの腰のラインと黒タイツがね。いいよね。
特に婦警好きとか傭兵好きではなくても、惹かれるものがあるはず。まっすぐ生きてる女の子ってそれだけで見ていて気持ちいいのですよ。

元傭兵ドジっ子眼帯眉なしうずまき目緑髪巨乳トンファーブレード新人婦警、キルコさんの田舎警察ライフを楽しんじゃおう。
……やっぱすごい盛り過ぎですね。だがそこがいい。


平方昌宏 『新米婦警キルコさん』

(たまごまご)