はたして、決定権を持つIOCは当落判定をフェアに行っているのか。スポーツ評論家の玉木正之氏は、IOCをこう評する。

 「オリンピックには原理原則がないのです。ないのが当然で、近代五輪の始祖・クーベルタンが作ったとおりに五輪をやろうとするならば、女子は参加できなくなる。それなのに各IOC委員が利権とか利益に走ったからこういう結果になったと考えます」

 確かにクーベルタンは「より高く・より強く・より速く」という理念を掲げており、全競技に女子が参加したのはロンドン五輪が史上初である。当初の理念などおかまいなしに変節を繰り返す五輪。それを取りしきるIOCという組織に透明性などない、と言い切るのは前出・谷口氏だ。

 「現在の委員が選んで新たな委員が生まれます。IOCとは身内が身内を選ぶ組織で、そうすることが外側の政治力を排除する唯一の方法という理屈で成り立っているのです。委員になる人間はおのおのの利害を背負っており、そうした人間が内部で権力を持ち外部に対して影響力を持つ。そういう権力組織なんです。誰が今権力を持っているのかということを見れば、何が起こるのかわかります」

 前出・伊藤氏もこう続ける。

 「IOCは伏魔殿のようなところがあります。現在でも、君臨したサマランチ氏が選んだ委員が半分以上います」

 毎回、落選がささやかれる近代五種だが、繰り返される延命と、国際近代五種連合副会長にサマランチ氏の息子が就いていることは無関係ではあるまい。前出・馳氏は憤る。

 「まず要望したいのは、レスリングの39項目の数値評価を公開することです。よもやビリではないでしょうが、どの程度の評価なのか、それがわかれば自己改革ができるというものでしょう。少なくとも、一方的な投票で除外種目を決めるなんてけしからんよ!」

 また、前出・玉木氏はスポーツと利権の関係を解説しながら、こう主張する。

 「インドアスポーツは全て冬に持っていこうという意見もありました。バスケットボールもバレーボールも本来のシーズンは冬です。しかし、例えばバスケットならシーズンがかぶるからNBAは嫌がります。それが利権です。野球はユースオリンピック(14〜18歳)が始まっているのですが、知名度がない。高校野球とバッティングすることで、朝日新聞が嫌がって取材をしないからです。利権の中で動く前に、スポーツの勉強をし、スポーツとは何か、オリンピックとは何かを話し合うべきです」

 ロゲ会長よ、利権にまみれたIOC委員こそ除外せんかい!