安倍晋三首相の金融政策「アベノミクス」が、国内の株式市場に好感を持って受け止められている。長らく低迷を続けている日本株はどこまで反転するのか。そして、?ダイヤの原石?は──。

■カブ知恵代表 藤井英敏氏

藤井英敏氏

日興証券などを経て個人投資家向けに投資情報を提供する「カブ知恵」を設立。日本株分析のスペシャリストとして幅広く活躍中。

■フィスコ・リサーチレポーター 三井智映子氏

三井智映子氏

早稲田大学政治経済学部在学中より、消費者とアナリストの中間的な存在として株式などの情報を伝える。女優としても活躍中。

 デフレ脱却に向け、大胆な金融緩和やインフレ目標などを推し進めようという安倍首相の金融政策は、「アベノミクス」と称され、総選挙前から大きな注目を集めてきた。明るみに出るやいなや、日経平均株価は10%近くも押し上げられたが、政策が進むにつれ、さらなる株高が期待できるという。様々なメディアで日本株の分析を行なうカブ知恵代表の藤井英敏氏が解説する。

「インフレに向かえばカネよりモノの価値が上がるため、預貯金などの資産が大きく目減りしてしまいます。資産を守るためには投資という選択肢が有力。必然的に市場にマネーが流れ込み、株価を押し上げることは想像に難くない。これまでも日銀が金融緩和を進めてきましたが、質・量ともに欧米と比較すれば大きく遅れています。

 安倍政権がさらなる金融緩和を進めることができれば、円が大量に出回り、円安も進む。国内の輸出産業の業績改善が見込まれ、株価がさらに大きく上向くことも期待できるでしょう。私の予測では日経平均株価は年内に1万2000円台を回復すると思います」

 投資情報提供会社フィスコのリサーチレポーターを務める三井智映子氏は、やや冷静な読みだ。

「まだ企業業績が本格的には上向いていないため、13年3月期の決算が発表される5月頃にかけて日経平均は下が8500円前後、上が1万1000円前後のボックス圏で推移すると見ています。が、やはりアベノミクスに加え、大規模な公共事業投資も見込まれるため、景気浮揚期待から年末に向けて1万2500円を目指す展開が予想されます」

 日本経済の評価軸である日経平均株価は、政権運営が順当であれば堅調な動きを見せそうである。

安倍首相

総選挙で大勝し、大胆な金融政策を推し進める可能性が高い安倍首相。株価回復なるか。

●金融緩和で「不動産」と「ノンバンク」が急浮上

では、具体的にアベノミクスによって、好影響を受ける業界とはどこなのか。2人の専門家に有望な業種、さらには一歩踏み込んで有力銘柄を挙げてもらった。

 藤井氏がまず注目してほしいと話すのは不動産とノンバンク。

「金融緩和の恩恵を受けやすい業界といえば、不動産とノンバンクにほかなりません。いずれも金利が低下することで事業を拡大するための資金調達コストが下がるため、収益が改善されやすい。不動産なら三菱地所や三井不動産といった大手もありますが、より大きな値動きを望むなら、東急不動産に目を向けたい。現在計画が進められている渋谷駅の再開発事業という追い風もあり、株価も長期的に見れば、まだまだ安値圏にあるため、1年程度で株価が2倍になることも期待できます。

 それから2006年に貸金業法が改正され、ノンバンク業界は厳しい規制下に置かれてきましたが、景気回復に向けてそれを見直す機運が高まりつつある。多くのノンバンクが銀行傘下に入って生き残りを図ってきましたが、アイフルは独立系だったため、株価も大きく売り込まれてきました。業績改善に伴って、より大きなリバウンドが期待できるのではないかと見ています」

 また、現在、ビジネスマンなどにも大きく普及しているクラウドに関連して、ジャストシステムの値上がりも期待できるという。

「キーエンスとの資本提携によって10年3月期に黒字転換を果たし、過去最高益を更新。タブレットを活用したクラウド型の通信教育サービスを12年12月から始めており、これも注目材料です」

●「円安反転」「スマホ関連」に加え、「出遅れ銘柄」も

 一方の三井氏は、「円安への反転傾向」を好材料に挙げる。中でも有望視しているのは、海外でも根強い人気のキャラクターを擁するサンリオだ。

「ハローキティをはじめ同社のキャラクタービジネスは強い。海外売上高の37.7%を占める欧州は苦戦していますが、北米や南米、アジアなどは堅調に推移しています。これまでは円高が響いて業績面での成長はやや鈍化してきましたが、円安を受けて業績が上向く可能性が高まっています」

 そして、本格的な普及が進むスマートフォンやタブレット端末関連も外せないテーマだという。

「中でもモバイル端末向けのアプリケーションソフト開発や、ウェブサイト構築依頼が急増しているテックファームという会社は要注目です。同社の13年7月期決算も最高益更新が続く公算が大きく、米国での新規事業開拓が次なる成長エンジンとして期待できるでしょう」

 このほか、三井氏が狙ってほしいというのが、いわゆる「出遅れ銘柄」と呼ばれるものだ。これは業界全体の株価が上昇している中、同様の業績を残しているにもかかわらず、株価だけが上昇していない銘柄のこと。

「それが皆さんにもなじみの深いヤマダ電機です。11年7月の地上デジタル放送移行で特需に沸いたものの、その反動で業績が低迷し、株式市場の全般的な底上げが続く中でも株価は低迷したままです。しかし、同社は太陽光発電とオール電化システムなどを組み合わせたスマートハウス事業の拡大に向けて、住宅メーカーを買収するなど、すでに新たな収益源を開拓しています。そう考えると、現在の株価はかなり割安だと言えます」

 株式相場には「谷深ければ山高し」という格言が古くから知られている。長い間、日本株は大きく売り込まれてきたからこそ、その反動も大きなものが期待されている。安倍政権の舵取りを注目するのはもちろんのことだが、日経平均株価や、ここで推奨された個別銘柄の値動きにも期待したい。

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