家賃が高騰するヤンゴン

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海外駐在員ライフ Vol.187

From Myanmar

ミャンマーブームの到来で、家賃は1年で4倍以上の値上がり?


■家賃が1年で4倍以上値上がり!?

こんにちは。コウタロウです。今回は、私が住むヤンゴンの状況と、そこでの生活についてお話しします。

これまで欧米の経済制裁を受けてきたミャンマーには、日本を含めた海外の企業の多くがビジネス展開を躊躇(ちゅうちょ)しており、来訪者も進出企業も少なかったことから、ホテルやオフィス物件、外国人用住宅には、過去10年以上新築されたものがありません。ある外資系不動産コンサルティング会社の調査によると、ヤンゴンの外国人用サービスアパートメントの部屋数は2002年の620部屋から11年までまったく増加していないそうです。そこに到来したのが、今回の「ミャンマーブーム」。ビジネス客や進出検討企業は殺到するものの、それを受け入れるインフラは圧倒的に不足しています。その結果、ホテル、オフィス物件、外国人住宅などの価格が急騰しているというわけです。

例えば、私の事務所は12年3月末まで1平方メートルあたり毎月15ドル(米ドル・以下同様)で借りていましたが、12年4月から35ドル、10月からは45ドルに値上がりし、13年4月からの単価交渉においても、オーナー側は70ドルを強く主張中。このままだと、1年で4倍以上の値上がりを飲み込まざるを得ない状況にあります。日本の不動産業者によると、このオフィス単価は東京の青山や赤坂の大規模ビルの単価と遜色ないとか。とはいえ、停電時の自家発電態勢が十分ではないローカルのオフィスビルに引っ越せば、安定的な事務所運営は期待できません。また、自家用発電機を用意して一戸建ての事務所を構えようにも、借地料も同様に高騰していて、やはり選択肢とはなり難い状況にあります。

ホテルについては、11年には1泊70ドル程度で宿泊できた外資系5つ星級ホテルの価格が200ドルにまで跳ね上がり、設備に比して明らかに分不相応な値付けがされています。このままでは自国の観光産業に打撃を与えかねないと危惧する政府は、スタンダードルームの価格上限を150ドルに設定し、これを超える値付けをするホテルの外国人従業員のビザ発給停止をちらつかせるなどして、値上がりを牽制(けんせい)しています。一部ホテルに効果は表れていますが、抜本的な改善には至っていません。

外国人用住宅の価格高騰も大問題。前述の通り、外国人用住宅は過去10年程度新規の物件が出現していないところに、住宅を求める外国人駐在員が殺到しているため、一部の人気物件など、住戸数約200戸に対してウェイティングが400世帯と、完全な売り手市場となっています。当然ながら家賃も高騰し、1ベッドルーム(サービスアパートメント)で月額3000〜3500ドル(約26万1000円〜30万4500円)、2ベッドルームで月額4000〜4500ドル(約34万8000円〜39万1500円)にも達しています。

人事・組織系コンサルティング会社であるマーサー社の「2012年世界生計費調査-都市ランキング」によれば、ヤンゴンにおける外国人駐在員の生計費の高さは世界214都市中35位であり、前年の70位から大幅に上昇しました。住居費の高さがコスト全体を押し上げていることは容易に推測できますが、パリ(37位)、ミラノ(38位)を上回っていることは特筆に値するのではないでしょうか。多くの企業は、駐在員の住まいの家賃を企業側で負担するので、駐在員の生活に直結する影響は少ないのですが、私の勤務先では、規定によって一定の額までしか支給されないため、残りは自己負担となってしまいます。

頻発する停電に象徴されるように、ミャンマーでは現在、電力の供給力が絶対的に不足しています。ミャンマーは電気の7割を水力発電に頼っていますが、雨がほとんど降らない乾季が終了する4〜5月あたりは、ダムの貯水量が年間で最も少なくなり、発電量が小さくなることから、停電が頻発。幸い、私のオフィスと自宅には、ともにバックアップ用の自家発電機が備えられているため、数分で回復しますが、自家発電機のないオフィスや住宅の場合には自然回復を待つよりほかなく、酷暑の時期に何時間も冷房が使えなかったり、冷蔵庫の中のものが腐ってしまったり…。

また、インターネットは最近まで規制が厳しく、Yahoo! メールやHotmailは11年8月まで使用できませんでした。今では規制は大きく緩和され、YouTubeにもアクセスできますが、回線の状況がよくないため、多くの動画は重すぎてほとんど見ることができません。電話回線の状態も悪く、日本に電話しても会話が成立しなかったり、日本の携帯電話を持ってきても使えなかったりして不便です。

ミャンマーはASEAN(東南アジア諸国連合)の中で最も労働賃金が低く、しかも労働者が勤勉であることから、多くのメーカーが生産拠点の移転を検討していますが、本格的な製造業が進出できるような工業団地が不足している上に、上記のような理由で電力の供給も不安定。電力を大量に消費する分野や、突発的な停電で大きなダメージを被るような分野では、進出を躊躇する企業も多いのが実情です。

加えて、ミャンマーではまだまだ外国企業に対する規制が厳しく、外国企業は自社で貿易を行うことが認められていないため、日系商社は軒並み進出しているものの、駐在員事務所業務に限定されており、日本の大手コンビニエンスストアチェーンも、現地パートナーを通じてのフランチャイズ業務しかできません。しかし、このような規制があっても、6000万人の消費人口を擁している上、今後の経済成長がほぼ約束され、欧米企業も日系ライバル他社も進出していない市場はアジアにはほかになく、それゆえに「最後のフロンティア」として、多くの日系企業が熱い視線を注いでいます。物流、建設、二輪車(バイク)、四輪車(自動車)、家電、消費生活用品、広告といった分野の企業が、「外資に対する規制が緩和された暁にはこれらの市場を最初に自分のものにするのだ」という意気込みで先を争ってミャンマーに足を運んでいるのです。


■一年中、屋外での水泳が楽しめる

ビジネス環境には多少難があるものの、プライベートでは楽しみもあります。もともと海外旅行が好きで、これまで49カ国を旅していた私ですが、ミャンマーはビザが必要だったり、なかなか情報がなかったりで足が向かず、初めて訪れたのが駐在着任時。乾季が終わる3月までに、パガン、インレー湖といったミャンマー国内の観光地や、西側のベンガル湾に面したビーチリゾート地ガパリに足を延ばそうと思っています。ミャンマーは東南アジアには位置するものの、他国への交通アクセスがよくなく、どこに移動するのでも結局タイのバンコク経由になってしまうのが頭痛のタネなのですが、スリランカ、タイのサムイ島、インドネシアのバリ島にも旅行しようと計画中です。

また、ミャンマーは娯楽が少なく、まだまだ単身赴任者が多いことから、週末は多くの駐在員がゴルフを楽しんでいます。安いところではキャディー代を含めても3000円程度でプレーが可能です。私自身は、以前ゴルフに熱中しすぎて背中を痛めた経緯もあり、ここではもっぱら水泳を楽しんでいます。30代半ばから我流で始めた水泳ですが、常夏のミャンマーでは、アパートに併設された25メートルプールで日常的に楽しむことが可能。スイマーにとっては理想の環境かもしれません。一方、常夏とはいえ、雨季は雨が多すぎてなかなか外で泳ぐ気分になりませんし、逆に乾季は気温が低くなり、水が冷たかったりして、なかなか思うようにはいきませんが…。

次回は、語学力の向上法についてお話しします。