建築デザインがアイコンになった日

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 建築デザインがアイコンになった日

企業のCI(コーポレート・アイデンティティ)戦略は、マークやロゴを策定することが多いが、それを建築デザインでイメージアップを図った企業がある。

「喜ばれることを喜びに」をモットーに「ホスピタリティバンク」を目指している巣鴨信用金庫は、東京都城北部・埼玉県南部を事業区域としている、大正時代から地元に根付く老舗の金融機関である。そんな巣鴨信用金庫が、信用金庫が持つ、“お固い・暗い”などのイメージを払拭したいと思い始めて、白羽の矢を立てたのが、東京在住のフランス人建築家エマニュエル・ムホー氏。

エマニュエル・ムホー氏が、建て替えが必要となった支店の設計を依頼されて手掛けたのは、現在4店舗で、建築設計全てを手掛けたのは3店舗だ。いずれの店舗も、ムホー氏が得意とする明るく鮮やか色使いでデザインされ、一目で巣鴨信用金庫と分かるデザイン構成となっている。



巣鴨信用金庫常盤台支店


 



巣鴨信用金庫志村支店


 



デザインに一貫して求められているのは「1秒でも長く居たくなる信用金庫」。

 

昨年12月にリニューアルオープンした巣鴨信用金庫江古田支店は、敷地は多くの店舗が並ぶ商店街で、交通量の多い通りと幅員の狭い歩道に面している。街との距離感がとても近い店舗だったため、その雰囲気をカラフルな色と一緒に店舗内に混ざり合うように取り込もうと考えた。



 

建物は敷地境界から2m程セットバックしデッキスペースを設け、そこへ高さ9mのカラフルなスティックを虹のシャワーのように見立て街に余裕と色彩を還元した。



コンセプトは「レインボーシャワー」

エントランスを入るとそこは店舗内に連続する中庭の一部だと分かる、これも外と内が混ざり合うような仕掛だ。店舗内で中庭を横切るとそこは光溢れ、まるでカフェのような吹き抜けのフリースペースとなる。見上げるとカラフルなスティックと中庭に植わる青竹が呼応するように伸びている。



 



 

外部のデッキスペース、内部のフリースペース、外部の中庭、内部の窓口が四層を構成し、この幾重にも重なったレイヤーがガラスに反射し複雑な影と共にさらに混ざり合い奥行き感を出している。



 



 



 



 



 



普通銀行などの金融機関は、1色か2色のコーポレートカラ―で大きな看板を前面に出して、存在をアピールするが、ここはファサード自体を一つの大きい風景としてデザインされている。

近隣の人々は、関連性のあるファサードデザインを見て、一目で巣鴨信用金庫だとわかる。建築デザインがその企業のアイコンとなった、新しい形のCI(コーポレート・アイデンティティ)計画がここにはある。



 



エマニュエル・ムホー PROFILE

東京在住フランス人建築家・デザイナー。日本古来のデザインを現代にも活かしたいという想いから、伝統的な間仕切りにヒントを得た色とりどりのパーティションシリーズ「色切/shikiri」を編み出す。その「空間を色で仕切る」というコンセプトから、色を平面的ではなく三次元空間を形作る道具として扱い、建築、インテリアデザイン、プロダクトデザインまで幅広く手掛ける。

東北芸術工科大学准教授、東京建築士会正会員、日本建築学会正会員、JIA正会員

 



東京都千代田区内神田1-14-14-3F

03 3293 0323

contact@emmanuelle.jp

http://www.emmanuelle.jp/

 

クレジット

建築設計・監理 : emmanuelle moureaux architecture + design

写真 : 志摩大輔/Nacasa & Partners.